第八話 下への視線
私の目の前には、私の妄想を遥かに上回るような天女の如き女が座っていたのだ。
その姿に一瞬、周囲のことなど忘れ、彼女の足の小指の爪から頭のてっぺんまで下から上へと舐めるように眺めてしまっていた。
上から下へと眺めるということは相手と目線を合わせた上で、胸や腹、太股へと視線を移す必要があるため、本能的に下から上へと目線を移してしまったのかもしれない。
或いは単なる指先へのフェティシズム故か。
彼女の足の指に嵌まっている爪は、とても血色の良い淡桃色を透かしていて、白人のように色白な肌の清楚さに艶かしさを加えていた。
更に良いことに、彼女は足を伸ばした横座りをしており、丁度その足裏が私の方に向いていたため、その足の裏の穢れを知らないような美しさを目に焼き付けることができた。
太股は間に挟まれたいくらいに脚と脚との境界線が曖昧で、ややピンクのような皮膚の色がその果実の溢れんばかりのみずみずしさを引き立たせていた。
目線を上へとずらしていくにつれて彼女の稜線が露になっていく。
ワンピースの上からでもわかるような細身の脇腹は、美しい工芸品を体で表したかのように無駄がなく、痩せすぎなモデルというわけでなく、ふくよかというわけでもなく、かといってその中間と言うわけでもない。
がっしりしすぎていないミロのヴィーナスのような腹部というのが伝わりやすいだろうか。
次のステップへとかけ昇るとき、
思わずニヤけてしまう自分がいた。
何故なら、その視線は腹からその上へと移るからだ…。
浅ましい自分の探求心が「早く次へッ」と騒いでいる。
そんな自分は身体より心がせっかちだなぁとつくづく思うのであった。
寝起きで眠いです。
ああ、想像力が豊かであればいいのになぁと思わされる回でした。
主人公が彼女をいやらしい目付きで見ているのか、それとも何らかの倒錯した感情をもって見ているのか、それはわかりません。
見極めるのは読者の方々自身なのです。
次回のタイトルは容易に想像がつくでしょう。
それではまた。




