子鬼
俺が幼稚園の通称『○○のトンネル』(廊下)を“戦え! 仮面ライダー!”とか自分でナレーターの人の口真似をしながら、バイクのハンドルを握ってアクセルをふかす仕草をしながら[ブルゥ・・ブルルーン!]とか効果音を口で言いながら走り去る真似をしてた頃だったか、小学校低学年の頃だったかある休みの日。
紐のついた小さめの鈴が家にあって、紐が取れてしまい鈴だけがテーブルの上に置いてあった。
その鈴を見つけた俺はそれを不意に手に取った。そして何気なく鼻の穴に少し入れてみた。これが生命の神秘のドラマの始まりだった。
俺「・・うふふ、おもしろい・・姉ちゃんに見せよう~っと♪ チリン♪」
そして鼻に鈴を入れたまま鈴を[チリンチリン♪]言わせながら姉ちゃんの所に言って得意げに、
俺「姉ちゃん、見てほら、鈴鼻に入っちゃった~♪ うふふ、チリンチリン♪」
その時、姉ちゃんは慌てたような顔で、
姉「何やってんのー!? そんなことしたら、鼻に鈴入って取れなくなるよ!早く出した方がいいよ!」
俺「ガーン(-o-;) えっ!? だ、大丈夫、すぐ取れるから・・」
そうは言ったものの姉ちゃんの心無い一言に急に不安になって慌てた俺はその時もうすでに完全に正気を失ってた・・。早く鈴を鼻の穴から出さねば・・とんでもないことになる・・早く出さないと・・ゴミの収集車きちゃう・・。
そして慌てて鼻に入った鈴を取ろうと頑張った。しかし、姉ちゃんの心無い一言にパニクってた俺は眉間の方から指を下ろすようにして取ればいいものを、焦りまくって人差し指で鼻の穴の方から取ろうとしてしまった。早く取らないとっ!!
鼻の中では予想もしなかった最悪の展開が待ち受けていた。鈴を人差し指で取ろうとすればするほど鼻の奥の方にいってしまう。
届かそうとするほど指の先に当たって押し込んでいっちゃうベッドの下の小物。家具の隙間の小物。焦って取りに行けばいくほどどんどん奥の方へ、深みにはまって、しまいにはまったく指の届かない所にいってしまったまさに高嶺の鈴・・。
俺「ギャー!! チリーン♪」
姉「え!? だから言ったしょー! どうするの!? お父さんに言ってきな!」
俺「ガーン(-o-;) もう姉ちゃんが焦らすからこんなことになったー!!(泣)チリリーン♪」
姉ちゃんの鬼―! ・・子鬼・・。