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転生した弓使い少年の村人冒険ライフ! ~従姉妹の金髪お姉さんとモフモフ狼もいる楽しい日々です♪~  作者: 月ノ宮マクラ


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036・3人の実力

第36話になります。

よろしくお願いします。

 丘陵地帯の草原だ。


 大地は大きく波打っていて、風の強い日の海みたいだ。


 僕ら4人とミカヅキは、そんな緑の草原の丘の上に集まっていた。


「――いたわ」


 目の上に両手を当てていた姉さんが呟いた。


 僕も、そちらを見る。


 少し離れた草原を、大きな鳥の魔物の群れが歩いていた。


 その数、5羽。


 あれは『殺人爪の鳥』という魔物らしい。


 体長は2・5メード。


 ダチョウみたいに走ることに特化した、飛べない鳥だ。


 でも顔は猛禽類で、ダチョウみたいな愛嬌はない。


 発達した足の指には、名前の由来となった鎌みたいな大きな爪が生えていた。


 ギラッ


 その爪が陽光を鋭く反射する。


 …………。


 あれは爪というより、もはや剣と同じだね?


 レイさんが「よし」と頷いた。


「アナリスは予定通り、ここで待っていてくれ。――ユフィ、アリア、行くぞ」 

「うん」

「わかったわ」


 姉さんたちも頷く。


 それから、


「私たちの実力、見せてあげるね?」


 と、笑う姉さん。


 レイさんも微笑み、アリアさんは「目を離すんじゃないわよ?」と不遜に言い放った。


 僕は頷いた。


「うん、3人ともがんばって」


 年上の女性たちも頷いて、そうして草原の丘を降りていった。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 丘の上から、僕とミカヅキは見学だ。


 草原に集まる5羽の魔物。


 そこに、レイさん、姉さん、アリアさんの3人が草原に隠れながら、風下から接近した。


 ピクッ


 気配を感じたのか、魔物の1羽が反応した。


 首がクルッと振り返る。


 同時に、一気に踏み込んだレイさんの片手剣が、その首を切断した。


 ザキュン


 生首が飛ぶ。


 紫色の鮮血が噴きだし、草原を染めた。 


 ようやく残った4羽も、レイさんたちに気づいた。 


『グワァッ!』


 威嚇するように小さな翼を広げる。


 ガシャッ


 レイさんは、円形盾を前方に構えた。


 少し離れた場所で、姉さんもいつもの槍を構えていた。


 アリアさんは、更に後方だ。


 その手にある杖の魔法石を青く光らせ、前方にヒュッと振った。


 ゴポン


 青い水の球体が、1羽の頭部を包み込んだ。


『っ!?』


 気泡があがる。


 窒息した魔物は、暴れ回った。


 残った3羽が動揺し、そこにレイさんと姉さんが同時に襲いかかった。


 サクッ ヒュバッ


 魔物が手傷を負う。


 レイさんの相手が2羽、姉さんの相手が1羽だ。


 窒息した1羽は、地面に倒れて、断末魔の痙攣を起こしていた。


『クワァアッ!』


 魔物が吠えながら、2人に立ち向かう。


 ヒュオッ


 殺人爪が煌めく。


 レイさんの円形盾がそれを防いだ。


 ガッ ギィン


 激しい火花が散った。


 2羽の放つ蹴りを、レイさんは確実に防御していく。


 …………。


 凄い技量だ。


 非力な女性でありながら、レイさんは魔物の凄まじい威力の攻撃を見事に防いでいた。


 時に受け止め、時に受け流す。


 その判断が的確だ。


 2対1の不利でも、危うい感じがなかった。


(まさに鉄壁)


 レイさんの盾は、難攻不落の要塞みたいだ。


 そうして防御しながら、隙を見て、片手剣で堅実に魔物に傷を負わせていく。


 …………。


 黒髪の女剣士の戦い方は、本当に格好良かった。




 一方で姉さんは、長い槍のリーチを生かして、魔物の接近を許さなかった。


「はっ! やっ!」


 ヒュッ ヒュボッ


 突き出される槍に、魔物は苛立つ。


 でも、無理に足を伸ばして攻撃すると、


 ザキュッ


 爪が届く前に、その足を斬られて、逆に傷を負う羽目になっていた。


 …………。


 姉さんも凄い。


 正確無比な槍。


 何よりも、相手の攻撃を見切る目の良さだ。


 巨大な鳥の魔物は、自分より小さな姉さんに、けれど、手も足も出せない状況だった。




 そんな中、アリアさんは杖の魔法石を光らせた。


 また青い光だ。


 もしかしたら、彼女は『水の魔法』が得意なのかもしれない。


 アリアさんが杖を振るう。


 ジュワッ


 すると、レイさんと戦っていた魔物の足元の地面に水分が増えて、ぬかるみとなった。


 ズルッ


『ギョ!?』


 足を取られる魔物。


 バランスを崩して、転倒した――瞬間、レイさんの剣が深く突き刺さった。


 ドシュッ


 あれは、内臓まで届いたろう。


 致命傷だ。


 魔物は暴れ、レイさんはその前に後方に引く。


 暴れていた魔物の動きは、少しずつ弱くなり、やがて、力尽きてしまった。


 残った魔物とレイさんは、1対1だ。


 アリアさんは、また杖を光らせる。


「ユフィ!」


 彼女は叫んだ。


 杖を振るうと、


 バシュウ


 今度は、姉さんの前にいた魔物の周囲が白い煙に包まれた。


 水蒸気だ。


 突然の煙幕。


 視界を奪われ、嗅覚、聴覚も鈍らされて、魔物は混乱した。


 つまり、動きが止まった。


 でも、事前に知らされていた姉さんは、動きが止まらなかった。


「やあっ!」


 ヒュボッ


 水蒸気を抜けてきた槍は、魔物の心臓を貫く。


『っ……!?』


 鳥の表情は驚いていた。


 その目から、生気が消える。


 ドサッ


 重い音を立てて、大きな身体が草原に倒れた。


 …………。


 なるほど。


 アリアさんの魔法は、直接、攻撃するのではなく、味方のサポートに向いているみたいだ。


 戦局を有利にする。


 それが、あのハーフエルフさんの役割。


 …………。


 レイさんは、防御力の高さを生かして、最前線に立つタイプ。


 姉さんは、レイさんが耐えている間に、魔物を1体ずつ仕留めていく役目なのだろう。


 そして、ほら?


 残った1羽に、レイさん、姉さんの2人がかりになった。


 うん、勝負あり。


 …………。


 その予想通り、1分もしない内に『殺人爪の鳥』たちは全滅したんだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



「私たち、どうだった?」


 戻ってきた姉さんが、そう笑った。


 僕は頷いて、


「凄かったよ。見てて、びっくりした。3人とも強くて、とっても格好良かった」


 そう正直に答えた。


 姉さんは頬を赤くして、嬉しそうだ。


 レイさんもはにかみ、アリアさんは得意げに「ふんっ」と鼻を高くしていた。


 僕の言葉は、もちろん嘘じゃない。


 僕とミカヅキでも、多分、あの群れは倒せた。


 でも、魔物の数が多かったし、もっと時間がかかったかもしれない。


 3人は短時間で、効率よく倒した。


 その要因は、連携にあったんだと思う。


 お互いが役割を全うすると信頼して、3人とも自分の役目をきちんとこなした。


 それが全て。


 …………。


 レイさん、アリアさんは幼馴染だ。


 信頼も当然。


 でも、その中に、姉さんもちゃんと加われていたのにも安心した。


(ちゃんと仲間になれたんだね)


 そう思った。


 そんな僕の前で、


「やったね」

「あぁ」

「これぐらい普通でしょ」


 姉さんたちは笑って、お互いの拳をコツンとぶつけ合っていた。



 ◇◇◇◇◇◇◇



 必要な素材を回収したあと、残った魔物の死体はミカヅキの胃袋に収まった。


 帰りの道中、


 パタパタ


 ミカヅキは上機嫌で尻尾を振っていた。


 今回、出番はなかったけど満足そうだ。 


 そんなミカヅキを従えて、馬車は領都への帰り道を辿っていた。


 その車内で、


「さて、今日は私たちの実力も見せられて、こちらは満足だが……アナリス君は、明日からはどうする?」


 と、レイさんに言われた。


 …………。


 どうしよう?


 実は、あまり考えてないんだよね。


 姉さんの休みは、あと4~5日あったと思う。


 一緒に、領都の観光も悪くない。


 でも、僕の滞在は、まだ25日以上もあるのだから急がなくてもいいんだ。


 …………。


 むしろ、今は稼ぐ時かな?


 僕は言った。


「できれば、レイさんたちと魔物を狩りたい」


 今日見て、わかった。


 レイさんたちと一緒なら、もっとたくさん、もっと強い魔物も狩れるって。


 それで、お金も稼げる。


 父さん、母さんも喜んでくれると思う。


 それに、


「それに、冒険者をしている姉さんを、もっと見てみたいなって思った」


 そう正直に言った。


 姉さんは驚いた顔だ。


「……アナリス」


 村にいた時の姉さんよりも、今の姉さんの方が生き生きしている。


 そんな姉さんを、もっと見たい。


 もっと知りたい。


 そう思ったんだ。


 アリアさんは「ふ~ん?」と呟く。


 レイさんは頷いた。


「そうか。私たちとしても、アナリス君に協力してもらえるのは嬉しいよ。より強い魔物の討伐クエストもできそうだ」


 じゃあ?


 彼女は笑って、


「あぁ、明日からもよろしく、アナリス君」


 と、僕の右手を握った。


 キュッ


 契約と信頼の握手だ。


 姉さんも嬉しそうに微笑んでいた。


 …………。


 そうして僕は、しばらく、レイさんたちと一緒に冒険者活動をしていくことが決まったんだ。




 窓の外は夕暮れだ。


 帰りの馬車の中で、僕らは今後の話をした。


 その中で、


「アナリス君は、どれぐらいの魔物まで倒せるんだい?」


 レイさんに、そう質問された。


 それによって、今後の討伐クエストの難易度を決めるそうだ。


 えっと、


「僕1人だと、そんなに強い魔物は倒せないけど……」


 と、正直に告白。


 すると姉さんが、


「でも、領都までの道中で、アナリスとミカヅキは『火炎蜥蜴フレイムリザード』を倒したらしいよ?」


 と言葉を重ねた。


 レイさん、アリアさんは目を丸くする。


「火炎蜥蜴を?」

「嘘でしょ!?」


 2人とも、ずいぶんと驚いていた。


 …………。


 あれ……そんなに強い魔物だったの?


 キョトンとする僕に、


「火炎蜥蜴って、竜の一種なのよ? 討伐に軍が出ることもあるんだから! アンタ、冗談はやめなさいよっ?」


 怒るアリアさん。


 僕は「嘘じゃないよ」と慌てて答えた。


 姉さんも、


「アナリスは、嘘なんて言わないよ!」


 と、頬を膨らませていた。


 レイさんは口元に手を当て、少し考え込む。


 それから、


「もし本当なら、その時の詳しい状況を教えてもらえるかな? それと証拠があれば見せて欲しい」


 と求めてきた。


 姉さん、アリアさんも僕を見る。


 僕はとりあえず、あの時のことを話してみた。


 襲われていた馬車。


 クリスティーナという少女と5人の騎士。


 それから、約束のハンカチ。


 そこに刺繍された家紋を見せて、彼らが『トールバキン家』と名乗ったことを説明する。


 すると、


「なっ……トールバキン家っ!?」


 レイさんは目を見開いた。


 アリアさんも「はぁ!?」と口を開け、愕然としていた。


 姉さんだけは、よくわかってない様子。


 …………。


 え? 何、この反応?

ご覧いただき、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様ですヽ(´▽`)/ 戦わなくてもご飯が得られてミカヅキも満足出来たのでしょうね。 量的にも充分あったっぽいですし(*´ω`*) しかし今更ですが、冒険者でない者が冒険者のパーテ…
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