表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白川郷物語  作者: アトノマツリ
第一章
5/23

第五話 眠れない夜に

月明かりに照らされ埃が雪のように舞う初夏の夜。

私は敷布団の上で睡魔の訪れをじっと待ち構えていた。

目を閉じても頭の中には小松田さんに次会うときにどういう顔をすればいいのかとか、そんな余計なことばかりが脳裏をよぎる。

きっと私が殺人者であろうと、神であろうと、異星人であろうと…彼は満面の笑みを浮かべて私を歓迎してくれるだろう。

その一方で…

あのとき私がもう少し早く来ていれば…。

寂しそうな女の顔はなんとも艶かしく、憂いを帯びた瞳は魔性すら孕んでいたようであった。

揺れる漆黒の髪はどんな光をも阻み、ただでさえ白かったであろう肌の色はコントラストにより一層白さを際立たせている。

そんな思いが身体を駆け巡り、既に小松田さんのことは頭になくなっていた。

早く彼女に会ってみたい!この私をここまで落ち着かない気持ちにする彼女に私は…。

しかし、冷静に考えてみると…私は一体何をしにここへ来たのだろうかと…心身の疲れを癒すためだろう!!

私は自分の間違いを正そうと自問自答を繰り返していたが、そうしているうちに睡魔はすっかり寄り付かなくなってしまっていたようだ。

気づいたときには私は夜風を感じながら数多に輝く星達と月の明かりに照らされながら突っ立っていた。

初夏の、白川郷の夜風は布団にこもった熱気をすぐさま冷やしてしまうほどに涼しく、先程まで高鳴っていた鼓動も少し落ち着きを取り戻した。

時刻は午後10時。

蛙の鳴き声は騒がしくも田舎の風情を感じさせていて、それがまた夜空の星々を賛美する盛大なオーケストラのようにも感じられる。

私は鼓動を再び高鳴らせる。

その曲は始まったばかりのここでの生活を激励するかのように力強く、絶えず私に活力を与えた。

ここへ来れば例の女に会えるかもしれないと僅かに邪な気持ちを抱いていた私が馬鹿らしくなり、この激励に応えようと努力することを決心し踵を返し宿へと戻る。


それでもやはり蛙の鳴き声がやむことはなかった。

考えながら思い付きで割り込ませた文章もあって読み辛い箇所があるかと思われますが、その時は教えていただければ幸いです。

評価コメントしていただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。



― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ