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第257話 違い

☆★☆★ コミカライズ更新 ☆★☆★

本日BookLive様にて先行してコミカライズ17話が更新されました。

新たな相棒を得たヴォルフ。一方レミニアの方では、とある王宮の陰謀に巻き込まれようとしていた??

名探偵レミニアが牢屋の中で事件解決?? 是非、読んで下さいね。


そして5月7日にはコミック3巻が発売されます。

ご予約始まっておりますので、是非よろしくお願いします。

 ガーファリア・デル・バロシュトラスと、レミニアに接点はない。


 面識すらないが、有名な皇帝だということは知っている。


 その忌憚のない自画像は有名であり、世界的にその絵だけは見たことがあるという者も少ない。


 それ程、音に聞く皇帝だということだ。


 翻った金髪と、甘いマスク、獰猛な野生動物のそれを思わせるような瞳、その色を見た時、レミニアはすぐにわかった。


 超然とした雰囲気を【不死の中の不死(ブラッディ・ブラッド)】カラミティ・エンドに似て、君主としての王気はムラド王が足元に及ばない。


 生まれてすぐに人の上に立つことを定められた。


 そんな背景が透けて見える程、レミニアの目から見て、彼の姿が完成されているように思えた。


 しかし――――。


「違うぞ、レミニア」


 【大勇者(レジェンド)】の指摘に、ヴォルフは異を唱える。


 すでに一合打ち合った両者は、距離を置き、視線を逸らさず、佇んでいる。


 その表情は実にはっきりと分かれていた。


 ヴォルフが眉間に皺を寄せて神妙な表情でいるのに対し、構えることもなく実に優雅なポーズで立っているガーファリアは、余裕を見せていた。


 ヴォルフの指摘を聞いても、その口端に浮かんだえくぼを深くしただけだ。


「あれはガーファリア殿下ではない」


 レミニアとは逆にヴォルフはガーファリアと面識があった。


 幾度か剣を交わしたこともある間柄だ。


 こう言えば、物騒に聞こえるだろうが、ヴォルフとしては同じ剣士としてどこかシンパシーのようなものを感じていた。


 だから、わかるのだ。


「お前はガーファリア殿下ではない」


 先ほど一合だけを打ち込んだだけだが、ヴォルフには確信があった。


 見た目も雰囲気もガーファリアであることは、認めざるを得ない。


 でも、剣を振り、武に費やした時間は、早々マネできるものではない。


 ガーファリアの剣には国のトップに立つ重みがあった。


 国土の広さを思わせるような雄大さがあった。


 その人柄を想起させるような野性味があった。


 民を思う哲学が存在した。


 そして、妹を思う悲しみにくれていた。


 今だからわかる。


 ガーファリア・デル・バロシュトラスがどんな男であったかを。


 願わくば、もう1度立ち合い、その剣を以て、肩にのしかかったすべてを切り下ろしてやれば良かった。


「だが、それはもう叶わないんだな」


 ヴォルフは寂しげに呟き、握りに力を込めた。


 その言葉を聞いて、小さく嗤ったのは悪意(ヽヽ)の方だ。


「なるほど。さすがは【剣狼(ソード・ヴォルバリア)】などと称されたことだけはある。随分と鼻が利くではないか?」


「陛下の言葉で話すな、下郎が。それに鼻じゃない。殿下とお前との間にある信念の違いだ」


「どうかな? 余から見れば、ガーファリアという男は存外俗な男だったと思うぞ。むしろ余に近い側の人間だった。目標を果たすなら、世界すら厭わぬ――そんな気概の持ち主だった。もっとも余とは少し違う」



 余は余のために世界を使う。



「世界があって余があるのではない。余があって、世界があるのだ。つまり、これも余の所有物である」


「もう1度言う! ガーファリア陛下の顔で、それ以上話すな。陛下の口調で、悪を語るな。確かにあの方のしでかそうとしたことは、許されざるものだ。しかし、はっきりと言う」



 お前とガーファリア陛下では、天と地の差がある……!!



 【剣狼(ソード・ヴォルバリア)】の声が、まるで炎柱のように空へと上る。


 しかし、ガーファリアの顔をした悪意は、一層嗤うだけだ。


「面白い! そこまで言うなら、この身体――切り刻んで確かめてみるがい――」


 刹那、ヴォルフの姿は悪意の前にあった。


 ――速いッ!


 と小さく呟くのが聞こえる。


 そう。速い。愚者の石(アンチ・エクサリー)の力を完全解放した悪意(ヽヽ)の能力を以てすら、追うことができなかった。


 意識がはっきりした時にはもう――――。


 ヴォルフは悪意の遥か後方へと駆け抜けていた。


 悪意は振り返る。


 微かにだが、ヴォルフの身体から青白い雷光が見える。


 ハッとなって振り返り、雷獣と化した幻獣ミケの姿を確認する。


「まさか、もう雷獣の力を纏っていたのか……」


 ついに驚愕の表情を浮かべる


「すごい……」


 次いで讃えたのは、レミニアだ。


「雷獣の魔力を無理矢理抑え込み、その力を発揮した姿を隠すなんて」


「嬢ちゃん、見てな」



 うちのご主人様は、ただ嬢ちゃんの前に帰ってきたわけじゃないんだぜ。



 ミケの瞳が大きくウィンクする。


「ぐはっ!」


 悲鳴を上げたのは、悪意だった。


 まるでその肌を殺ぐように、あちこちに切り傷が浮かび上がる。


 鋭い音を立てて、血が噴出すると、ついに悪意は鮮血の中に沈むのだった。


☆★☆★ 新作投稿 ☆★☆★

昨日「前世で処刑された大聖女は自由に暮らしたい~魔術書を読めるだけなのに聖女とかおかしくないですか?~」投稿しました。

下記、評価ポイントの下にリンクを貼りましたので気になる方は是非よろしくお願いします。


【あらすじ】

神からチートな力を授かり、幾度も世界を救ってきた大聖女ミレニア。しかし、その結末はいつも人間に処刑されるという悲惨な最期だった。

ついにミレニアは神に「チートはいらない」「普通の暮らしがしたい」と願い出て、さらにこう付け加える。

「ただし言語に不自由がないようにしてね。勉強するの面倒だし」

その不必要な一言が、ミレニアの人生を狂わせる。


平凡な子爵家で、普通に暮らすはずのミレニアだったが、言葉を交わせるという理由だけで、伝説の神鳥シームルグと契約を交わし、たまたま読んでた本が誰も解読したことがない古代魔術書だったり、おまけにその古代魔術書から出てきた魔王(黒猫)に気に入られる。


そんなミレニアの才能を他の人間たちが黙っているはずもなく、隣国の王子に、魔術師団長、勇者たちが現れ、ミレニアを聖女ではないかと疑い始める。


果たしてミレニアに普通の暮らしはやってくるのか……。


少しでもピンときたら、是非下記リンクにて読んでみて下さいね。

ブックマークと評価の方もよろしくですm(_ _)m

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