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グリーン・ヴィクター  作者: 獅子印
8/8

あれ、本当に歓迎してるの?part2

「では、二回戦は正VS要ね」


 伊織が相変わらずやる気のない声で司会をする。正とは昨日闘ってるけど、多分油断しない方がいい。正は昨日油断してたけど、今日は本気で来るだろうし。


「今日は負けねえぞ」


 ほらやる気だ。正は身長もあるし、そこからさらに棒を使っているから、リーチは相当長い。厄介な相手だ。


「か、要。殺さないでね?」

「へ?」


 私乃が急に心配そうに僕に注意してきた。え、なんの話?


「な、なんか…目が、私たちみたいな目だったから」

「…えっと、人殺しの目ってこと?」

「うん…」


 確かに、師匠に言われたことがある。

『要。お前はこっち側に近いのかもしれんなあ…』

 なんて。今思えば師匠はこっちの人だったのかもしれない。…血かな?


「大丈夫さ。これでも、まだ人を殺したことはないんだよ」

「…むしろ、殺したことないのにその目ができる方が怖いよ」


 多分、僕の目は、師匠の目を見続けてきたからだと思うんだけどね。


「あー…いい?じゃ、始め」


 やっぱりやる気のない伊織が合図をした。同時に正が飛びかかってくる。


「そらあ!」


 棒というのは、優秀な武器だ。どこを持ってもいいから、間合いも思いのまま。ただ、難点を上げるとするなら、打撃武器の割に軽いため、振りかぶりが必ず必要なことだ。相手がプロなら刃物の方がいい。

 多分、本来は棒ともう一つ武器を持つのだろう。

 棒を横に軽くいなして、両手が塞がってるから脇に挟んだ状態で回転し、棒を奪い取る。


「…って、あれ?」


 下からよく分からない力が加わって、僕の手から棒が離れた。


「おっかしーな…」


 何か細工でもしてあるのかな?なんて思っていると、次の攻撃が来た。


「ーーっとと」


 必然的に大振りになる棒を避けながら考える。しかし、細工がしてある様子はない。ってことは、やっぱり何かやってるのかな?

 …じゃあ、答えは一つしかないよね。


「えいっ」


 前回と同じ要領で棒を取る。その時、脚を前に出しておいた。瞬間、脚に強い衝撃が走った。

 …ちょっとナメてたかもしれない。普通なら折れてた。

 なんてことはない。僕に棒を掴まれた瞬間、正は思いきり棒を蹴ったんだ。そんな攻撃に対応してない僕は棒から手がすり抜け、正は自分でやってるから持ったまま。実に合理的だ。


「チッ。取られちまったか」


 でも、油断は全くできないだろう。さっきの蹴りの攻撃力でわかった。

 正は、蹴りが本業だ。多分、間違いない。

 身長の違いでナイフはイマイチ使いづらい。そもそも、木製ナイフって軽くハンデだよね。

 棒に持ち換えるときにせっかくだから両手のナイフは投げてみた。片方は頭に、そしてもう片方は腹に。


「うおお!?危ねえ!」


 正はとっさにジャンプして二つのナイフを蹴り落とした。おお、器用だなー…。脚が届くところまで飛び上がるって…。

 …ん?あ。

 弱点見っけ。


「そら、どうした!」


 挑発を無視しつつ、奪った棒をひゅんひゅんと回す。んー…僕にはちょっと長いかな?少しだけ扱いづらいけど、まあ、武器もない相手にはちょうどいいかな。


「かかって来なよ」

「…ククッ」


 僕が誘うと、多分罠だと思った上で飛び込んできた。正のその性格は美徳といえば美徳なんだけどね。

 正が的確に顔面を狙って膝をいれてくる。飛び膝蹴りだ。僕はそれをかわし、背後から正を狙った。


「終わりだよ!」

「甘え!」


 僕の渾身の突きは、やはり蹴りによって阻まれた。やれやれ…甘いのはどっちなんだか。


「えい」


 正の着地は必然的に片足になる。それを見越して、足払いをかけた。正はあっけなく倒れ、立ち上がろうともがいていた。


「そりゃ!」

「ぐぼおおおおお!!?」


 それがゆえに、僕の全身全霊の蹴りが目に入らなかったらしい。人間とは思えないほど飛んでいった正は、そのまま意識を失った。…死んでないよね?


「勝者、要」

「はい、ありがとう」


 もちろん死んでなかったよ?骨がイきかけてたけど、多分三日もすれば治るさ。

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