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侯爵令嬢の恋愛結婚  作者: こじまき
それぞれの幸せ

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婚約者との顔合わせ

こちらはトバイアス&アイリシア編。

アイリシア目線です!

今日は婚約後初めてトバイアス殿下とお会いすることになっている。殿下が王弟としてお披露目されたときにご挨拶をして以来お目にかかっていないので、お会いするのは二回目だ。いや、もしかしたら以前司書をされていたときに図書館で会っていたかもしれないけれど、全然記憶にない…


お父様、お母様と一緒に王宮へ向かう。王宮では、国王陛下ご夫妻と殿下が出迎えてくれた。さすがに私も緊張しているのか、幼いころから何度も来て、まさに庭のように慣れ親しんだ王宮が、いつもと違って見える。


型通りの婚約の挨拶と、結婚の日取りなどの確認があり、「あとは二人で」と保護者たちは席を立った。


トバイアス殿下と向かい合って座る。黒髪に深い青の瞳。白い肌に細身の体。魔法使いのローブ。


セネイ様とは全然違う…


失恋した相手のことを考えてしまい、頭から振り払う。比べるなんて、失礼だ。


しばらくの沈黙ののち、耐えきれずに「殿下…」と話しかけると、「最初にいいですか?”殿下”はやめてください。全然慣れないのですよ」と笑いかけられた。イベリス様に聞いていたとおり、穏やかで優しい方だということが、話し方でわかる。


「かしこまりました。ではトバイアス様とお呼びいたします」

「お願いします」

「トバイアス様、私、遠慮しながら物を言うのが少し苦手ですの」

「ええ。クレイトから聞いています」


さすがはクレイ様。きっと「少し苦手」ではなく「かなり苦手」と伝えてくれているだろう。「私も、言いたいことははっきり言ってもらう方が好きです」とトバイアス様。それなら話が早い。


「それでしたら、はっきりお伺いいたします。トバイアス様はこの縁談をどうお思いですか」

「そうですね。いいお話だと思います。王妃様、クレイト、イベリス様から、あなたは素晴らしい女性だと聞いていますので」

「それは光栄ですが、聞いた話ではなく、トバイアス様ご自身は私と会ってみてどうお考えですか」


トバイアス様は笑い出した。


「きちんとお話しするのは初めてですから、それはまだわかりません。これからあなたのことをよく知りたいと思っています。相変わらずアイリシア様はせっかちでいらっしゃいますね」

「相変わらず…?」


「図書館に何度か来られたことがあるでしょう」とトバイアス様。


「いつもぱっと来てぱっと借りて帰っておられました。それに早口で」

「見られていたのですね。お恥ずかしい」

「確かいつも美術関連の本を借りておられましたね。ご自身でも描かれるのですか?」

「ええ」


借りた本まで覚えているとは。


「カラバス様と同じ、肖像画を?」

「いいえ、風景画が好きなのです」


風景画が好きな理由、絵を描いているときの気持ち、スランプに入ったときのこと、よく写生旅行に行くこと。延々と私の趣味の話をしていると、父と母が「そろそろお暇しないと」と呼びに来た。


「では今度、王立美術館へ二人で行ってみましょうか」とトバイアス様が提案してくれ、デートの約束をして私たちは別れた。

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