今でも、君が好き(百合。片想いの子を見守る子視点)
今でも、君が好き
「うん。今でも、好きだよ」
中学の卒業アルバムを見ながら彼女は言った。
彼女の視線の先。
隣のクラスのマドンナがいる。
清楚な黒髪に、流麗な眼差し。涼しげな美人さんだったマドンナは、ついこのあいだどこぞの御曹司と結婚したと風の噂で聞いた。
「……そう」
その話を彼女に振るほど、私は馬鹿じゃない。
懐かしそうに、まだ愛おしそうにアルバムの写真を撫でるその仕種が、あまりに眩しいから。
それを大事に、取っておきたいなと思うから。
「きっと、今はもっと美人になっているんだろうね」
「だろうね」
私は、ただ彼女の恋する少女の横顔を見守るのだ。
END.