クラスメイトの企画
ヒュー…ドォン!
テラスの目の前で花火が打ち上がる。今日のパーティーにはそんな趣向があったのかしら?
「クレイト王太子殿下、トーウォール侯爵令嬢イベリス様、ご婚約おめでとうございます!」
…!?
アイリシア様とビオネッタ様の声。続いて、男性も女性も大勢が拍手しながら祝福の声をあげる。ひときわ大きな声はカナカレデトロス様…そう、声をあげているのはクラスメイトたちだ。スピードル様が殿下に、ビオネッタ様が私に大きな花束を渡す。
「これはなんだ、スピードル」
「アイリシア様、ビオネッタ様、これは一体…」
アイリシア様が得意顔で「花束も花火も、クラスメイトみんなで準備しましたのよ」と私たちに、「ね、絶対今日プロポーズするって言いましたでしょう?用意しておいてよかったわ」とクラスメイトたちに話しかける。
アイリシア様とビオネッタ様で代わる代わる説明してくれる。
「猫カフェから、お二人は両想いだと思っておりましたの。それで、エピファラ殿下の嘘に焦るクレイ様を見て、確信を深めたのですわ」
「クレイ殿下が本気で調べれば、イベリス様の婚約者の件が嘘だということは、すぐわかると思いましたから…」
「それならもう、クレイ様に早くプロポーズしていただくしかないと思ったのですわ」
「イベリス様が卒業までに婚約者を決めなければ、本当に政略結婚されられてしまうことは知っておりましたから」
「男性の皆様にも協力いただいて、イベリス様が帰らないように、そしてクレイ様にイベリス様の人気ぶりを見せつけるように代わる代わるダンスを申し込んでいただいて…まあ私どもがそう言わなくても、イベリス様の前には列ができていたとは思いますけれども」
「殿下がまた焦ってくだされば、めでたく今日プロポーズになると思ったわけですわ」
「うまくいきましたわね」とアイリシア様とビオネッタ様は顔を見合わせて嬉しそうだ。カナカレデトロス様とスピードル様はしてやったりといった顔で拳を突き合わせている。他のクラスメイト達もとても嬉しそう。
「アイリシア、私を罠にかけるようなことをするなんて」
「だって、クレイ様はいつも慎重すぎるのですもの。のんびりしてたら、本当にイベリス様は外国に嫁ぐところでしたのよ」
私の目に、急に涙が溢れてきた。
「アイリシア、イベリス嬢も泣いてしまっただろう!」
「いいえ、殿下…嬉しくて泣いているのです。こんなに応援していただいて、嬉しくて」
教室の隅で縮こまっていた私が王太子殿下の婚約者だなんて、妬んだり僻んだりされてもおかしくないのに、こんなに応援して祝福してくれるなんて。
「皆、聞き上手で褒め上手で、いつも私たちのことを気にかけてくださるイベリス様のことが大好きですの」
「素晴らしい王太子妃、そして王妃様になられると確信しておりますわ」
「ええ、そうですとも」
クラスメイトからの言葉に、私はモーディ渾身のメイクが剥げていくのも構わずに泣き続けた。




