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グリーン・ヴィクター  作者: 獅子印
2/8

ようこそ、裏世界2

いやー、2つ同時連載ってきついですね…ほんとに。

「ほら、早く来て!こっちだよ!」

「いや、なんで真っ当な世界の子がこんなに足速いの…?」

 僕は今、フードコートを爆発させた猟奇的美少女を匿っている。このショッピングモールは、非常用の地下通路があるから、そっちを通れば見つかることは無いだろう。

 と思っていた矢先。

「……あっ、そういえばバクたち、駐車場に迎えに来るって言ってた…」


 ずでんっ!


 僕はこれまで体験したことがないくらい綺麗にずっこけた。[バク]というのは多分仲間だろう。今から駐車場に行くと間違いなく警察に見つかる。しかし仲間を置いていく訳にもいかないだろうし…ああもうっ!

「ほら、行くよ!」

 僕は反対方向に向き直る。もちろん駐車場に向かうためだ。

「ご、ごめん…ありがとう。」

「お礼はいいから!」

 おずおずと礼を言う少女を一蹴し、全力で走る。ついてこれるかなあ…?

「ま、待ってえ~…」

 案の定ついてこれないようだ。まあ、さっきの速度ですらついてこれてなかったもんな…

「よっ…と。あ、軽い。」

 少女の頭と脚を抱え、ダッシュする。まあ、お姫様抱っこというやつだ。少女の体は羽のように軽かった。少し僕が着ているパーカーのフードが邪魔そうだったが、仲間を置いていくよりはマシだろう。…息、苦しいのかな?顔真っ赤だけど…

「は、速…。」

 少女が驚愕している。そもそも僕は色々面倒だから表舞台でやらないだけで、本気を出せば100Mなら10秒、フルマラソンで1時間58分という記録を持っている。まあ、2年前師匠であるじいちゃんの前で計ってみただけだから、今はどうか分かんないけどね。

「ちょっと怖いかもしれないけど、我慢してね~」

「…表世界にこんな子がいたんだ…私とあんまり変わんないくらいなのに…」

 ちなみに、僕は一般からすればスタミナも半端ではない。ま、フルマラソン走れる時点でものすごいと思うけど。

 そんなこんなしている内に、駐車場には着いた。

「…やっぱり警察がいるね。どうする?」

 隣の少女に聞いてみる。こっちの方がこういう状況には慣れているはずだ。

「そーだねー。どっちにする?警察蹴散らして進むか、警察に見つからないよう進むか。」

 ふむ…見つからなければそれが一番だけど…って。

「バク…だっけ?その人の車ってどれ?」

「あれだよ。」

 少女が指さした先にあるのは、バカでかいキャンピングカーだ。…この子の仲間はどれくらい居るのだろうか。

「あれか。よし、じゃ、見つからないように進んで、見つかったら蹴散らして行こうか。」

「了解!」

 一応、顔を隠すためにパーカーのフードをかぶり、巻いていたマフラーを口元まで上げる。少女は着けていたウエストポーチから漫画の悪役がつけているような、洒落た仮面を出して、顔に付ける。そんな様子を見ながら、僕は場違いながら思っていた。

 この子やっぱりかわいいな。

 今は隠れているが大きな目、通った鼻筋、小さな口、僅かに赤みのある頬、細身ではいるが、決してガリガリでない体つき、雪のように真っ白な肌、薄くて綺麗な茶髪のボブカット。服装は、赤いチェックのシャツの下に黒いTシャツ、ハーフパンツにウエストポーチ、釣りの時に着るようなベストを着ていて、それら全てを覆い隠すように黒いマントを着ている。普通の人がやっていたら謎ファッションだが、美少女がやるから何でも似合うし、そもそもこれは機能性を重視しているのだろう。というか、マントで隠しているだけで、多分もっと装備してる。爆弾の入るスペースが無いし。

「どうしたの?早く行こうよ。」

 少女に急かされる。そうだった。すぐ行かないと。

「うん。ごめん。さ、この辺の警察全員撒くには…ねえ。ちょっと爆弾貸して。」

「うん、いいけど…あ、そこのボタン押した10秒後に爆発するよ。」

「ありがとう。…よっと。」

 ボタンを押して、球形の爆弾を投げる。すると少しして、ものすごい爆発音がした。

「おいっ!あっちだ!行くぞ!」

 警察の方々が揃って爆発の方へ行く。さ、この間に行こう。

「さ、行くよ。」

 そう言ってもう一度担ぎ上げる。キャンピングカーにはすぐに着いた。

「さて…ここだよね。」

 少女と一緒に車に入ろうとする。すると…

「だめ。ここですぐ私を降ろして、君は乗らないで。」

 そう言われた。

「なんで?」

「だってここに入ったら、君は今日からこっちの人間、裏の人間になるよ。入団テストだってあるよ。それで死んだっておかしくない。任務で死んでもおかしくない。だから…」

 少女の言いたいことは分かる。危険な世界だから来るな、と言ってるのだろう。しかし、僕は裏世界に入るつもり満々だった。

「……昔の人はいい言葉を残してるんだよ。」

「え?」

 少女がきょとんとしている。


「チャンスの神様には前髪しかないんだよ。」


 そう。僕は知ってしまった。僕の技能を余すことなく使うことができる世界を。そして、かわいくて気さくで優しい少女を。僕はこの子とここで別れたら、多分一生後悔する。

「……わかったよ。バク!任務完了!うん、倒してきたよ!はい、首!あと、入団希望者!ものすごい強いよ!ほら、テストして!」

 少女が中に入りながらバクという人(まあ偽名だろうけど)に話しかけている。多分報告と、僕の紹介だろう。

「え?入団希望者?うそ、え、すごい。3年ぶりかな…」

「さっき助けてくれたの!バク、この子だよ!」

 少女は僕を指さしてはしゃぐ。3年ぶりって…まあ、裏世界っていうくらいだし、知名度が低いよね。

「君が入団希望者?ぼくはバク。本名は後で教えるよ。よろしくね。」

 そう言って気さくな笑顔で話しかけてきたのは、剣道する人が着てるような服に身を包み、刀を腰に刺した男の人だった。

要君は滅茶苦茶なステータスです。学校で喧嘩したらまあ負け無しでしょうね。

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