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【パラレル童話 】[シンデレラ編]

作者: 彩乃

さぁ、本題ね。



もし、あのシンデレラが、もっと気が強い娘だったら?



さぁ、25ページを開いて。






[P.25 気の強い灰かぶり ]


王宮で、いつも道理のボロい服を着て掃除をする私にヒラヒラフリフリさせたドレスを汚く揺らしながら、女3人が寄ってくる。



ミランダ「何してんの!?もっとテキパキ掃除できないわけ!?」



私「~♪」



長女の耳障りな声を鼻歌で潰しながら、ホウキを床になすり付ける。



カミラ「…」



ユーリ「どうせ使えない妹なんだからほっときましょう?」



ミランダ「そうよねぇ、糞以下よねぇ~」



カミラ「そうだねぇ~」




ユーリ「本当に無様ねえ♪」



黙って無視して、かれこれ5分間。


いつまで話し続けるんだこいつらは。

お母さんが死んだ瞬間偉そうに、うざっ。

次女のカミラは面倒そうにスルーしてるし、別にいいけど。

あと二人は何なの、五月蝿い。



私「あぁ!!!もぅガタガタ五月蝿い!アンタたち3人でやっても私より汚いくせに、黙っててくれる?」



ミランダ「っ…、この、馬鹿女!」



長女なのに、バカむき出しに、皿を持った手を振りかざす。



私は思い切り微笑み、軽く体を落とし、相手の攻撃を右目で流して避ける。



私「ハッ!そんな細っこい腕で何しようって!?」



私は左足を軸に思い切り右足を振り上げた。


狙うは我が長女の顔面!!



……の予定だったんだけどね!?



私「おっとぉ!!」



足でナイフを天井に向けて蹴りあげる。

鈍く、天井にナイフが刺さる音が鳴る。



私「カミラねぇさ~ん、おとなしい顔してそんな事しないでよねぇ~」



カミラ「あんたの蹴りなんか顔面に入れたら、姉さん一生舞踏会に出られなくなるよ、あたしが後で相手してあげるから、やめてあげな。」



私「むぅーん。カミラ姉さんがそういうなら、今日のところは、やめておこぉ~」



カミラ姉さんと私二人は格闘組でミランダとユーリ(3女)は文化系だから、いつも暴れる私を止めるのはカミラ姉さん。



カミラ姉さんだけは、だけは、私に匹敵するくらい強いから、好き。



ガジャーン…!!!!!



急な物音に目を向けると、長女がと一緒に床に転げ落ちた。



何も無いところなのに。



そこ何も無いよね汗

むしろ、私を狙うチャンスを逃すとは、本当に文化系なのね…。




父「お前ら、何してんだ、騒がしい。」



父上が突如私たちの、部屋へ乱入してきた。

父は興味なさげに机の上に便箋を投げ捨てる。



父「今夜、舞踏会があるそうだ。お前ら、喧嘩してる暇があるなら主人を作る努力をしてみたらどうだ。」



誰もが口を聞けない雰囲気を作り去っていく。



ミランダ・ユーリ「やばいやばいやばいやばい!!!!舞踏会だって!!!絶対行くよね!!!!ね!!カミラぁ?」




ニコッと、敢えて私の名前を出さずに舞踏会へ行く宣言をする。



別にいい。



きてくドレスもないし、理由もない。




少しむっとして、部屋をあとにして自室に戻る。



別になんてことも無いけど、甘いものが欲しくて王宮をボロボロの服のまま後にする。



大好きなリンゴを求めて街をあるく。




王宮の娘なのに、ボロい服を着てたら誰も気づかない。

所詮人間なんて、見た目なのだろう。




強いひとも雰囲気でわかる。




そんなもんなのだろう。


だから、ドレスがない私は舞踏会なんかに行かないし、行きたくない。



考え込んで、下を見て俯いていると肩に何かがぶつかる。




男の人だと分かって、軽く頭を下げ謝ろうとすると、胸ぐらを掴まれる。



男「なんだ、お前…俺が歩いてんのになんで避けねえんだよ。」



あぁ、だからやけに人が端を通るのか。



私「何であんたが、道の真ん中あるけんのか、説明しろよ。今イラついてんだよ、ほら…、やるならやれよ。」



男「上等だ!オラぁ!!」



馬鹿みたいなデカイ声を出して殺気満々に拳を振りかざす。



これじゃぁ、ミランダと同じだ。



殺気には殺気を。



右足を曲げて、腹を狙う。



伸ばした足を急に現れた、男に抑え

られる。




それは抑圧的ではなく、優しく。




誰かを確認するために顔を上げると、美形というのか、顔が平均的に整っていて黒色の髪の毛を長く束ねる。



瞳は強い、赤色だ。



だが、私のストレス発散を邪魔されて、余計なストレスが増える。



私「なに?だれ、」



男2「そんな怖い顔すんなよ、別に何しようってわけじゃねえんだから。」



私「邪魔。どいてよ。」



男「駄目だ。」



私「そいつ、見逃せって言ってんの?」



男2「違う。とにかくやめろ。」



私「……は、なんなの無理。」



強い瞳に見つめられて、気迫に押され気味になる。



「おい、ライ~!女の子に絡むなんて珍しいじゃねえか!!」



ライと呼ばれたその男に外野がさけぶ。




ライ「うるせぇよ!黙っておけ、」



親しみのある声で、外野を黙らせる。



私「あの、早くどいてくれませんか。」



ライ「無理。やるなら力づくでこいよ。」



私に勝てるやつなんて姉さんくらいしかいない。

挑発には乗るスタイルだ。




私「ふん、」



顔面向けて、右手を降る。



ライ「っと、強えぇな」


つかまれた右手を見て舌打ちで威嚇しつつ、そのまま左を打ち込む。



ライ「おおぉ……お嬢ちゃん左利きかよ」




両足を踏ん張って、両足で腹部を狙う準備をする。



…予定だったんだけど。



なんで今私とライの唇が重なってるの。



どういう状況?



キスされ、てる。



理解が追いついた時点で顔が熱くなる。



私「やっ…」



私は恥ずかしさのあまり、両手を振りほどき顔を隠した。



ライ「可愛い…、」



ライの優しい顔に、もう頭がパンクした。



外野「ライ!そろそろ城戻んねえと、舞踏会間に合わねえぞ!!」



ライ「お、おう!!」



ライは焦ったように、手を離す。



ライ「じゃあ、」





何も私に言わせない形で、去っていく。




暫くそこで、突っ立ってた。

どれくらい考えてたか、空は夕方だ。



もっと彼と話をしたい。



私がすべきこと、それは何としてでも舞踏会に行くこと。



彼に合うこと。



キスされたから、そう考えるのかもしれないけど、もう彼を好きになってしまった。



舞踏会に行かなければもう会えないかもしれない気がするんだ。



根拠なんてないけれど、わかるんだ。





私は彼が好き。

きっと、彼も私が好き。






走って家へ戻った。

姉たちはまだ王宮にいて出る瞬間だった。



私「まって!姉様達!」



ミランダ「なにかしら、お留守番係?」



私「私にドレスを貸してください。」



ミランダ「嫌よ。」



私は悩まず頭を床に擦り付ける。



私「お願いします。何でもいうことも聞きますから。」



ミランダ「ふっ。無様ね、じゃあ私の前から消えて。」



何も言えなかった。

本気で嫌いだったし、死ねばいいとすら思ってるけど、誠意を見せて頼んで、こんな反応されるなんて、人としてショックだった。



ドレス室のロック番号は姉様達にしか分からない。




でも教えてくれないなら、自分で開けるしかない。



お姉様たちを、横目に王宮の中へと走る。

王宮の中をさらにドレス室へと走り抜ける。



ドレスルームのロックナンバーを00000000から0000001へ無限に入れ続けていく。



舞踏会は01:00まで、今は7:00

5時間で鍵が開けられれば、30分で、走って………、場所が分からない…、



開場の名前なんて聞いても、分からない。




涙が目にたまった。



その場に膝から崩れ落ちる。



涙がこぼれると、嗚咽もこぼれた。




私「あぁ…ライ…会いたいよ…」




辛い。

こんな気持ち知らないよ。




「なにしてんの。」



後ろからの声に、力なく振り返る。




私「カミラ姉さん…?」



カミラ「何かわからないけど、どうしても舞踏会に行かなきゃ行かない理由があるんでしょ、前教えてやったじゃん。」



カミラ「本当に叶えたい願いがあるなら、そん時は、王宮の裏の庭に行ってみな。きっと魔女様が助けてくれる。本当にその願いに思いがあるなら、ね。」



むかし、姉さんが教えてくれた魔女様の話が頭を駆け抜けた。



私「姉さん、それを言いに戻ってきてくれたの…?」



カミラ「忘れ物のついでだし。会場へ来ても話かけないでよね。」



姉さんは、それ以上何も言わずに背を向けて走り出す。

走って戻ってきたはずなのに、息一つ切らしてない姉さんはやっぱりかっこいいや。




今度は庭へ向かって、もう一度走った。



黒い影がいる。



それが魔女なのだと直感で気づく。



私「魔女、様…?」



魔女「お前は何を望む」



私「舞踏会へ行くドレスが欲しい!」



力強くそう言った。



魔女「お前は良い子だ。目を閉じて3回、願いを込めよ、ただし夜中の12時には魔法がとけてしまう。気をつけなさい。」



私「わかったわ。」




私は目を閉じる。





彼にもう一度会いたい。





彼にもう一度会いたい。





彼にもう一度会いたい。



目を開けると目の前には大きな時計を携えたお城が目の前に広がる。



ここに彼がいる。



そう思うと歩いてなんていられなかった。



彼を脳裏に描き、階段をかけのぼる。



階段を登りきると、着なれてないドレスに足元をすくわれ、床に転ぶ。



私「いったぁ…、ふふ…」



彼にもうすぐ会えると思うと転んでいて痛いはずなのに笑顔が漏れた。



起き上がろうと、顔を上げると手が差し伸べられる。



黒い長髪を揺らして、走ってきたようで、少し息を切らして私に笑顔を向ける。



ライ「大丈夫か。まだ舞踏会は終わらないよ。焦らずおいで。」



私「ライ…」



ライ「どうして俺の名前を、」




ライは私が分からないのか、昼間キスした私の顔が、と焦った自分の顔に仮面がついてることに気づく。



私「声ぐらい覚えておいてよね。」




私は仮面を外す。



彼もそれに合わせて他人用の顔を外すように、昼間の自然な笑顔をこぼす。



ライ「お前…!」



そういうと、ライの腕に包まれる。


私も彼に比べれば細い腕で、かれを抱きしめた。



私「会いたかったわ…。」



ライ「俺もだよ。」



そういうと、今度は自然と唇を重ねる。



言葉など今は不要だ。



唇を離す。



ライ「さぁ、一緒に踊ろうか。」



私「えぇ。」



姉たちに、自分がいるのを悟られないよう仮面をつける。



ライ「どうして仮面なんて。」



私「貴方にこれ以上顔を見られるのは恥ずかしいわ。」



ライ「俺の姫は本当に可愛いな。」



可愛らしい理由で1つライに嘘をついた。

こんな心地のいい嘘は、嘘と呼んでいいのだろうか。




二人で踊る時間は、天国にいるかのように心地よかった。




踊りなんてしたことの無い私をリードしてくれる彼はかっこよかった。





「カーン」



踊りに酔いしれて時間を忘れていた私に、釘を刺すように12時の鐘が鳴る。




私「ライ、ごめんなさい、私…!」




私は、音を聞くなり焦って彼の手を離し、出口へと走り出した。




ライ「まって!一体どこへ!!」




走って追いかけてくるライに構わず、扉を開け、階段を駆け下りる。



彼が走るのを他の女性が止める。

彼は舞踏会の中では重要人物だという。




ライ「頼む!君たちどいてくれ!」




そう叫ぶライを必死で引き止める人達。




私「ライ…きっと見つけにきてよね。」





ぼそっと呟き、魔女様のお手製のガラスの靴を右脚の方だけ階段に落とす。



敢えて落としたガラスの靴に強い思いを込め、歩を進めた。



だが、片足の靴を落としたまま階段を下りていく私の頭に、愛しそうに上を見上げるカミラ姉さんの姿が脳裏に焼きついた。





階段の上にいた男性は、ライだけだった。






ふわっと、一瞬、体が光って、いつもの私のボロい服に戻る。



街を歩く私はもう一般市民と変わらない。



ボロい服の自分に、落ち着きを覚えつつ、さっき見たカミラ姉さんの表情を思い出す。


あんな顔、見たことがなかった。





…きっと、姉さんもライのことを…。





ぶんぶんと頭を振り、考えたくないことへの思考を止めて、汚い服を揺らして王宮へ戻った。







それから、彼のことを思わない日は一日もないまま、たくさんの月日が過ぎた。




ある日、その日は突然やってきた。




明らかに、お金持ちの召使が我が王宮へやってきた。




出迎えた我がメイドは、客人の召使と父を連れて、私達三人揃っていた部屋へやって来た。



召使は、手に収まらない少し大きめの箱を床に置き膝に足をつく。




箱を開くと同時に、言葉を紡ぐ。



召使「私はライ王子から命じられ、前回の大舞踏会に来られ、ライ王子と踊られた娘を探しております。」



私はドキッとした。



召使は気にせず言葉を続ける。



召使「このガラスの靴を、その娘は落としていったそうです。つまり、この靴が足にピッタリハマる娘を探している訳であります。」




ライ…。

ここまでついに来てくれたのね…。




ライの優しい表情を浮かべる。




それと同時に頭を叩き割るような切ない映

像が流れる。



あの日の、カミラ姉さんの姿だった。



カミラ姉さんを見ると、ライという名前に反応したのか、顔を赤くして嬉しそうな表情を漏らす。





私は、あの夜、魔女様に"もう一度彼に会いたい”と願った。




この願いは完璧な形でかなったといえる。

それは、姉さんが戻ってきて魔女様のことを教えてくれたから、、。



それならば、もうこれ以上望んではいけないのではないか。



カミラ姉さんの表情を見ると、そうとしか思えなかった。



私は召使と父の間を走り抜ける。




父「おい!どこへ行く!」




ミランダ「あの娘は舞踏会へ行ってない部外者ですわ!」




そんなふたりの声など無視して、庭へ走る。




この後、カミラ姉さんとらいが幸せそうに笑うところを浮かべると涙が零れた。




庭を駆け抜けると同時に涙は増えていく。




急がなければ、姉さんが靴を履く前に…!




魔女「…今度はなんだと言うのだ。なぜ涙を浮かべる。あいつは来た。お前は幸せだろう。」




涙は一向に止まることなく、溢れこぼれていく。




私「お願い…カミラ姉さんの足と私の足を取替えて、ライの記憶の中の私の顔を、カミラ姉さんにして!!」




思いと裏腹なことを言うのは、こんなにも辛いものなのか。




魔女「何を言う。何故…」



私「お願い早く!!カミラ姉さんが靴を履く前に…!!」



魔女「我侭な娘だ。だが、その涙に偽りはあるまい。目を瞑れ。」



私は、ライの顔を浮かべ、瞼を重力に乗せて閉じる。



好きよ、ライ。



目を閉じていても、光に包まれるのが分かる。



本当の私はここであなたとお分かれだけれど、どこの"世界”でも私を見つけて愛してくれるわよね?





目を開けると、私を包んでいたのは、光ではなく二つのしっかりとした腕だった。




慌てて後ろに振り返ると、そこには黒髪を乱し、赤い目に私をうつしたライがいた。



私は、何も言えず先程から流れ続ける涙が、新しい涙を作り出し、量を増して、流れだす。



私「ライ…?」



ライ「なんてことお願いしてんだよ、馬鹿。」



彼は不安だったのか、涙を少し目に貯めて、私に唇を重ねる。



私「んん…ぁ」



ながめのキスに嗚咽を漏らす。



ライ「はぁ…どこの世界でもじゃなくて、ここの世界でお前と一緒にいたいんだよ。」




私はもうカミラ姉さんのことなんて考えられなかった。



目の前に愛する人がいて、愛を与えてくれている今、自分を犠牲にすることはできない。

それは彼を犠牲にしてるのと同じことだ。




長めの間を置いて、彼に返事を返した。




私「 」








【おしまい】



ふぅ。

ここで話はおしまい。



どう面白かったかしら。



みんなが知ってるシンデレラって、所詮普通のシンデレラだけだけど、シンデレラにも色々ある、パラレルワールドってのもそんなもんよね。



最後のセリフがなんて書いてあるか読めない?



そうなのよね。



そこ汚れちゃってるから、どう彼女が返したか分からないまま終わってるのよね。



んー、多分「私もよ♥」とかなんでしょうけれどね。



もしここに、「やっと捕まえた…。」とか入れたらもっと、趣旨の違うお話にもなるわよね!笑



なんて、つまらない冗談は抜きにして、次は何を聞きたいかしら。



それは少しの間のお楽しみね。

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