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第279話 戦争の歴史

☆★☆★ コミカライズ更新 ☆★☆★


BookLive様にて、最新28話が更新されました。


「構いません! 僕……、勝ちたいです!!」

農奴出身の青年騎士の願いをおっさんが叶える?



挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

「ストラバールが滅ぶだと……。おかしなことをいう」


 神狐(しんこ)の話を聞いて、カラミティは声を出して笑った。


「お前の能力はわかっている。我もそれで随分と苦戦させられたからな」


「負けた――の間違いではありませんか?」


「そう思っているから節穴なのだ。我はこうしてピンピンと生きている。負けてなどいない」


 神狐(しんこ)は大きくため息を吐く。

 軽く頭を振り、「強がりもここまで来ると、立派な能力ですね」と嘲弄する。


「確かに我々は滅ぶかもしれない。だが、我らにはヴォルフがおる。あやつならば」


「それは見当違いですよ、カラミティ。あなたはどうやら、我々が世界を滅ぼすと思っているようですが、違います」


「何?」


 カラミティは神狐(しんこ)とともに、周りにいる巨大な天使にも顔を向ける。

 未だにその足元には自分の軍勢がいて、足蹴にされていた。


 天上族の力は強力である。

 これが世界に放たれ猛威を振るえば、確かにストラバールは滅ぶかもしれない。


 しかし、神狐(しんこ)は違うという。


「滅ぼすのは私たちではありません。ストラバールにいる人類ですよ」


「なっ!?」


 神狐(しんこ)は上を見る。


 空には、それまで(レク)と言われていたエミルリアの姿があった。それまでずっと大きな姿をしていたが、段々と縮んできている。

 レミニアが作った賢者の石(エクサリー)は正常に働いたわけだ。


 ストラバールの滅亡は防がれた。

 しかし、神狐(しんこ)はそれを悲しげに見つめている。


「カラミティ、あなたも知っているでしょ。天上族がストラバールに介入し、魔獣がこの世界に蔓延り始める前の世界を……。人族同士の争いを」


「無論だ。我が知らぬはずがなかろう」


 カラミティもまた、その戦争の参戦者だった。数こそ他国と比べて少ないが、それでも不死の軍団をまとめドラ・アグマ王国を建国した。


「私には見えるのですよ、カラミティ。今回の一件で、天上族という存在が世に明らかとなり、賢者の石(エクサリー)愚者の石(アンチ・エクサリー)という膨大なエネルギーを生む魔導石も生まれ、人族は星すら跳ね返した。今、この戦いが終わればどうなると思いますか?」


 天上族はもういない。

 魔獣もやがてはいなくなるだろう。

 そうすれば、もはや人族こそがストラバールの中で、いや星、宇宙の中で頂点の生物となる。


「レミニア・ミッドレスは、人族である父親を天上族以上の人間にまで育ててしまった。その力を軍隊に使われ、戦争に使われればどうなりますか?」


「だから世界が滅ぶと? 随分と短絡的だな。本当にそれは【千里眼(サザンド・ジェル)】で見たものなのか? 我が言うのもなんだが、人間とはそこまで愚かな存在ではないと思うぞ」


 カラミティの言葉に、神狐(しんこ)はあからさまに残念そうな反応し、ついでに息を吐く。


「ええ……。私もそう思っていました。それを期待し、ある英雄を祭り上げようとした。この人なら必ず、世界を導いてくれると期待していたのです」


「ガーファリアのことか……」


 神狐(しんこ)は俯く。


「彼は聡明な王でした。肉体は若々しく、私の話を聞いて、常に最善の未来を示し、バロシュトラス魔法帝国を世界最強にまで押し上げた」


 神狐(しんこ)――ハッサルはガーファリアによる善政を期待していた。天上族なき後、この王が人類をまとめ、世界の滅びを止めると。


 だからこそ、バロシュトラス魔法帝国にそれまでになかった魔法技術を与えた。故に帝国は他に類のない発展したのだ。


「だが、あの方ですら道を外された」


「妹を殺されたという奴か……」


「その通りです。妹を亡くした彼は箍外れたように悪王に落ちていった。私の言葉に耳を傾けなくなったのです」


「ふん……。だから、お前は……いや、お前らはガーファリアを切ったのだな。今回の騒動のドサクサに紛れて」


 神狐(しんこ)の表情は悲しげなままだった。

 そして、すぐには返事せず、ただ残念そうに「そうです」と告げた。


 カラミティは鼻を鳴らす。


「結局、お前たちは天上族だ。追放した天上族となんら変わらない。ただお前たちの代弁者がほしいだけ。自分たちが間違っていれば、他人のせいにするだけのクソ野郎だ(ヽヽヽヽヽ)。いや、クソにも劣る」


「否定はしません。だから、もう我々が手を汚すしかなくなった。……私の【千里眼(サザンド・ジェル)】は真っ黒なままなのです、カラミティ。そこに光を差すためには、我ら天上族をルーツとする我らが立ち上がるしかない」


「そして、人類を滅ぼすのか?」


「違います。無力化するのです。牛やブタのように……」


 言ってみれば、それはエミルリアにいた羽なしたちのことであった。


 むろん、カラミティはそれを知らない。


 だが、聡明な彼女は予想できた。


 神狐(しんこ)が目指す未来。

 そこで何が行われているのか。


神狐(しんこ)よ。それではお前の未来は暗いままだ。何故なら、その未来は一生やってこないからだ」


「それは何故でしょうか?」


「わからぬか? そんなことをあの者が許すはずがない」


「ヴォルフ・ミッドレス」


「そうだ。そして、我も許さぬ。お前と差し違えてでも、我はお前らを殺す」


 そして、カラミティの最期の戦いが始まった。


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諸々よろしくお願いします。


挿絵(By みてみん)


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