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格下ー<KAKUGEー>  作者: 愛雨村
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1-1

女性が遅刻する理由の第一位は、準備に思ったより時間がかかってしまった……

らしい。


男と違って女性は化粧やら髪のセットやら着る服に迷ってやらで忙しいから仕方がないというが、微妙に納得できない。

俺だって化粧はしないが、髪の毛はワックスでセットするし、それくらいの時間は加味しての起床時間だ。


『ごめーん! 少しでも綺麗に見られたくて頑張ったんだけどなかなか髪の毛がキマらなくて遅くなっちゃったー☆』


とでも言われたら可愛い奴め、よしよし。と言ってやるのが男ってものだってもの理解している。


だが、本音としては見通しの甘さとしか思えない。

そういう危険性を孕んでいるのだとしたら、もっと早く起きるべきだと思うし、どんな服を着るか等は前日に準備するべきだ。


かく言う俺も着る服はパンツからアウター、靴に至るまで前日にすべて用意していたし、ここぞという時に着ると決めていた服は事前に洗濯して当日まで保存している。


しかしながら俺も鬼じゃない。

髪が毛や化粧のセットがうまくいかない日もあるだろうさ。


それにしても一時間遅刻というのはどういうわけなのだろう。


なんだかんだ余裕こいていたため時間がギリギリになってしまい、待ち合わせ時間に間に合う一本前の電車にダッシュで駆け込み、周りの目もあるので静かに肩で息をしていた時にこの連絡にはとても脱力させられた。


長々と口上を述べさせてもらったが、結果何を言いたいかと言うと……頑張ったのに暇になって悔しいのだ。


大学三年生の春。最近ハタチになったばかりの京田大斗(キョウダ ダイト)は貴重な若い時間を持て余しているのだ。


「人間って多いな……」


平日だというのに人でごった返す新宿を見て一人呟く。


その場に立っているだけでも行き交う人々の足音、話し声、イヤホンから漏れてくる名も知らぬバンドの曲、車のエンジン音にクラクション、女性限定のアルバイト募集の宣伝トラックの爆音、排気ガスや香水の臭いまでありとあらゆる情報が波のように流れて五感を刺激する。


多数の路線が集まっているのもあり、色んなところから人が集まってくるのだろう。今日のデートのメインは旨いランチを食べることだが、新宿は集まりやすいという理由でも候補に挙がりやすい。


それなのに一時間遅刻・・・いや、もう蒸し返すまい。


切り替え、この時間を有意義に使うことを考えよう。気持ちに余裕を持って彼女を迎えるためにも。


心地良い気温となった5月。ごった返す人のおかげで夏を先取りするように体感温度が上昇している駅前を俺は後にした。

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