十三話 【王都到着】
ベイルの町を出て獣車で王都までは半日程度。
直ぐに辿り着く。 王都に着けばこの依頼も終了だ。
その後は王都の見物でもしよう。
昨日の戦いが嘘のように穏やかな天気だ。
これなら王都にも直ぐ着くだろう。
ガタガタと獣車に揺られながら外を眺める。
「良い天気ですよね……スーハー、スーハー」
エイルは外を見ながら時々レアの匂いを嗅いでいる。
あれがもしかして猫吸いと言うやつか。
案の定レアは嫌がってるけど……。
「あ! ケンジ!見えて来ましたよ!」
小高い丘の上には青と白の城壁に囲まれたお城が見えて来た。
あれがこの国の城かあ。
凄え感動。
ワクワクが止まらない。
「おや? ワクワクしてますね。 城下町はもっとワクワクしますよ」
「本当ですか! 楽しみだなあ!」
「ケンジ子供みたいにはしゃいでますね」
ワクワクして窓から乗り出して【エルメリオン王都】を見ていたらエイルに笑われてしまった。
「お城見るのは初めてだからな」
「それじゃ、エイシスさんを送り終わったら私が案内するわよ」
「エイルは来た事があるのか?」
「旅してる時に少しね」
そうか、エイルは【フルスレイグ】って国からここに来たって言ってたな。
エルメリオンの入口は流石に兵士が立っていて、入国審査をしている。
「ここは入るのに二段階の審査があるんですよ」
「二段階?」
「はい、獣車で来た時は荷物の確認、それから身分の確認や入国の内容を確認する二段階審査です」
「時間かかりますが、変な人が入らないようにするためですから仕方ありませんね」
面倒だけど、警備がしっかりしてるとも言えるな。
獣車の点検をした後は、身分証を出して確認してもらう。
勿論俺は守護盾の身分証で入れてもらう。
エイルとエイシスさんも入って、依頼の終了だ。
「ここまでありがとうございます」
エイシスさんを無事に送り届け、依頼が終了した。
「いえ、こちらこそ、おかげさまで王都まで来られました」
「楽しかったですよ」
ここまでの道中、色々合ったがエイシスさんにお礼を言われ、依頼達成のサインをもらう。
「私も楽しかったです」
エイルも意外とエイシスさんとウマがあってたからな。
エイシスさんは去り際もペコリと挨拶しながら、王都の東地区に向かって行った。
「よし、依頼も終わったし、王都を見て回ろう」
「そうですね。 前に来た時は余り見られなかったので、きっと美味しいお食事処があるかも知れません!」
エイルはグイッと乗り出して気合を入れている。
「まあ、良さそうな所があったら寄ってみような。 でもまずは依頼達成の報告をしてお金をもらわないと」
「そうですね。 では本部に行きましょう」
「本部?」
「はい。 ここエルメリオン王都には守護盾の本部があります」
本部か、きっと豪華で大きい本部なんだろうな……。
お城のある北地区に守護盾の本部があるらしい。
「ここが守護盾の本部か……」
本部は思っていたより外観は質素だ。
建物自体は大きく、五階建てかな?
「すいませーん!」
エイルは元気よく中に入って行く。
「はいはい……、こちらは守護盾エルメリオン本部です。 ご用件はなんでしょうか?」
「はい、依頼達成の報告をしに来ました」
「ガルの方でしたか、では承りますね」
俺は受付の女性にサインの付いた報告書を渡す。
「……、確認しました。 こちらが報酬です。 お二人は今日王都へ?」
「はい」
報酬の2500ジルを受け取りながら話しを続ける。
「王都にはどの位いるのかしら?」
「王都の中を見て回ろうかと思っているので、しばらくは滞在します」
「そう、なら良かったわ。 もうすぐ皇子の誕生日祭があるのよ。 良ければ楽しんでいかれては?」
「お祭りがあるんですか! エイル、それは楽しみだな」
「そうね、お祭りまで滞在しましょう」
その言葉に受付の女性の目がキラリと光った。
「お祭りまではね、まだ十日もあるのよ。 それまで滞在するなら、ここでの依頼も受けてくれるんでしょう?」
そうきたか……。
「で、出来る限りは……」
「二人共【シルバーランク】でしょ? 結構依頼が溜まってるの。 お願いね」
「……わかりました……」
してやられた感がある……。
「あ、私は【サク・ミラン】です。 この王都本部の受付をやってるわ。 ミランって呼んでね」
「俺は獅堂 賢治って言います」
「私は【マキルド・エイル】と言います」
「ケンジ君にエイルさんね。 それじゃ早速で悪いんだけど、西地区に王国軍の兵舎があるの。 そこにいる【ホンガン】と言う人にこの手紙を届けて欲しいのよ」
「手紙ですか?」
「そ、皇子の誕生祭の警備配置などが書いてあるわ。 だから無くさないようにちゃんと渡してね」
「わかりました」
ミランさんから手紙を受け取り、ガル本部を出て行こうとした時、階段を降りてくる一人の男性がいた。
「おや? ケンジ君じゃないか」
「マドルさん!」
まさかこんな所にいるとは。
「最近見かけなかったけど、王都にいらしてたんですね?」
「ああ、野暮用でね。 二人はどうしてここに?」
「私達は護衛の依頼で王都まで来たんです」
「依頼も完了したので、しばらく王都に滞在する事にしたんですが……」
「ははは、なるほど、それで早速ミランに仕事を任されたと言うわけだ」
鋭い!
「簡単な仕事ですから構いませんけどね」
「そうか。 私もまだ王都にいるから何か困った事があったら言ってくれよ」
「ありがとうございます」
マドルさんは先に外に出て行った。
「まさかマドルさんがいるとはな」
「そうですね。 ミランさんが依頼が多いって言ってたからマドルさんも駆り出されたのかもしれませんね」
「マドルさん【プラチナランク】だからな……」
「恐らく、誕生祭の仕事で本部のメンバーも忙しいのかも知れません」
確かにな。 そう言う事なら仕方ない。
「俺達で出来るだけ協力してやるか」
「そうですね」
王都の中の仕事なら王都内を回れるから良いかも知れないな。
「ご主人様、私も人型になっても良いでしょうか?」
レアはここまでずっと猫の姿で俺の肩に乗ったり、頭の上に乗ったり、エイルに抱きしめられていたりとしたが、猫の姿に飽きたのかな?
「構わないけど、見つからないように変身してくるんだぞ」
「わかりました」
レアとエイルは建物の角に行って、変身後、服を着せて戻って来た。
「それじゃ、兵舎へ急ぐか」
俺の腕にレアがくっついて、レアにエイルがくっつくと言うとても歩きにくい状態となるので、俺とレア、レアとエイルと交互にくっつくようにして歩く事にした。
レアには俺がちゃんと言ったので、仕方なくエイルと手を繋いでいる。
後で来るお店を決めながら西地区へ向かった。
読んで頂きありがとうございます。
次話も頑張ります。
【黎明のミニ劇場】
〜〜〜〜《ケンジのクリスマス》〜〜〜〜
「さてと、エイルは寝たかな?」
今日は転生前の日本ではクリスマス。
せっかくなのでクリスマスイベントをやろうと思い、エイルが寝静まったのを見計らってプレゼントを枕元に置いてこようと考えた。
俺はサンタのように、赤い服を着て、帽子をかぶり、髭っぽく白い綿を着けてエイルの部屋に忍び込む。
まずはエイルの部屋だ。
実はレアには協力してもらって、部屋の扉は鍵がかかっているが、レアに開けてもらう。
そして枕元にレアとそっくりのぬいぐるみを置いておく。
エイルにグリグリとされないためのぬいぐるみだ。
そしてレアには協力してくれたお礼に一緒に寝る事を許した。
朝、エイルの悲鳴が聞こえる。
何事かとエイルの部屋の扉を無理矢理開ける。
と、エイルがレアそっくりのぬいぐるみを抱えて泣いている。
「レアがあ! ……レアがあ……!」
もしかして、レアがぬいぐるみになったと思ってるのか?
「ほら、レアはここにいるぞ」
レアをヒョイっと持ち上げ、エイルに見せる。
「!! レアあああ!!」
結局レアはエイルに抱きしめられるはめとなった。
ぬいぐるみはエイルの鞄に大事そうにしまってあるそうだ。




