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Cafe Shelly

Cafe Shelly 男だから、女だから

作者: 日向ひなた

「家事の分担って、あなたが言い出したことじゃない。なのにどうしてきちんとやってくれないのよ!」

「ボクはこんなふうに分担をしようなんて言ってない。自分ができることを分担し合おうと言ったんだ。なのに君は曜日ごとにやることを分けるだなんて。こんなふうに平等にしようなんて考え方自体がおかしいんだよ!」

「平等に分けるのは当然のことじゃない。今は男女平等の時代なんだから。男性が料理をしないなんていうのは昔の話でしょ」

「だったら君はどうなんだよ?電球が切れたから交換してくれ、なんて言ってきて。それくらいのこと、できないのかい?」

「だ、だって、電気って怖いじゃない。ビリってきそうで…」

「それこそ、苦手なことはボクに押し付けて、それで男女平等って言えるのかい?」

 とうとうお互いの不満が爆発した。諒太と同棲をはじめて一ヶ月。結婚を前提に、お試し期間として一緒に暮らそうということで始まった生活。けれど、私も諒太もフルタイムの仕事を抱えている。特に私は研究職だから、残業も多い。なので家事をきちんと平等に分担しようということで話し合ってやってみた結果がこれだ。

「これならまだ一人で暮らしてたほうがマシだったよ!」

「私も、まだ一人のほうが気楽だった。私達、もうダメね。こんなんじゃ結婚しても、一緒に暮らしていけるわけないわ」

「まったく、そのとおりだ。悪いけどこの部屋を出ていってくれ」

 出ていってくれ、そうなんだ。私が諒太のマンションに押しかけている状況である。私は今まで実家ぐらし。残業も多かったせいで、家事などはほとんどやってこなかった。家に変えれば母親が食事を作ってくれている。あったかいお風呂も沸いている。洗濯だって終わっている。そんな生活が長かった。

 せめて料理くらいはできるようにならないと。ということで料理教室にはかなり通った。けれど、料理教室で作る料理と実際に生活をしながら作る料理とはわけが違う。料理教室で作るような料理は、休日に時間があるときに作るもの。仕事をしながらだと、どうしても時間がなくなる。なので、スーパーのお惣菜が多くなってしまうという結果になった。

 諒太は料理はまったくダメ。一緒に暮らす前は、行きつけの定食屋でほとんど毎日食事をしていた。作れるのはゆで卵くらい。あとはカップラーメンとレトルトのカレーとか。結果、諒太が当番のときにはレトルトものばかりが食卓に並ぶ結果になった。

「とにかく、もっと諒太が男女平等をきちんとしてくれないと、結婚なんてありえない。もうちょっと料理についても一生懸命やってよっ!」

「そう言うなら君だって同じだろう。もうちょっと片付けとか掃除とか、そういったことはきちんとやってほしいな。部屋を掃除するのは、結局ボクの役目になってしまうんだから」

「で、でも、諒太はきれい好きすぎるんだよ。まだ私が読みかけだった雑誌を、さっさと片付けてしまうし。掃除機だって、そんなに毎日かける必要ってあるの?」

「テーブルの上にものを置きっぱなしにしないのは当然のことじゃないか。掃除機は毎日かけるもの、これも当たり前だろう?君は一体どんな家庭で育ってきたんだ!」

 我が家のことを言われると、ちょっと辛い。私の家は商売をしているので、父も母も忙しくて家の掃除のことなどあまり気にかけない人たちだった。それに母「マニアかっ!」て言われるくらい、いろんなものをシリーズで取り揃えている。たとえば調味料。いつ使うの、というめずらしいものまでずらりと並べている。他にも雑誌や小物など、シリーズで揃えて並べるのが好きなようだ。おかげで実家の家の中は、いつもゴチャゴチャしている。

「どんな家庭って、私の家のことを悪く言うの?そういう諒太こそ、どんな家庭で育ってきたのよ?今どきの男子だったら、ご飯を炊くことくらいはできなきゃおかしいんじゃないの?」

「おかしいってなんだよ。我が家では料理は全部母がやってくれていたんだ。ボクが勉強に専念できるよう、いろいろと配慮してくれていた母を侮辱するのか?」

「えぇ、侮辱するわ。確かに諒太は頭がいいです。有名大学を優秀な成績で卒業して、立派な商社に勤めて。お金だって何不自由のない生活をしているよね。だから一人じゃ広すぎる、こんなすごいマンションに住んでいるんだし。庶民育ちの私とは全然違うというのがよーくわかったわ!」

「そこまで自分を卑下しなくてもいいだろう」

「卑下したくなるわよ。出会った時は、とても優しくて女性のことを大切にしてくれる人だと思っていたのに。でも、結局は女性というのをただの家事のお世話役としか見てなかったのよね」

「そうじゃないって。ボクはただ、家のことの分担は自分ができることを中心にやったほうがいいって、そう言っているだけなのに。どうしてわからないかなー」

「わかってないのは諒太の方じゃない。私だって働いているのに」

「そもそも、女性の君がそんなにフルタイムで働く意味ってあるの?家計は男が働いて稼ぐ、女はそれを守る。それで十分じゃないか。ボクの稼ぎじゃ不十分だって言うのかい?」

 この言葉には驚いた。まさか、未だにそんな昭和時代のようなことを言う人がいるだなんて。

「今は男女平等の時代でしょ。昔みたいに、男が稼いで女が家事をする、なんていう事自体が時代遅れじゃないの?」

「我が家はそうしてた。父がしっかりと稼いできて、母は家にいて家庭を守る。家計だって、母がしっかりと考えてくれていたおかげで、ボクたちの教育費だって借金もせずに捻出することができていたし。そんな母を侮辱するというのかい?」

「侮辱しているわけじゃないわ。でも、私にはそんな事はできない。諒太の家はそうだったかもしれないけど、私の家は違うんだから。うちは両親とも商売でお店に出ていたから、何をするのも一緒に考えてやってたの。そりゃ、毎日の晩御飯とかは母が買い物をしていたけれど、そのための費用は夫婦二人で考えて、毎月このくらいでやっていこうって話し合ってたわ。それに、私は今の仕事が好きなの。お金を稼ぎたくてやっているんじゃないの。そこはわかってほしい」

 私がなぜ今の仕事をしているのか。それはお金が目的ではない。幼い頃から科学に興味を持ち、徐々に遺伝子工学というものに惹かれていった。学校も農学部で遺伝子の専門課程を卒業し、今は種などの遺伝子について研究し、害虫や環境変化に強い種を作るような研究を行っている。

 この話をすると、よく言われるのが

「女なのに、よくそんな研究職をやっていられるね」

という言葉である。確かに周りは男性ばかり。けれど、この仕事に男も女もないと思っている。そもそも、男だから、女だからという意識は私にはない。そのため、諒太にも料理はやってほしいし、家事全般もお願いしたいと思って役割分担を決めたつもりだった。

 けれど、諒太の考え方は違う。男だからこれをやるべし。女はこうあるべし。そういった古い考え方を持っている。このことは付き合っているときにはそれほど意識はしていなかったが、同棲を始めてから顕著にその考え方が出てきたような気がする。

「もういい。君とはこれ以上一緒に暮らしていくことはできない。悪いけど、ここから出ていってくれ」

「わかったわよ。私もこれ以上諒太に合わせるつもりはないわ。でも、さすがに今すぐってわけにはいかないわよ」

「じゃぁ、いつ出ていくんだい?」

「今日が木曜日だから、日曜日まで待って。それまでには出ていけるように、荷物を片付けて準備するから」

「わかった、じゃぁそうしてくれ。その間まではもう当番制はやめていいよな」

「いいけど…食事は外で食べてくるからいいけど、掃除や洗濯はどうするの?」

「洗濯機は自由に使っていい。掃除は気になったらやってくれればいいけど、無理はしなくていい。そもそも、君は掃除は苦手だろう」

 そう言われると、反論もできない。

「じゃぁ決まりだ」

「あ、寝るときはどうするのよ。今まで一緒のベッドだったけど」

「君がベッドを使えばいい。ボクは下に布団を敷いて寝るから」

「そうはいかないわよ。ここは諒太の部屋なんだから。私が布団で寝るわよ」

「女性にそんなことをさせる訳にはいかないよ。君がベッドで寝なさい」

 こういうときだけ、女性に対しての優しさが出るんだから。まぁいい、これ以上こんなことで議論しても意味はない。諒太の言うとおりにするか。

 ということで、今夜はこれで終わりにして寝ることにした。諒太ともこれで終わりか。結婚まで考えていたけれど、やっぱり意識が違いすぎたんだな。なんだか悔しい気もする。

 翌朝、本当なら諒太の食事当番の日。けれど、私は勝手に冷蔵庫の中身を見て、自分だけの朝食を作る。が、つい二人分のスクランブルエッグを作ったり、パンを焼いたりしてしまった。結局、二人分の朝食がテーブルに並ぶ。そのときに諒太が起きてきた。

「あ、おはよう」

「ウー、おあよー」

 諒太は朝が弱い。逆に私は朝が強い。諒太が食事当番のときには、朝ごはんの準備をさせるのは一苦労だったな。結局、トーストとインスタントコーヒー、それに前の晩に作っておいたゆで卵だけという日がほとんどだった。男の料理なんてこんなもんだ。逆に私が作ると、諒太は「朝から量が多い」と文句を言う。だから、徐々に朝食は軽めになっていった。

「あ、作ってくれたんだ。ありがとう」

 昨日の態度とは違い、素直にお礼を言ってくれる諒太。こういうところはきちんとしている。だから好きになったんだけど。そうなんだよなー、決して諒太のことそのものが嫌いになったわけじゃない。まだ未練はある。

 でも、男だからとか女だからとか、根本の考え方が私と大きく違う。この点さえなんとかなればいいんだけど。誰か諒太を教育してくれないかしら。そう思いながら、トーストをかじる。

 この日、私はやたらと忙しかった。仕事のことではなく、諒太との同棲をやめることに対して。まずは実家に連絡。当然ながら、父も母も驚いていた。父は仕方ないと言ってくれたが、母はもうちょっとがんばりなさいと言う。ともかく一旦家に戻るからと伝えるが、母は納得してくれない。

 さらに困ったことも起きた。私達のことを出会いからずっと知っている友達の早紀。彼女にも当然諒太とのことを伝えたのだが…

「えーっ、何言ってんのよ。そのくらい、男女のことなんだから、意見が違うのは当たり前でしょ。きちんと話し合っていかないと。たったそれだけのことで別れちゃうなんてもったいないよ。諒太くんほどの男は、この先見つからないよ!」

という感じで、とにかく復縁させようと必死になっている。

 でも、早紀の言うようにこういうのって男女の間では当たり前のことなのかな?

 とにかく、日曜には荷物をまとめて部屋を出ていかないといけない。私の荷物を運び出すのに車が必要だし。父に車を出してもらうのは、お店をやっているから無理だしなぁ。諒太にお願いするのもシャクだし。さて、どうすればいいか。

 同僚の誰かにお願いするしかないのかなぁ。うーん、悩むなぁ。

「あれっ、どうしたんですか?今日はなんだか元気がないですね」

「熊野くん、わかる?」

 話しかけてきたのは三つ下の後輩、熊野くん。人懐っこい性格でいつも明るい。誰からも好かれる人って、こういう人のことをいうんだっていう見本みたいなやつ。私と諒太のことは、職場のみんなは知っている。結婚も秒読みだって言われているくらいだったから。

「あ、わかった。彼氏さんとケンカでもしたんでしょ」

「あはっ、正解。おかげで彼のマンションから出ていくことになっちゃったんだよなー」

「それは穏やかじゃないですね。どんなことでケンカしちゃったんですか?」

 なぜだか熊野くんだったら話せる。そう思って私は彼との経緯を話して、日曜までに荷物を運び出さなければいけないことを語った。

「そうですか…じゃぁ、ボクが車を出しましょうか」

「えっ、いいの?」

「はい、そのかわり一つ条件があります。明日、彼氏さんと一緒に行ってもらいたいところがあるんです。そこに行ってくれたら、車は出しますよ」

「諒太と一緒に?うぅん、それはできるかな…。そもそも、どこに行けばいいの?」

「喫茶店です」

「喫茶店?どうしてそんなところに?」

「その理由は行けばわかりますよ」

 今は熊野くんに頼るしかない。仕方ない、喫茶店くらいなら最後に諒太も一緒に行ってくれるだろう。しぶしぶ了承して約束を取り付けた。

 この日、帰ってから早速諒太に事情を話した。

「変な要望だな。まぁ喫茶店くらいなら最後に一緒に行ってやってもいいけど」

 反対されるかと思ったけれど、案外すんなりと要望が通った。これは意外だったな。

「で、どこに行けばいいんだい?」

「うん、街なかにあるカフェ・シェリーってところ」

「どうしてその喫茶店に?」

「熊野くんが言うには、とにかく行けばわかるって。それ以上のことは言わなかったのよね」

「なんかミステリアスだな。ちょっと興味が湧いてきた」

 諒太、実はミステリー小説が好きで、部屋の一角にはずらりと本が並べてある。いわゆるコレクターってやつだ。きれい好きのくせして、こういう本は捨てないんだな。

 本なんて一度読めば十分じゃない。図書館で借りてくればいいと思うんだけど。どうして男ってのは、何かをコレクションしたがるんだろう。ここが私には理解できない。

 翌日、早速諒太と喫茶店へと足を運んだ。こうやって一緒に出歩くのも、これが最後なのかな。

「ここかな」

 熊野くんの描いた地図を頼りに到着。

 お店の外には黒板の看板がある。そこにこんな言葉が書かれていた。

「それぞれには、それぞれの役割があります。まずは自分のできることを見つけてみよう」

 役割か。諒太との同棲生活の中で、私の役割って結局何だったのだろう。それがよくわからないまま、今に至っている。

 お店はこの看板のあるビルの二階。諒太が先に階段を上がっていく。諒太、何をするにも私よりも先に行動を起こす。男だから、先にリードしていかないと、という意識が高いようだ。私もどちらかというと先に行動するタイプだから、人よりも前に出ようとする癖がある。そのため、諒太が前に出るのは少し違和感を覚えてしまう。

カラン・コロン・カラン

 扉を開くと心地よいカウベルの音。いいな、これ。

 同時にコーヒーの香りが漂ってくる。それだけじゃない、なんだか甘い香りもする。なんだか異空間に入った感じがするな。

「いらっしゃいませ」

 女性の声が私たちを出迎えてくれた。少し遅れて、男性の渋い声でも「いらっしゃいませ」が聞こえてくる。

「お二人ですか?」

「はい、二人です」

 今度は諒太よりも先に私が応えた。私の存在をここでアピールしておかなきゃ。

「では、あちらの窓際のお席へどうぞ」

 案内されたのは、窓際の半円型のテーブル席。すでに別のカップルが座っているが、窮屈な感じはしない。

「なんだかここ、気持ちいいね」

 柔らかな光が差し込み、いい香りもする。これはアロマの香りかな。

 そこから店内を改めて見回す。お店の真ん中には三人がけの丸テーブル席。ここにもすでに男性三人が座り、何やら話をしている。そしてカウンターは四席あって、二人が座りお店のマスターと会話をしている。どうやら常連客のようだ。

「こんな感じの喫茶店、あったんだ」

 諒太も同じようにお店の中を見回している。どうやらこの店が気に入ったようだ。私もこのお店が一目で気に入った。

「ご注文は何にいたしますか?」

 そう言われると考えてしまう。そもそもこのお店には、熊野くんが行けばわかると言われて来たのだから。

「あの…実はここには知り合いから、行けばわかるからと言われて来たんです。でも、それがどういう意味なのか、いまいちわからなくて」

「なるほど、そういうことでしたか。ちなみにその知り合いってどんな方ですか?」

「熊野くんといって、歳は二十代半ば、背が高くていつも明るくてニコニコしている人です」

「あ、あの熊野さんのお知り合いでしたか」

「えっ、熊野くんのこと、知っているんですか?」

「はい、よくいらしていますよ。そうですか、ではぜひシェリー・ブレンドを飲んでみてください」

「シェリー・ブレンド?」

「このお店のオリジナルブレンドです。魔法のコーヒーなんですよ」

「魔法のコーヒー?」

「なんだか面白そうだな。じゃぁそれをいただきます」

 ミステリー好きの諒太は、店員さんの言葉にすぐに飛びついた。私はそういうのは今ひとつ好きになれない。どちらかというと現実主義なので、魔法とかオカルトみたいなのは敬遠してしまう。私って、とことん研究者だなぁ。

「失礼ですけど、お二人は今何か悩みを抱えていらっしゃいますか?」

 店員さん、突然そんなことを言い出した。

「どうしてそう思ったのですか?」

 私がそう言った途端、諒太は私の口を人差し指で塞いだ。

「それはボクが推理しよう」

 諒太のミステリー好きが始まった。何かあると、すぐ推理をしようとするんだから。

「ボクが考えるに、まず君の表情。さっき魔法のコーヒーの話をされた時、ボクが喜んだのに対して、君は少しムッとした表情を浮かべたね。つまり、君とボクは意見が一致しない。それを見て店員さんは悩みがあると判断したんだ」

 まったく、男ってやつはどうしてこう推理とか論理とか好きなのかなぁ。私には到底理解できない。

「すごい観察力ですね」

 店員さんがそう言って諒太の推理を褒めてくれた。しかし、次の言葉は諒太の気持ちを落胆させるものだった。

「でも、残念ながら不正解です」

「えっ、じゃぁどうして悩みを持っているってわかったんですか?」

「だって、お二人の雰囲気がとてもラブラブな感じじゃありませんでしたから。ということは、二人の間に何か問題でも起きているんじゃないかって。だから悩みを抱えているのかなって。そう思ったんです」

「ラブラブな感じじゃないって、それはどこを見てそう思うんですか?」

 諒太が食ってかかった。それに対して店員さん、さらりとこう言う。

「うーん、女のカンです」

「女のカン。でた、これだから女性ってのは。そこが男には理解できないところなんだよな。何らかの変化や特徴を捉えたからこそ、そのように考えるべきなんだよ。その点を曖昧にしたまま、単にそう感じたと発言するのが女性の特徴なんだよなぁ」

 諒太は単に推理好きと言うだけではなく、男とはこうだ、女とはこうだと説くことがしばしばある。今回のセリフも何度か耳にしたものだ。

「ともかく、その魔法のコーヒーとやらを早く飲ませてくれないか」

「失礼いたしました。マスター、シェリー・ブレンド、ツー」

 店員さんがカウンターにいるマスターに注文を伝える。するとマスターが「かしこまりました」と応える。たったそれだけのことなんだけど、ちょっとうらやましく感じた。呼べば応える、今の私たちに欠けているものだと思ったから。

 諒太に何か呼びかけると、すぐに反論をしてくる。私も同じ。いつの間にそうなっちゃったんだろう。諒太はすぐに「だから女は」と言うことが多い。同じように、私も「だから男は」と口にしてしまう。同棲を始めた最初の頃はそんなことなかったのに。

「どうして君の同僚は、このお店にボクたちをよこそうと思ったんだい?」

「私もそれはわからないのよ。とにかく行けばわかるから、としか言わなかったから。店員さんは熊野くんのことはご存知なんですよね?どうしてだと思いますか?」

 私は思い切って店員さんにこのことを聞いてみた。すると意外な答えが返ってきた。

「熊野さん、最初はあんな感じじゃなかったんですよ」

「えっ、どういうことですか?あんな感じじゃなかったって」

「最初にここに来たのは三年前だったかな」

「三年前といえば、熊野くんはまだうちに入社する前か。熊野くん、今二十五歳だったから、まだ学生じゃないかな」

「はい。あの頃はまだ学生でした。すごく自分に自信がなくて、社会人になるのが怖いって、そう言っていたのを覚えていますよ」

「その彼に、何が起きたのですか?」

 諒太が口を挟む。諒太も熊野くんがとても明るい正確なのは知っている。今回のことで私が熊野くんのことを話したからだ。諒太、ミステリー好きなためか、かなり興味津々だ。

「ここで魔法のコーヒー、シェリー・ブレンドを飲んだ。それだけですよ」

「それだけで性格って変わるものなのですか?」

「いえいえ、一度飲んだだけで変わったわけではありません。何度かここに足を運ぶうちに、自分が何をすべきかに気づいてきたようです。それで今のような明るい性格に変わっていったんです」

「じゃぁ、ここの魔法のコーヒーには人の性格を変える何かがあるって、そういうことか…」

「まぁ、直接そういう作用があるわけじゃないんですけど。熊野さんの場合は結果的にそうなってしまったと言った方がいいでしょうね」

「じゃぁ、一体どんな作用があるんだろう」

「それはお二人が今から体験すればわかりますよ」

 そんな会話をしていると、カウンターからマスターが店員さんを呼ぶ声が。どうやら注文したコーヒーができたようだ。

「魔法のコーヒーっていうのも気になるが。あの店員も気になるね。お客さんに対して、ちょっとおしゃべりなところもあるようだな。まったく、女性ってどうしてこうもおしゃべりが好きなんだろうね」

 女性全員がおしゃべり好きというわけではない。実は、私は井戸端会議というのが苦手である。母は商売柄、近所の奥さん連中と店先で井戸端会議を開くのが多かったが。そこで交わされるのは、あそこのダンナがどうだとか、あっちのおばさんがどうだとか、そういった人物批判が多かった。そういった噂話をするのが、私は苦手である。だから、中・高生の頃に友達同士で別の友達を批判するような話には近づかなかった。

「お待たせしました。シェリー・ブレンドです」

「きたな、噂の魔法のコーヒー!」

 諒太は早速という態度で待ち構える。私も興味はあるけれど、それよりも諒太の方が気になる。果たしてどんな味がして、どんな反応を示すのか。

 二人で同時にコーヒーに口をつける。

 うん、おいしい。これは今まで飲んだコーヒーとは違う。なんだか飲むと落ち着く。

 そうなんだ、諒太との生活もこの味くらい落ち着くといいんだけど。そもそも家庭って、そうあるべきよね。諒太と同棲を始めてから、落ち着くどころか慌ただしさしか記憶にない。やらなければいけないことに追われてしまっていたからなぁ。自分の好きなことなら、いくらでも時間を使っても疲れないのに。やりたくないことばかりやらされてしまっていた気がする。

 そんなことを考えていたら、諒太のささやきが耳に入ってきた。

「なんだ、この味。味というより、この感覚だ。心と体が解放された、何ものにも縛られない。そうだ、まさに自由の感覚だ。もっと自分の好きなこと、ここに時間を使うことができる、その解放感。これぞまさに人生」

 諒太、急に詩人になるんだから。でも、諒太の言っていることって、私の思いと全く同じじゃない。つまり、同棲をすることで自由どころか縛られることしかお互いにやってこなかったってことだよね。

「彼氏さんの方は解放感を感じたのですね。彼女さんの方はいかがでしたか?」

 店員さんの声で、今喫茶店にいたことを思い出した。

「あ、とてもおいしかったです。その上で、私は落ち着きを感じました。なにものにも縛られない、そんな感覚です」

「ということは、彼氏さんと同じですね。お二人とも、何ものにも縛られない、自由な感覚を欲しがっているということになりますね」

 確かに店員さんのいう通りだ。でも、このコーヒーを飲んだ時にそんなことを思いつくというのはどうして何だろう?

「お二人とも不思議そうな顔をしていますね。どうして私にそれがわかるのかって」

「はい、その通りです。いや、ちょっと待てよ。これって単なる誘導尋問?」

 諒太は店員さんの言葉を深読みする。けれど、店員さんは笑ってこう答えた。

「これが魔法のコーヒー、シェリー・ブレンドの効果なんです」

「これが?」

「そう。シェリー・ブレンドは飲んだ人が今欲しいと思っているものの味がします。人によっては、その光景がイメージとなって頭に浮かんでくる人もいらっしゃいます」

 にわかには信じられなかった。けれど、今体験したことがまさにそうだったから、信じるしかないのか。

「だからか。ということは、君も同じことを考えていた。そういうことか?」

 諒太の言葉に、私は首を縦に振った。

「でも、どうして同じもの、何ものにも縛られない、自由な感覚が欲しいと思ったんだ?」

 その答えは簡単。私は諒太に縛られっぱなしだったから。

「ひょっとしてですけれど、お二人とも今共通の悩みとかお持ちでないですか?」

 店員さんの質問に、私はすぐにでも答えたかった。が、これを言うと諒太は怒り出すんじゃないかって、そう思ってしまう。諒太は自分が考えていることを先に他人に口にされるのを嫌う。これが推理小説マニアの困ったところだ。

「まぁ、おそらくこのことじゃないかって心当たりはなきにしもあらずだけど」

 諒太、えらく言葉を濁すなぁ。

「せっかくですから、悩みをここで解消していきませんか?」

「うぅん、まぁ人に話すようなことじゃないんだけど…」

 あ、出た。これも諒太の悪い癖だ。自分に不利なことや恥ずかしいと思うようなことに対しては、素直な態度は取らない。グズグズした口調で、なかなか口にしないんだから。

 もうここまできたら我慢できない。

「実は、私たち同棲していたんです。でも、一ヶ月暮らしていたら、色々と不満が募っちゃって。それで、結局別れることにしたんです。今日はある意味、最後のデートだったんです」

 私がスパッと言っちゃったものだから、諒太はあたふたしている。店員さんはなるほど、といった顔つき。

「それで自由な感覚なのか」

 どうやら納得してくれたようだ。

「失礼ですけれど一つ質問してもいいですか?」

 店員さん、真剣な顔つきで私たちにそう言ってくる。その気迫に負けてなのか、諒太はかしこまって首を縦に振る。私もそれに合わせる。

「もしかしたら、家事分担といって相手に苦手な分野を押し付けていた。そんなことありませんでしたか?」

 店員さん、ズバリ私たちのことを見抜いていた。

「その通りです。でも、二人とも働いているんですから、そのくらい当然のことかと思うのですが」

「そうですよね。二人とも働いていたら、やはり家事の負担は均等にするべきだと私も思います」

 あれっ、店員さんって私の考えと同じじゃない。だったらどうして今の質問をしてきたんだろう?

「でも、曜日でスパッとやることを分けられても。料理が苦手なのに、無理やりそれをやらされる身にもなってくださいよ。どうしてもお惣菜とかインスタントものに頼らざるを得ないじゃないですか。それに対して文句を言われても」

「苦手なことを押し付けられるのも嫌ですよね。いくら均等といっても、相手と同じように働けないこともありますよね」

 今度は店員さん、諒太の味方になっている。じゃぁ、どっちが正しいんだ?

「そもそも均等って何でしょうか?」

 店員さんの問いかけに、私は考えてしまった。均等、私の考えでは、同じくらいの仕事量をこなして欲しいということ。だから、料理でも洗濯でも、同じ仕事量を等分に分けることが均等だと思っていた。

 そのことを言葉にしようとしたら、先に諒太の方が答えを出してきた。

「均等っていっても、時間できっちり分けたり仕事量をきっちり分けたりといったことじゃないと思うんですよね。自分が得意なことをやってのけ、相手の苦手なところを補完できれば、それもまた均等になると思うんですけど」

「なるほど、彼氏さんはそう思うんですね。じゃぁ彼女さんは?」

 諒太に先にそう先制されると、自分の考えを答えにくいじゃない。でもここは思い切っていうべきだ。

「私はちょっと違います。やっぱり同じだけの量を働いてくれないと均等とは言えないんじゃないかって。自分の得意なことだけやられて、苦手なところを押し付けられた結果、私の方がたくさん働いたんじゃ均等とは言えませんよね」

 さぁどうだ。店員さん、同じ女性なんだからこのことはわかってくれるはずだ。

「彼女さんは内容よりも量を重視する、ということですね」

 まぁ、そうなるかな。さて、何が正解なんだろう?

「私の話をしてもよろしいでしょうか?」

 店員さんがそう言ってきた。一体どんな話なのだろう。興味はある。

「えぇ、どうぞ」

 答えたのは諒太。すると店員さん、一度ニコリと笑って小さくうなずいた。

「私、結婚しているんです。相手はあそこにいるマスターです」

 えっ、マスターがこの店員さんの旦那さん?これには諒太も驚いたようだ。二人してマスターの方を見てしまった。なぜならこの店員さん、どう見ても私よりも若い。が、マスターは渋みを増した中年男性。歳の差がありすぎではないか?

「うふふ、見ての通り歳の差カップルなんです。だからなのか、結婚してからマスターとは話が合わないところ、生活習慣の違いなんかをとても感じましたよ」

「例えばどんなことですか?」

 ふと沸いた疑問、口の方が先に飛び出してしまった。

「マスター、男性の割には電気系には弱いんです。テレビなんかの配線も苦手で。男ならこのくらいできるだろうと思ったら無理なんですよ。だから、いつも知り合いの電気屋さんに頼っています」

「他には?」

 今度は諒太の方が口にした。

「あとは料理。マスター、もともと料理はしないことはないんですけど、結婚したら全然してくれないんですよ」

「じゃぁ、店員さんも不満があるんじゃ…」

 私がそう言いかけたとき、諒太はムッとした顔をした。自分への当てつけか、と言わんばかりの顔つきだ。

「いえ、そんなことはありません。その代わり、私が苦手とする掃除や片付けをしてくれるし。洗濯機を回すのは私ですが、洗濯物を干してくれるのはマスターだし。マスター、なぜか洗濯物を干すのにこだわりがあるんですよね」

 あ、これ諒太と同じだ。

「我が家の場合、こうやってお互いができることをきちんと役割分担しているんです。このお店でもそう。マスターはひたすらコーヒーを淹れることに集中してもらっています。私はこうやってフロアの仕事とクッキーを焼くこと。あとは買い物とかしてるかな」

 お互いができることを役割分担する、ということか。

「じゃぁ、お互いが苦手とするようなところは、さっきの電気屋さんに任せるというように、外部の人にお願いすればいいってことですか?」

 諒太が質問をする。

「はい、そう割り切っています。お互いにできることを分担して、できないことは誰かに任せる。これを結婚したときに決めたんです。そのおかげで、お互いにできないところを責めるということはしなくなりましたよ」

「そうか、そういう手もあったのか…」

 諒太、何やら呟きながら考えている。私はあることが頭にひらめいた。

「じゃぁ、私たちもそうやっていけば、今の不満が解消できるかもしれない。そういうことなんですか?」

「うぅん、それはお二人次第だと思います。あくまでも私とマスターはそうやってきた、ということですから。これが絶対的な正解というわけじゃないんですよね」

 絶対的な正解じゃない。けれど、かなり参考になるのは間違いない。

「まずはお二人が、どんな生活を望んでいるのか。それをはっきりさせてみてはいかがでしょうか?」

「どんな生活を望んでいるのか、ですか?でも、どうやってはっきりさせればいいんですか?」

 私の問いかけに、瞬時に答えたのはなんと諒太だった。

「魔法のコーヒー、これでハッキリする。これを飲めば、今望んでいるものを感じ取れるのですよね?」

 店員さんはにこりと笑って首を縦に振った。

「よし、飲もう!」

 私の目を見て、諒太はそう言う。諒太のその勢いに負けて、私はコーヒーカップを手にする。そしておもむろにコーヒーを口にする。諒太もコーヒーを一気に飲み干した。そして味を確認する。

 えっ、さっきと味が違う。どうして?

 さっき飲んだ時に感じたのは解放感。広がる感じがしていた。けれど今度はその逆と言ってもいい。一つのところに深く、深く入っていく。コーヒーの深い味わいとでもいうのだろうか。その深さが逆に心地よい。

 じゃぁ、この深さって何なのだろう?そう思った瞬間に浮かんできたのは、諒太との家庭生活。同棲とは違う、もう二人とも深いところでつながっている、そんな感覚だ。

 そのつながりがとても気持ちいい。なんでも分かり合える。まさにツーカーの仲とはこのことをいうのだろう。

「今度はいかがでしたか?」

 店員さんの言葉でハッと我に返った。ここで諒太を見る。すると、諒太も私の方を見ている。そして何故だか笑みがこぼれてきた。諒太も同じように微笑んでいる。

「店員さん、わかりました。自分が今、何を求めているのか。これからどうしていきたいのかが」

 諒太、私の方を見つめながらそう言う。そしておもむろに私の両手を握りしめ。こんなことを言い始めた。

「君が思っていること、考えていることをもっと理解したい。そして、もっと深いところでつながっていたい。それが今の自分が望んでいることだ」

 私と同じことを思ってくれていた。それがすごく嬉しい。

「私も同じことを思った。私、諒太ともっと深いところでつながっていたい。そのためには、もっとお互いのことを思いやりつつ、できることをやっていくのが本当だってわかった。今まで私の一方的な考え方を押し付けてしまってごめんなさい」

「それは自分も同じだよ。もっとお互いの都合や気持ちを考えて、どんな役割分担をすればいいのかを考えていこう」

 このとき、さっきコーヒーを飲んだ時のあの感触が得られた気がした。そうなんだ、これを求めていたんだ。すごくスッキリした気持ちになった。

「じゃぁ、そんなお二人にわたしから一つアドバイスしてもいいですか?」

「はい、どんなことでしょうか?」

 店員さんの言葉に、諒太がすかさず反応する。

「役割分担を決める時に、男だから、女だからという意識は外した方がいいですよ。男だから力仕事、女だから料理や家事全般なんて考えずに、お互いができること、得意なことを優先する。そしてお互いにできないところをどう補っていくのか。そうやって考えてみてください」

「はい、ありがとうございます。今言われたこと、私、そこにとらわれすぎていた気がします。そのせいで諒太に無理を言いすぎてしまったみたいです」

「自分も同じです。女性だからきっとこういうことをやってくれるはず。そう期待しすぎていたところがありました。けれど、男性だからって言われてムッとくるように、女性も同じなんですよね。そんなこともわからずに、相手に自分の考えを押し付けていくなんて、よく考えたら馬鹿げています」

 諒太と心が通じた。よし、これから改めて諒太と一緒に暮らしていこう。そもそも、諒太のことは好きなんだから。だから、もう一度やり直してみよう。

「じゃぁ、早速家に帰って、お互いの役割分担を決め直そう」

「私、もう出て行かなくてもいいの?」

「もちろんだ。そもそも君のことを必要としている自分がいるんだから。だから、出て行かないでくれないか」

「うん、わかった。ありがとう。店員さん、色々とアドバイスをしてくれて、本当にありがとうございます」

「いえいえ、お節介かなーとは思ったんですけど、熊野さんが紹介してくれたということだったから、きっと何かあるんだろうなとは思ったもので」

「お節介だなんてとんでもない。おかげで助かりました。本当にありがとうございます」

 諒太も店員さんの行動に対して、素直に感謝している。諒太、なんだか素直になったな。

「なんだか解決って感じだな。それにしても熊野くんが、ここに来ればわかるよって言ってた意味がわかりました。このお店、気に入っちゃったな。ねぇ、諒太、このお店に時々一緒に来ない?」

「うん、それいいね。そうすれば、二人に何かあっても初心に戻れそうな気がする」

 確かに、この先まだまだ二人にはいろんな困難や葛藤が待ち受けているだろう。けれど、ここで二人で魔法のコーヒーを飲めば、また今日のような気持ちに戻る事ができる。

 こうして二人の仲は元に戻った。いや、前進したと言っていいだろう。諒太のマンションに戻ると、すぐに役割分担を決める作業に取り掛かった。といっても、すんなりとは決まらなかった。やはり自分の思いがお互い強いところもある。けれど、前はそれを押し通そうとしていたが、今はそうではない。きちんとお互いの思いを紙に書き出し、どうすればいいのかを二人で考える。そんな作業を続けた。

 そうやって一週間ほどかけて、ようやく二人の役割分担が決まった。そこには男だから、女だからというこだわりはない。男とは、女とはこういうものという概念を外したからこそ、納得いくものが出来上がった。そこには二人の未来がある。

「ねぇ、せっかく納得いく役割分担が出来上がったから、あの喫茶店に報告に行かない?」

「うん、それいいね。同じことを思っていたところだったよ」

 男とはこうあるべき、女とはこうでないといけない。こういった思い込みの枠を取り去って、自分達の価値観をしっかりと分かち合いつつ、同じ方向を向いていくこと。これが夫婦生活なんだな。

 私たちも、あの喫茶店の店員さんとマスターのような、みんなから羨ましがられる夫婦として、この先歩んでいきたい。

 と言いつつ、実は早速問題勃発。

「結婚式は断然、神前に決まっている。日本古来から結婚式はこうなんだから」

「私はウエディングドレスを着て、教会で式をあげたいの。これは私の長年の夢だったんだから!」

 この問題、今までの役割分担と違ってしばらくは揉めそうだな。何しろ、今度はお互いのこだわりが強いからなぁ。でも、たまにはこうやって二人の意見をぶつけ合うのもいい。きちんと本音をぶつけ合って物事を決めていくこと。今後の夫婦生活ではこれが大切なことなんだから。

 と言いつつも、果たして結婚式問題、きちんと解決するのかしら。これも魔法のコーヒー、シェリー・ブレンドに頼ってみるしかないかな。


<男だから、女だから 完>

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