百一話 【宴会】
シーレーンとイカの魔生獣との戦いの後、船の調子が良く無いとの事で、ダルマッチさんの会いたく無い知り合いに会いに群島諸島の島に向かっている。
あのイカの魔生獣は【クラーケ】と言うらしく、海の巨大魔生獣の一角のようだが、シーレーンと一緒にいるのは、シーレーンが歌声で操っていると噂もあるらしい。
そのクラーケの攻撃で船が壊されたと思っていたのだが、それだけでは無く、乗組員を助けたエイルの小型爆弾が乗組員には当たらなかったのだが、船には見事に直撃していたらしく、そっちのダメージの方が大きいらしい……。
エイルと謝りに行き、エイルは頭をペコペコと下げていたが、助けた乗組員からはお礼と感謝の言葉をもらってしまい、「船は修理すれば良い」 と何も言われなかった……。
いやでも……、ほんとすいません……。
魔生獣の襲撃から三日、船の速度は遅くなったが、目当ての島が見えて来たようだ。
すると、島の方から小型の船と水上バイクの様な物が近づいてくる。
こちらは既に白旗に赤いバツが書かれている旗を上げている。
ダルマッチさんが隣まで来た小型船の人と何か話している。
そして小型船と水上バイクに案内され、島に向かう事になった。
向かっている間、ダルマッチさんにはあの人達に聞かれたら俺達がガルである事は黙っている事、普通の客として乗っていると言う様に言われている。
どうやら、ただの相手じゃ無さそうだ。
船は島の裏側まで案内されると、切り立つ崖の一部がゆっくりと開き始め巨大な洞窟が現れる。
「すげぇ……」
こんなの見た事が無く一人で興奮している。
中を進むとシュシュリラと同じサイズの船が数隻と、奥には他の船に比べて装飾の良い大きな船が一隻佇んでいる。
だがよく見るとあちこち傷だらけだ。
埠頭に停泊しダルマッチさんと乗組員の人達、そして俺達は船を降りて並ぶ。
「随分と久しぶりじゃねえか! ダルマッチよ!」
「久しぶりだな、ボルディ」
一人大柄で髭を生やした男性が出て来た。
どう見ても海賊の親分……。
「そいつらは?」
「ああ、俺の客だ」
「客? おめえが客を乗せるなんてな」
「ちょっと訳ありでな」
「まあ、こまけえ事はいい。 今日は宴会といこうじゃねえか! なあ! お前ら!」
「「おおおーー!!」」
「客人とやらも参加してくれや」
なんだかわからんがノリで宴会をやる事になったらしい。
それまでは部屋で待機となる。
だけどここの人達、なりはキチンとした青い制服を着ているが、このボルディと言う人は服の着崩し方、三角帽子に羽とか……、やはりどう見ても海賊だ。
しかも、こんな島に隠す様に港があるなんて、やはり海賊……?
案内された俺達は洞窟の中の一室を部屋として使う事になる。
部屋は綺麗でもっと洞窟と言うのをイメージしてた。
この中をウロウロする事は禁止されているので、三人でこの場所について話す。
「ここはどう言う場所なんでしょうね?」
「わからないな。 でもダルマッチさんの知り合いなら悪い人では無いだろうけど」
「そうですかにゃ? あのボルディと言う人はどうも怪しいですにゃ」
「見た目怖そうだからな」
そんな憶測で話す俺達。 話していると部屋の扉がノックされ、ボルディさんと似た出立ちの女性が入って来た。
赤髪でパーマがかかっているような毛量が凄い。
服も胸元まで開けていたりとだいぶセクシーだ。
「邪魔するよ。 そろそろ宴会が始まるんで呼びに来てやったよ」
「……あ、はい、今行きます」
ちょっと見惚れてしまった……。
「ケンジ……」
「ご主人様……」
二人の目線が痛い……。
「さ、さあ、宴会だ! 楽しみだなあ!」
無理やりテンションを上げて誤魔化す。
「お、いいねえ! わかってるじゃないか!」
女性が腕を首に絡ませてくる。
そしてセクシーな胸元が当たるし近い。
「よし! 飲もう! 飲もう!」
そのまま宴会場まで引きずられてしまう。
「もう! ケンジったら!」
「仕方ないご主人様ですにゃ……」
宴会場は野外で、洞窟からエレベーターで外に出たジャングルにテントを張って、ランタンで明かりを灯している。
音楽も民族楽器の様な物で奏でていて雰囲気が凄く良い。
「お!客人も来たか! よし、おまえらあ! 今日は無礼講だ! 大いに飲んで騒げえ!!」
「「おおおーー!!」」
ボルディさんの一声で宴会が始まる。
音楽もノリの良い曲が流れ、制服の男性と、民族的なドレスを着た女性が踊っている。
俺達を連れて来た女性はボルディさんの隣で既に飲み始めている。
踊りを眺めている所に、可愛い民族衣装を着た女の子が小さな樽に入ったお酒を持って来てくれた。
「あ、あの、どうぞ……」
「うん? お酒? ありがとう」
お酒を受け取ると女の子は走ってボルディさんの隣にいる女性の所に行ってしまった。
「あらケンジ、モテるじゃない」
エイルも飲み始めていて、頬が赤く染まっている。
この宴会はまだまだ続きそうだ。
読んで頂きありがとうございます。
次話もがんばります!




