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侯爵令嬢の恋愛結婚  作者: こじまき
目指せ婚約
12/49

ジェスロの御し方

「憂鬱…」


図書館で課題のための参考図書を探しながら、ポツリと独り言が出る。と、本を棚に戻していたトバイアス様と目があった。どうしたのですか、と目で尋ねられる。


「気難し屋の議論好き…ですか」

「ええ。図書館の利用者の方で、そんな方が来られたらどうしておられますか」

「やはり聞き役になることは基本にしております。議論せず、言い返さず、同意できるところはして、できないところはやんわりと…」

「そうですか」


ジェスロ様と議論しても敵わないことは、この数日で悟っている。私が一話す間に、彼は十くらい話すのだから。ジェスロ様の話に耳を傾け、意見が一致する点を探してみよう。


翌日「実験をする気分で頑張ってみよう」と決め、まずは改めてジェスロ様の意見だけをよくよく伺った。反論したくなってもその気持ちをおさえ込み、笑顔で、いかにもおもしろい話を聞くように。やはりいくつか「これは素晴らしい」と思える案があったので、それをひたすら褒める。するとジェスロ様の態度が少し軟化する。


「だめだ」と思った案を「どうしても」と彼が推してきたら、「だめ」とは言わず何故その案を作ったのか真意を聞く。


「そんな案じゃ全然だめ」と思っても、「他人から間違いや至らない点を指摘されると、自分を守るために自分の考えに固執してしまって、なかなか意見を変えようとしなくなるのが人間です。ですから、彼の間違いを指摘しないことは大切だと思いますよ」というトバイアス様のアドバイスを思い出して堪える。


彼の目的に合った形で修正できるものは修正し、できないものは「素晴らしい案でございます。ただ女性から見ますとこういった問題がございますので、いかがなものでございましょう」とやんわり方針転換させようとする…


が、「せっかく考えた案は全て発表しなければ」とジェスロ様。なかなか手強い。そうなると、ジェスロ様の原稿はわかりにくいし、話し方もくどくど理屈っぽいし、発表するほどでもない案を発表しないといけないしで全然発表時間が足りない…


「あ、そうですわ!ジェスロ様、こんな発表の仕方はいかがでございましょう。ジェスロ様が作った案を全て、ひと目でわかりやすく伝えられるのでは思いますが…」


私はそれぞれの案の要素である、緊急性、実現可能性、経済性、簡易性などをチャートにして発表してはどうかと提案した。いつだったか図書館の本で見たチャートで、わかりやすいと感心したのを思い出したのだ。


「他の皆様は口頭だけの発表でございましょうから、このようにすれば、ジェスロ様の発表が一番印象に残るのではないでしょうか」

「私の発表が一番印象に残る…」


その言葉に惹かれたのだろう、ジェスロ様は提案に乗ってきた。チャートがあれば、ジェスロ様の話がわかりにくくても、聞いている方は何とかついてこられるはずだ。


それに、チャートを作るには、いくつかの案の良さ悪さを点数で評価しないといけない。ジェスロ様もチャートを作る過程で「これはあまりに点数が低いな」と気づき、いくつかの案を取り下げた。


果たして、ジェスロ様は上首尾に発表を終え、チャートは先生からも「わかりやすい」と絶賛された。私が安堵していると、発表を終えたジェスロ様が私の隣に帰ってくる。


「クラスのみんながこんなに私の発表に注目して、熱心に聞いてくれたのは初めてです!」

「ジェスロ様の発表は本当に素晴らしかったですもの。パートナーとして、誇らしかったですわ」

「またイベリス様とパートナーになりたいものです」

「そうなったら、またよろしくお願いいたします」


私は心の中で「次はクレイト殿下だったら嬉しいわ」と思いながら、ジェスロ様に笑顔を向けた。

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