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転生した弓使い少年の村人冒険ライフ! ~従姉妹の金髪お姉さんとモフモフ狼もいる楽しい日々です♪~  作者: 月ノ宮マクラ


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072・凱旋

第72話になります。

よろしくお願いします。

 薬草を使って、怪我を治療した。


 その間、ミカヅキは倒したケルベロスの死体を満足そうにガツガツと食べていた。


 キュッ


 姉さんの腕に包帯を巻く。


「ありがとう、アナリス」


 姉さんは微笑んだ。


 少し休んで、姉さんの生気も少し戻ったみたいだ。


 顔色も少し良くなっていた。


 …………。


 それにしても、さっきの光は何だったんだろう?


 スケルトンやゴーストを消滅させたから、多分、聖属性の光だと思うけれど……なぜ、そんな光が僕から出たのかわからなかった。


 すると、


「魔法じゃないの?」


 と、アリアさん。


 魔法って……僕が?


 でも、僕は幼い頃、神殿での1歳の洗礼時に『魔法適正はない』って判定されているんだ。


 魔法適正のある人は、1000人に1人。


 大抵の人は、魔法が使えない。


 僕もその1人だった。


 アリアさんは、


「滅多にないけどね。でも、10歳ぐらいまでだと、たまに後天的に魔法に目覚めることもあるのよ?」


 と教えてくれた。


 そうなんだ……。


 思わず、自分の手を見つめてしまう。


 …………。


 でも、さっきの光をもう1度やれと言われても、正直、できそうな気がしない。


 きっと訓練が必要なんだろう。


 姉さんは、


「アナリスは、本当に凄いね」


 と微笑んだ。


 そして、その手で、僕を褒めるみたいに髪を撫でてくれたんだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 治療のあとは、楽しい時間だ。


 カツン パキン


 鉱床にあった『魔鉱石』をできるだけ集め、ミカヅキの鞄と自分たちのリュックに詰めるだけ詰めた。


 お、重い。


 でも、嬉しい重さだ。


 3人の表情も明るかった。


 それから、神殿の外の荷車まで何往復もして、荷台に積めるだけ載せた。


 ギシシッ


 車体が軋む。


 途中、スケルトンやゴーストに遭遇したけれど、聖水が切れていたので、代わりにミカヅキが牙と雷で全て倒してくれた。


 本当に頼もしい相棒だ。


 ガチャン


 最後に、神殿の出入り口の鍵をかけ直した。


 これで誰も入れない。


 手に入れた魔鉱石は、納品分以外は、皆、発見者である僕らの物だった。


 そして、


「今回、回収した以外の鉱床に残った魔鉱石は、全て冒険者ギルドに買い取ってもらおう」


 と、レイさんは提案した。


 実は、ギルドに買い取ってもらうとかなり格安になるとのこと。


 でも、魔鉱石の販路、輸送、管理などの手間やギルドとの関係性を考えた場合、自分たちで全てやるよりも総合的には得なんだって。


 また、こうすることで他の冒険者にも、採掘などの仕事が生まれる。


 それで妬まれることも、少しは減るそうだ。 


(なるほどね)


 僕らはリーダーの判断に賛成した。


 そうして帰路へ。


 ギシシッ


 大量の魔鉱石を積んだので、ミカヅキは重そうだった。


 でも、今の彼女はケルベロスをたくさん食べて元気いっぱい、上機嫌だったので、素直に荷車を引いてくれた。


 あとで、いっぱいモフモフもしてあげよう。


「よいしょ」


 ググッ


 僕ら4人も、後ろから荷車を押して手伝った。


 …………。


 ふと、隣の姉さんと目が合った。


 姉さんははにかみ、


「なんだか夢みたいだね、アナリス」

「うん」


 僕も笑って、頷いた。


 …………。


 こうして僕らはたくさんのお宝を手に入れて、領都へと帰ったんだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 領都に着き、冒険者ギルドへと戻った。


『魔鉱石』が満載された僕らの荷車に、他の冒険者は「おぉっ?」「すげぇ……」と驚いた様子だった。


 受付でクエスト完了手続き。


 そして、鉱床の報告をすると、即、ギルドの偉い人が会ってくれることになった。


 ザワザワ


 ギルド内がざわついている。


 僕らはそれだけの発見をしたのだと、少し誇らしい気分だった。


「行ってくる」


 ギルドとの話し合いは、レイさん1人でやってくれることになった。


 僕らは留守番だ。


 皆で行くと、不埒な者が荷車の『魔鉱石』を盗まないとも限らないからね?


 僕と姉さん、アリアさんの3人だと迫力がない。


 でも、ケルベロスさえ倒した巨体のダークウルフもいるので、悪そうな人たちも手が出せない様子だった。


(うんうん)


 僕は笑って、


 モフモフ


 ミカヅキの首回りの毛を撫で回した。


 …………。


 …………。


 …………。


 1時間もしないで、レイさんは戻ってきた。


 エルダー神殿の隠し空間、および、魔鉱石の鉱床の発見、そして、その所有権の譲渡などで相当な金額をもらったそうだ。


 具体的には、1人頭10万ゴルダ。


 日本円で、およそ1000万円。


 姉さん、アリアさんと「ふわぁ……」となってしまった。


 まるで宝くじだ。


 総額5000万円ぐらいになったらしい。


 1000万は、新しく購入した家の支払いに回すそうだ。


 アリアさんは、


「何よ、ローンに5年もかからなかったわね!」


 と上機嫌だ。


 僕らも笑ってしまった。


 今後は、エルダー神殿には他の冒険者が通い、『魔鉱石』の採掘、輸送などを行うそうだ。


 レイさんは、


「ギルド長も興奮していたよ」


 と教えてくれた。


 どうやら、こういう発見は滅多にないらしい。


 また冒険者ギルドとしても、突然、大きな利益が発生して喜んでいるみたいだった。


 姉さんは、


「それもこれも、みんな、アナリスのおかげだね」


 なんて笑う。 


 …………。


 隠し通路を見つけたのはたまたまだ。


 でも……うん、みんなの笑顔が見れて、僕も嬉しかった。 



 ◇◇◇◇◇◇◇



 ギルドをあとにすると、


「鍛冶屋に行こうか」


 と、レイさんが言い出した。


 鍛冶屋……?


 驚く僕らの前で、レイさんは荷車の『魔鉱石』をポンポンと軽く叩いた。


「これを加工してもらうんだ」


 とレイさん。


 実はこの『魔鉱石』という鉱石は、良質な武器、防具の素材なのだそうだ。


 大半は売ってもいい。


 でも、全て売らずに、


「せっかくなら、これで自分たちの新装備を作ってもらわないか?」


 と思ったそうだ。


 僕と姉さんとアリアさんは、顔を見合わせた。


 …………。


 装備が良くなれば、戦闘力もあがる。


 それは冒険の質と安全の向上にも繋がるし、より高額クエストも達成できるようになるんだ。


 ランクアップも早まるだろう。


(うん)


 3人とも異論はなかった。


 レイさんも「決まりだな」と笑った。


 そうして僕らは、手に入れた『魔鉱石』で新しい装備を作ることになったんだ。

ご覧いただき、ありがとうございました。

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