二十ニ話 【帝都の博士】
黒尽くめのローブを着た者達の襲撃をなんとか撒いて、帝都の城壁が見えて来た。
「これは……、凄いな……」
襲われた事も一瞬、頭の何処かに行ってしまった程、ヴァルスケン帝都の城壁は物々しい。
しかも城壁は石造りでは無く、全て鉄か何かの金属だ。
しかも砲台が見える。
「……確かにそうですね」
竜車の竜が入口に着くと、二人の兵士が槍を突き立て止めてくる。
「なに者だ!」
竜車の竜に二人乗りしてたらそりゃ怪しいよな。
「実はーー」
砦からの事情を説明をすると、一人の兵士は慌てて何処かに向かって行った。
事情説明も済み、砦で受付した証明書を見せ、なんとか帝都の中へ入れてもらう。
帝都はエルメリオン王都と全く違う。
蒸気は使って無さそうだが、見た感じはスチームパンクを彷彿とさせる。
あちこちに機械の不思議な機械があり、少しオイルの臭いがしてくる。
「ここでレアとサラマンダーの情報を仕入れないとな」
「そうですね。 それに襲って来たのは……」
「恐らくヴァルスケルハイトの連中だろう」
サラマンダーの爪を回収して修理する為に襲って来たのだろうな。
「でもなんで全員で襲って来なかったんでしょう?」
「う〜ん、もしかしたら竜車を壊す事で山賊の仕業に見せたかったのかも知れないな」
「なるほど、さすがケンジ!」
それなら竜車が一台無くなっても不思議は無い。
「まずはガル支部に行ってみるか」
「あ、ここにはガル支部は無いんです」
「え? 無いの?」
「はい、帝都は守護盾を置く事を禁止にしているんです」
「でも守護盾が出来たきっかけは元帝国の人なんだよな?」
「そうなんですけどね、そのあたりは詳しくは知りません」
「そうか」
そうなってくると、ここでの仕事は受けられそうも無いな……。
「これからどうする? ガル支部が無いと金も稼げないぞ」
「お金は道具屋とかで仕事が無いか聞いてみましょう。 ついでに、ここ数日何か変な事がなかったか、あちこちで聞いてみるのはどうですか?」
「それしか無いか」
俺とエイルは道具屋を探しに帝都を歩く。
◇◆◇◆◇◆◇◆
…………二日前。
「お爺ちゃーーん!」
ルルアは歩いている一人の老人を見つけ、手を振りながら声をかける。
「ん? なんじゃ、ルルアじゃないか! どうしてこんな所に?」
「えへへ、色々あって……、お爺ちゃんに会いたくなっちゃった」
「……まったくしょうがない子じゃのぉ……、おや? その肩に乗っているネコはなんじゃ?」
「この子はね、レアって言うの。 私の友達だよ」
「そうか、こんな所では、あれじゃ、まずは家で話すとしよう」
老人に着いて行くと、オイルの臭いが強くなる。
「ここじゃ、ここじゃ」
帝都の外れには貧困層が住む一角がある。 そこに老人の住む一軒家が建っている。
「お爺ちゃん随分ボロボロの家に住んでるのね?」
「なに、わしの家と大差ないわい」
わははと笑いながら中に案内をする。
お爺ちゃんを椅子に座らせお茶を淹れる。
「さて、ゆっくり話しを聞こうじゃないか」
ズズズとお茶を飲みながら、ルルアは話し始める。
レアと出会った経緯から、ここに来るに至った話しをすると、お爺ちゃんは目を輝かせて聞いていた。
「なるほど……、と言う事は、このネコは人に変身出来ると言うことかの?」
「そうよ。 ね、レアさん」
レアはテーブルの上に乗ると、ルルアのお爺さんに向かってペコっとお辞儀をした。
「改めて……、初めまして。 レアと申します」
ネコがお辞儀だけで無く、喋る事に驚きつつも、やはり目を輝かせている。
「おお! わしはルルアの祖父、【エイチャント・マブル】じゃ。 宜しくの。 しかし獣人族の中には変身出来る者もいると聞いておったが、また違うようじゃの。 人型になる所を見せてもらっても良いかの?」
「はい。 それでは……」
「ちょっと待って!! レアさん、ここで変身したら裸になっちゃうよ!」
「そうですが、着替えは持っておりませんので……」
「ちょっとまってて!」
ルルアは急いで家から飛び出し、三十分後に袋を抱えて戻って来た。
「服を買ってきたから、変身したらこれを着て下さい」
「ありがとうございます」
「お爺ちゃんは後ろ向いてて!」
「そ、そうかい……、わしも変身する所が見たかったんじゃが……」
レアの変身が終わり、人型となる。
服はルルアが買って来た物だがドレス風なので少し動きにくい。
「おお!! これは!!」
「はい、私は人造人間の一種です。 話すと長いですがーー」
「まてまて、ここでその話しはいかん。 こっちで話そう」
老人は食器棚の食器に手をかけると、棚が動き地下への階段が現れた。
「こっちじゃ」
老人が壁のスイッチを入れると、明かりがつき、階段は地下へと続く。
「お爺ちゃんここは!?」
階段を歩きながら不思議に思いルルアが聞いている。
「今のこの帝国は何か怪しい。 人が突然消えたりと何かあるので、ヘタに話しは出来ん。だからここで話そう」
「そんな事が?」
「詳しくは下で話すとするかの……。 さ、ここじゃ」
階段を下り、下まで着くと、一つの強固そうな鉄の扉がある。
鉄の扉を開き中に入ると、その部屋には沢山の魔導用の機械などが置かれている。
「まずはわしの方から話そうかの。 わしは皇帝の命令で最近発掘された魔導機の研究に協力しておったのじゃ」
「その魔導機ってどんな物なの?」
「うむ、だいぶボロボロじゃったが、調べた所、何かを動かす為の高出力魔導機のようじゃ。 直すことは出来そうもないが、同じ物を作る為の研究でな」
「そんな物を……」
「何故それを作ろうとしているかはわからんが、きな臭いの。 それよりレアさんと言ったかな。 是非話しを聞かせてくれ」
レアは自分が人造人間として目覚めた事と、ケンジ、エイルとヴァルスケルハイトのシャッテと戦い、捕まったがなんとか逃げ、ルルアに助けられた事を話すが、ケンジが人造人間と言う事は話さなかった。
「なるほどのう……、ヴァルスケルハイトにアーティファクトか……。 ヴァルスケルハイトは聞いた事は無いが、アーティファクトは遺跡から発掘されたりする事がある。 じゃが、壊れている物が殆どで直そうにも今の技術では無理じゃ。 しかし……、それを完璧な姿で発掘したのか、高度な技術で修理したのか……、わからんの」
お互いの話しをした後、老人はレアに近づくと何やらわからない機械が付いているベッドに「ちょっと寝てくれんか」 とレアを座らせた。
「なに、痛くは無い。 ちょっと、ちょっとだけ調べたいんじゃ」
「お爺ちゃん!」
ルルアが止めているが、レアはかまいませんと言う事で、ベッドに寝る。
「そうか! よし、では始めるとしよう。 少し長くなるかも知れんからルルアは上に上がってご飯でも作っておいてくれ」
「もうお爺ちゃんったら、研究になると直ぐこうなんだから……、呼んだらちゃんと来てよ」
「わかったわかった」
ルルアは部屋から出ると、ルルアは服を脱ぎ下着となって、いろいろな装置を着けられて、研究が始まった。
「お爺ちゃんったら、研究になると目の色変わるんだから……。 私も研究に参加したかったのに……。 ご飯作ったらお爺ちゃんに私も参加させてもらおっと」
ルルアは家の食材を探すが、大した物がない。
「お爺ちゃんいつも何食べてるのかな? よし、久しぶりに腕を振るっちゃおう! まずは買い物行かなきゃ」
ルルアが買い物に外へ出た途端、黒いローブを着た者に襲われた。
読んで頂きありがとうございます。
次話も頑張ります。




