表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

285/371

第260話 剣狼、圧倒する

おかげさまで本日、単行本3巻が発売されました。

ついにミケが登場です。頼もしい相棒に、さらに新キャラエミリも登場します。

アラフォー冒険者をよろしくお願いします。


すでにAmazonランキング2位になっております。

お買い上げいただいた方ありがとうございます。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

 悪意(ヽヽ)もまたヴォルフの異様さに気付きつつあった。


(馬鹿な! 【大勇者(レジェンド)】以上の強化魔法だと!!)


 信じられないようだが、事実であった。


 悪意の目にも、レミニア同様に今ヴォルフの身体に多くの魔力が宿るのが見えている。その力がヴォルフを何倍にも引き上げていることは純然たる事実だった。


 その強化魔法を引っさげて、ヴォルフは容赦なく悪意に向かって打ち込んでいく。


「ぬぐうぅ!!」


 1発1発が重い。

 山、いや、世界そのものの重さを受け止めているかのようだ。


 受け止めることはできても反撃ができない。跳ね返すことができても、その前に二撃目がやってくる。


 力だけではなく、斬撃速度も異様に速いのだ。


 もはや雷獣の力を借りている時以上……。


 それに娘のエールを聞いてからのヴォルフの動きは鬼神がかっている


(まず考えるべきは、こんな強化魔法をヴォルフに誰が施したかということだ)


 単純に強化をしたところで、ここまで飛躍的に力をつけることができれば、必ず身体に負担が来る。


 だが、今回の強化魔法も【大勇者(レジェンド)】の魔法もそうであったように、ヴォルフに優しい設計になっていた。


 加えて、これ程の膨大な魔力を束ねる技法。並みの使い手ではない。


「どうした、息が上がっているぞ」


 挑発しながらも、ヴォルフは油断しない。構えを解かず、悪意のことを睨んでいた。


「誰だ? 一体誰がお前に強化を施した」


「……亡霊さ」


「亡霊だと……」


「この世界のことを誰よりも案じ、戦った戦士、勇者になれなかった冒険者たちの亡霊が俺を強くしているんだ」


「世迷い言を……」


 悪意はそこで「ハッ」となる。


 まさに天啓とはこのことだろう。

 亡霊という言葉を聞いた時、気付いたのだ。


 ヴォルフに強化魔法を施した人間。


 それが生者ではなく、死んだものなら。

 あるいは死んでいた者なら、1人だけ心当たりがある。


「ルネット! ルネット・リーエルフォンか!!」


 五英傑の1人。その核といえるメンバーだ。


 第二次魔獣戦線の折りに亡くなったが、【大勇者(レジェンド)】のおかげで復活したと聞いた。


 【軍師(ストラーテ)】といわれ、参謀役のイメージが強いが、本職は補助魔法のスペシャリストだ。


 【勇者(ブレイブ)】のルーハス・セヴァットに巧みな技で強化魔法を施し、一騎当千の力を与えたことは有名な話である。


(あり得る……! ルネット・リーエルフォンなら)


 だが、いくらルネットが卓越していても、これほどの魔力量を制御できるとは思えない。


 膨大な魔力が制御できなければ、互いに反発し合い、やがて崩壊する。


 これは賢者の石(エクサリー)愚者の石(アンチ・エクサリー)を作る上での難題にもなっていた。


 そのため、愚者の石(アンチ・エクサリー)においては、強力な魔力を流しても堪えられる依り代を用意しなければならなかった。


 それはワヒト王国の神器しかり、700年生きる存在自体が奇跡というべき【不死の中の不死(ブラッディ・ブラッド)】しかり、そして【大勇者(レジェンド)】の強化を受けたヴォルフ・ミッドレスしかりだ。


 しかし、これほどの魔力を受けて暴走しない依り代などあるはずがない。一体どうやって……。


「よそ見をするなよ!」


 気が付けば、ヴォルフが目の前にいた。


 ついさっきまで安全圏にいたはずである。

 しかし、一瞬意識を外にした途端、相手のキルゾーンに入っていた。


 悪意はまた防御しようとするが、遅い。


 再びヴォルフの斬撃によって吹き飛ばされる。


 地面に叩きつけられながら、ボロボロになった悪意は思う。


(それでもたかが強化魔法で何故ここまで強いんだ、こいつ……)



 ◆◇◆◇◆ ルネット 視点 ◆◇◆◇◆



 ルネット率いる五英傑軍は、被災した王都から脱出する難民の誘導を行っていた。


 誘導は実に乗り合い馬車の行程にして、2日続く長いものだったが、北の地から持ってきた馬車数十題を使って、ピストン運行を続けている。


 その馬車の終着地は【聖水の都】メンフィス。そこからさらに川を上流に向かった聖樹リヴァラスの聖域だった。


 エミルリアが近づいてきてからというもの、魔物が凶暴化しつつあった。


 すでに被害は出ていて、各都市の防衛能力を超えていた。【聖水の都】と名高いメンフィスもその限りではなく、滅亡の危機にあった。


 そこにやってきたのは、ルネットたちだ。


 北の地からその寒風と競るように恐ろしい速度で南下してきた彼らは、近くの街を魔獣から開放しながらメンフィスに辿り着く。


 そこでメンフィスの人間と、難民たちをリヴァラスの元へと案内した。


 あそこは聖域。

 いくら凶暴になっても魔獣が入り込むには難しい場所だ。


 もはやそこはレクセニル、いやストラバールにおいて1番安全な場所かもしれない。


 そして【軍師】ルネットがそこに人を集めたのは、単純に救える命を救うためではなかった。


「みんな、力を貸して。今、ヴォルフ・ミッドレスっていう戦士が、この世界をめちゃくちゃにしたヤツと戦っている。みんなに手助けをしてほしいの」


 ルネットは呼びかけたが、誰も応じなかった。


 むしろヴォルフ・ミッドレスって誰だ? という反応だ。


「意外と知名度ないのかしら……。すでに有名だと思っていたのだけど、あの人」


 名前を出せば呼応してくれると思ったのだが、思わぬ不人気ぶりにルネットは頭を抱える。


 その時だった。


「ヴォルフ・ミッドレスだって? あんた、今ヴォルフ・ミッドレスって言ったかい?」


 大勢の人が集まる中、人垣を押しのけて現れたのは、鼻息を荒くした老婆だった。


 側には年若い娘が寄り添っている。どうやら南方の生まれらしい。どちらも浅黒い肌をしていた。


「お婆ちゃん、お知り合いですか?」


「知ってるも何も……。ヴォルフ・ミッドレスはあたしの可愛い幻獣の契約者さ」


「幻獣……。お婆ちゃん、一体?」


「あたしかい? あたしはミランダ・ヴィスト! 【雷獣使い(エレム)】といわれたロカロ・ヴィストの妻さ!!」


 今から一騎打ちでもするかのように杖を振り上げ、ミランダは叫ぶのだった。


明日か明後日に『アラフォー冒険者』に関して、

重大発表がございます。お楽しみに!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9月12発売発売! オリジナル漫画原作『おっさん勇者は鍛冶屋でスローライフはじめました』単行本4巻発売!
引退したおっさん勇者の幸せスローライフ続編!! 詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



8月25日!ブレイブ文庫様より第2巻発売です!!
↓※タイトルをクリックすると、公式に飛びます↓
『魔王様は回復魔術を極めたい~その聖女、世界最強につき~』第2巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


『アラフォー冒険者、伝説になる』コミックス9巻 5月15日発売!
70万部突破! 最強娘に強化された最強パパの成り上がりの詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



コミカライズ10巻5月9日発売です!
↓※タイトルをクリックすると、販売ページに飛ぶことが出来ます↓
『「ククク……。奴は四天王の中でも最弱」と解雇された俺、なぜか勇者と聖女の師匠になる10』
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


最新小説! グラストNOVELS様より第1巻が4月25日発売!
↓※表紙をクリックすると、公式に飛びます↓
『獣王陛下のちいさな料理番~役立たずと言われた第七王子、ギフト【料理】でもふもふたちと最強国家をつくりあげる~』書籍1巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


シリーズ大重版中! 第6巻が3月18日発売!
↓※タイトルをクリックすると、公式に飛びます↓
『公爵家の料理番様~300年生きる小さな料理人~』単行本6巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


『魔物を狩るなと言われた最強ハンター、料理ギルドに転職する』
コミックス最終巻10月25日発売
↓↓表紙をクリックすると、Amazonに行けます↓↓
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



6月14日!サーガフォレスト様より発売です!!
↓※タイトルをクリックすると、公式に飛びます↓
『ハズレスキル『おもいだす』で記憶を取り戻した大賢者~現代知識と最強魔法の融合で、異世界を無双する~』第1巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


『劣等職の最強賢者』コミックス5巻 5月17日発売!
飽くなき強さを追い求める男の、異世界バトルファンタジーついにフィナーレ!詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large





今回も全編書き下ろしです。WEB版にはないユランとの出会いを追加
↓※タイトルをクリックすると、公式に飛びます↓
『公爵家の料理番様~300年生きる小さな料理人~』待望の第2巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


好評発売中!Webから大幅に改稿しました。
↓※タイトルをクリックすると、アース・スター ルナの公式ページに飛ぶことが出来ます↓
『王宮錬金術師の私は、隣国の王子に拾われる ~調理魔導具でもふもふおいしい時短レシピ~』
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large




アラフォー冒険者、伝説になる 書籍版も好評発売中!
シリーズ最クライマックス【伝説】vs【勇者】の詳細はこちらをクリック


DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



ツギクルバナー

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ