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『せどり』おじさんがVRMMOの街を支配するまでの一年間

作者: せどりおじさん

『せどり』とは、『同業者の中間に立って品物を取り次ぎ、その手数料を取ること。また、それを業とする人』


主に、「掘り出し物を第三者に販売して利ざやを稼ぐ」商行為を指す。(wikipediaより)


「……はー、今日もあまり注文が入らなかった……」


「最近はせどりの競合相手も増えてきたし、厳しいなぁ……」


――『世界初のVRMMO、来月発売!』


「ほー、ついに完成したんだなぁ。詳細は……っと」


――『無限に広がる世界で、冒険しよう!』


――『様々なクラス、職業、魔法、テイマー、生産も!』


――『』


「夢があっていいねぇ。けど、今はVR機を買う余裕がなぁ……って、ん?」


――『公式RMTも今後実装予定!』


「ほう……これは……もしや……」






「いけるかも……」ニヤリ




* * *




 二ヶ月後(・・・・)()はこのVRMMOの世界に降り立っていた。


どうして二ヶ月後かというと、初回会員登録の申込がもう過ぎていたのもあるが――


「うーん、まだ慣れないなぁ……この女性(・・・)の姿は」


今の俺は、いろんなMODを組みわせて一六歳ぐらいの美人エルフ――に見えるようメイキングした姿である。


『せどり』と違って対面で物を売らなければならない以上、儲ける上で性別は大事だ。


男なら誰だって、店員が女性のほうがいいだろう?MMOなんて女性が少ないゲームならなおさらだ。


そう、この二ヶ月は主に情報収集と、このアバター作成に費やした。


ただ、この姿にも一つ難点があって……


「それにしても、リアル性別と同じアバターしか選べないとはなぁ。おかげでカスタムが大変だったじゃないか」


そう、アバターの素体はあくまで男性なのである。


最初はイケメンエルフで行くプランも考えたのだが、悩んだ結果、女装で行くことにした。


このゲームでは「男性」を示すようなアイコンがないし、女性専用装備とかもなかったのが決め手だった。


これなら女装とバレることはまずないだろう。




「さ、て。まずは元手を作るために……」


この1ヶ月で、情報も収集済みである。


初回ログイン位置は最も広い広場であり、プレイヤーたちの露天、パーティ募集、ギルド勧誘など、様々人たちでひしめき合っている。


その中で、ギルド勧誘をやっている一角に来た私は、私の容姿に見とれている野郎どもの中で、最も装備が豪華でLvも高そうな一団に声をかける。


「すみません。始めたばかりなのですが……ギルド?って何ですか?」




* * *




 一週間の間、彼らの元に毎日通い、手取り足取りゲームの遊び方を教えてもらい、レベルもお金も増えた私は、当然のようにギルド勧誘を受ける。


「わぁ、私がこんなトップギルドに入ってもいいんですか?」


(やっとかよ。勧誘遅すぎだっつーの。寄生したくない素振りをしつつ寄生する演技も大変だってのに)


当然、返事は[OK]。まだまだ彼らには利用価値があるしな。


「これで彼女はギルドの一員となった。こちらこそ、よろしく」


『よろしく~』『よろ』『46』


この場に居ないメンバーからもギルドチャットで返事が帰ってくる。フハハ、モテモテではないか。もっと貢いでくれてもいいんだぜ?


「ありがとうございます。商人クラス(マーチャント)なので、戦闘ではあまりお役には立てないかもしれませんけど……精一杯、やらせていただきますね」


さて、次は……




* * *




「さ~、見ていってください~!火山で必須の火耐性鎧がなんとこの価格!!」


 一ヶ月後、私は市場の中心部で商店を開いていた。


市場の端の方の露天ならともかく、中心部の屋根付きの広いスペースは開くのに一定額が課せられる。


だが、この一ヶ月で稼いだ(貢がせた)初期資金と、寄生して育てた商人クラス(マーチャント)スキル。


ギルド経由で調べた今の攻略最前線の装備やアイテムの知識。


リアルでの『せどり』経験。


手間暇かけて作成した美少女アバター。


これだけあれば、その程度の金額など問題にならないほどであった。


あ、もちろん私が今売ってる火鎧を自分で作ってるわけではないよ?


いかついおっさんアバターの生産者(下僕3号)から買い取って、私が利益をのせて売る『せどり』をしているだけである。


むしろ美少女の私が売るという付加価値がついているので、『せどり』以上の何かだろう。


「今の攻略はヴラド火山だから、火属性の防具と水属性の武器が売れ筋だが……、地や風、それに聖・闇が必要になる場所もいずれ出てくるだろうな」


そして、今後の動向予測も欠かせない。


この会社の過去のゲーム開発を見る限りでは……次はゾンビ系かな……


もうすぐ10月だし、ハロウィンネタはゾンビやら悪魔やらと絡めやすいしな。聖属性武器は鉄板だろう。今のうちに少しずつ買い占めなくては。




* * *




 半年後、私はギルド内でも有数の資産家になっていた。


まぁ攻略なんてものにうつつを抜かしているメンバーより、金稼ぎにほぼ全ての時間を使っている私が一番なのが当然なのだが。


ぶっちぎりの資産家でないのは、資金の一部をRMTしてリアルマネーに変えているからである。


それでも今では私が逆に、お金を出すから寄生させてと持ちかける側である。


ギルド員には貢がせていた関係から、私が媚と金を売って寄生を買う、win-winの健全な関係へと変わったのだ。


本当は戦闘レベルなんて飾りなのでどうでも良いのだが、商人スキルだけではなく戦闘レベルも要求される新スキルが実装されたので仕方がない。


「なぁ、今度の攻略で地属性が必要なんだよ、売ってくれない?」


「ええ、もちろんですよ。いつものように身内価格で、お安くしておきますね。」


ふふ、私レベルになると、わざわざ営業をかけなくとも客の方から寄ってくるのである。




* * *




 サービス開始から1年を目前に控えた、8月。


私は最大の賭けに勝利した。


「キター!やっぱ夏イベントは海だと思ったんだよな!」


「海といえば、水属性。魚。どちらも今まではろくに使いみちのなかった装備……買い占め成功してよかったー!」


そう、ついに私は『せどり』おじさんから、買い占めおじさんへと進化したのだ。


冬イベのときはまだ買い占めるだけの資産がなかったので諦めたが、今回は万全の準備をしてきた。


三ヶ月前から一時間に一回は市場を巡回し、品が出るたびコツコツ買い占めてきた私の大勝利である。


もちろん装備以外の【花火】や【スイカ】、【水鉄砲】などの小道具も準備済みである。


「よっしゃー!売って売って売りまくるぞー!」




この夏だけで、私の資産はさらに数十倍になった。


さすがに手が足りなくなるところだったが、下僕たち(ギルドメンバー)やNPCをこき使うことでなんとかなった。


現在最高と言われているレア装備でも、一〇〇個単位で簡単に買えるだけの資産である。




これで、あの計画を実行に起こせる。




* * *




「先輩!」


「おう、どうした」


「このプレイヤーなんですが……良いんですか?」


「ああ、この《男の娘》か。よくやるよなぁ、こんな姫プレイ。知ってるか、この人わざわざ運営にメールしてきたんだぜ、男性バレするような仕様変更は今後一切ありませんよね?って……」


「いえ、それよりも……これなんですが……」


「あ?今回導入された商人用の店舗をギルドで購入申請?――――《始まりの街》の店舗全てだと!?」


「ええ……申請には問題はありませんので通しましたけど、すごい量だなと思って」


「通した!?なぜ!!」


「え、だって一プレイヤーが購入できるのは一店舗ですけど、ギルドでなら複数購入可って先輩が……」


「た、確かに言ったし、このプレイヤーがサーバでぶっちぎりの資産家なのは知っていたが……まさかそのほぼ全てを使って店舗買い占めに走るとは……」


「どうします?あ、この人、早速ギルド配下の商人たちに貸店舗として(・・・・・・)売り出してますね」


「何!?まさか、これが狙いか!?」


「え?――つまり、家賃収入を得るためだけに今までアレだけ稼いでた……?」


「ああ、そうだ。このプレイヤーはほとんど毎日長時間ログインして、定期的に公式RMTを利用してる。おそらく、このゲームで稼いで生きてるんだろう」


「そんな人が……」


「ああ、この《男の娘》のアバターも、最初に大手ギルドに入ったのも、全て計算通りなんだろうな……」


「先輩……なんだか、この人が少しうらやましいです」


「……私もだよ」







「ついにやったぜ!不労所得、サイコー!」




おわり


初作品です。


キャラの名前とかゲームのタイトルとか、他の稼ぎネタも最初は入れてたのですが、よく考えたら必要ないなと思ったので全部削除したら当初の半分ぐらいまで減りました。


いかがだったでしょうか?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 少ない描写で主人公の性格をこれでもかと表現していて、そこが面白いと思いました。 [気になる点] ちょっと話が飛び飛びになっているところが少し気になりました。 チャットログ風として見れば気に…
[気になる点] ・世界初のVRMMO! なのにMODがあるのは不自然。 ・せどりおじさんは読み手を認識している。 ・大きな失態を犯す、といった山場がない。 ・段落開けたり開けなかったり。改行が多い。 …
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