第十三話 透かす衣服と見透かす彼女
お久しぶりです、いろいろ思い悩んでようやく書きました。
ようやく顔を出すお日様の下で私たちは深呼吸をする。田舎の空気は澄んでいるものだが、朝はより一層澄んでいてとても気持ちのいいものだ。
「いい気持ちね」
「そうですね。いくらでも吸っていたいぐらいおいしい空気です」
「そうね。いきましょ」
彼女は軽く流し先へ進む。なんかこう自分がリードするような気であったけれども、どうも彼女はなかなかに決断が早いというか、行動力があるというか。家出しただけのことはある。
「置いていくわよ」
「なんだか楽しそうですね」
そう、彼女は昨日の夜見せたような悲しい顔をしておらず、どちらかと言えば無邪気な少女のような顔をしていた。こうして彼女を笑顔にできただけでも今日は満足だった。
「だって、誰かと外で景色を見に行く、それもこんなに朝早くからなんて。楽しみで仕方がないわ」
「僕も楽しみです。行きましょう!」
すたすたと歩く田舎道。草木は日に当たり神々しさを増し、その緑色は少し黄緑がかっている。人一人いないので風景としては雑味が無く、自然を存分に楽しめるいい機会だ。
開けていて全体が見渡せると思えば、建物に囲まれた道もある。
「誰もいなくてすごくいいわ。今ならこのうれしさを声に出してさけべるかも」
「なんだか、心まで開放的になってますね」
「その通りよ。ふふっ」
そんな満面の笑みに思わず、自分まで楽しくなってきてしまう一方で、美しさを感じどうしようもなく鼓動が高鳴ってしまう。
「そういえば、あなたのお名前はなんていうのかしら?」
「僕は〇〇(あなたの名前)っていいます。」
「そう。よろしく〇〇くん」
「……」いきなりその呼び方は……恥ずかしい。
「私は百合。庚百合よ」
「めずらしい苗字ですね。初めてです」
「よく言われるわ……」
どこかため息をついたような顔をする。苗字に何かコンプレックスでもあるのだろうか。
「百合さん、よろしく」
「ふふっ、あからさまな態度とってそう呼ばせる作戦だったかもしれないわよ?なんて」
「そうだとしたら本当に芝居上手ですね。まんまと引っかかってしまいましたよ」
そんな会話が続く中、少し距離が近づき、見てはいけないという結界が破れたように感じられ、しばらく意識してなかった彼女の体の肉付きなどに目が行く。日に照らされ陰影を帯びるその肢体。そして、白い衣服を透かして見える体のライン。この朝日のもとでしか拝めないとても清らかな身体。そのすべてを私はこうして見てしまっている。いかんいかんと目をそらしそらしするも、彼女との会話中にあらぬ方向を向いていたらそっちの方が意識していると思われてしまう。
「どうかしたの?」
「あ、いやぁなんでもないよ」
「怪しいわねぇ。ふふ。ま、いいわ。大体わかったわ。いいのよ」
「え?またまたぁ」
何をわかったのかは教えてはくれなかったが、彼女の言動は妙にすべてを知っているというような説得力が声に込められている。
「そろそろ坂道ですよ。サンダル大丈夫ですか?」
「ええ、平気よ」
そういって、坂道へと近づいていくとそこには……
蜂がいた。




