第八話
第八話
「せいやぁあっ!」
『・・・!』
分身に熱が当たりはじける
また次の日・・・
「ふ・・・っ!」
奇跡にも近いが拳が雨分身の腹部に命中
それでもOKらしく、分身ははじけて消える
またある時は
「うわ!?攻撃してきた!」
急に動きが変わり戸惑うがなんとか対応
ぎりぎりのところでの勝利を収める
そして―――
何日もの修行の末、雄太は遂に
19体目を倒し、20体目に突入したのだった
「はぁ・・・はぁっ・・・くそっ!」
『・・・ッ!!』
手裏剣が左手をかすめた
6体目から積極的に攻撃を仕掛けてくるようになった雨の日の分身達。序盤は急所は確実に外し、読みやすい動きで攻撃してきたのだが数を重ねるごとにだんだんと強くなり20ともなると死を想わせる瞬間もあった
「あ、た、れぇ!!」
しかし当たらない
さらに、目と鼻の先に雨の分身の拳が迫っていた
晴れはまだ回避に自信がない。だが無様によけることならまだ何とかなる
実に情けない姿を晒しながらもなんとか拳を避ける
さらに熱線を放つが、やはりかわされる
「あぁぁもう!!そろそろむかつく!」
雄太の我慢も限界。かれこれ数時間にも及ぶ戦いは雄太の集中力をごっそりと削っていた・・・
「お疲れのようだな、新人さん?」
結局、雄太は雨の日には勝つ事が出来なかった
そして、試験の締め切り前最後の時間は敗北で幕を引いた
つまり、雄太は試験に・・・・
「出てみるか、試験」
「ほへ!?いいの?!」
「いや~一回挑んでその難しさを知るのもまた一興。ま、よーするにやりたきゃ自己責任ってことで!」
あいも変わらず無責任だが、雄太にとっては今回それが嬉しかった
「・・・もちろん!参加するさ!」
こうして、雄太は試験への切符を手に入れ、また一歩成長したのだった
雨分身を倒せなかったのは悔しいが・・・
そこは割り切ろうと雄太は覚悟した
試験当日
指定された場所は施設とは違い、少し離れた港だった
ここから無人島に行くのだろうか、そう雄太は考えていた
しかし、その港に船は一隻も見当たらない
「あれ・・・?船ないじゃん?・・・もしかして場所間違えたかな!?」
慌てて今日の予定を確認するがやはりこの港で正解のようだ
と、何もないはずの海の表面が少し不自然に避けたのが見えた
まるで、なにかにぶつかるかのような・・・
「あ!もしかして!!」
雄太はまさかと思い、普通なら船が止めてある場所へと足を運ぶ
すると、一瞬だけ景色が歪み突如巨大な豪華客船が目の前に現れたのだ
「お~新人~やっと来たかー、臆病風にでも吹かれたと思ったぜ」
船の入り口にアロハシャツにサングラス。トロピカルなジュース片手に日光浴を楽しんでいる雨の日が
「あ!!ちょ、俺船が透明になってるなんて聴いてないって!」
「あ・・・・」
「・・・・」
しばしの沈黙
「よ、ようこそ雄太!これから試験だろう!大いに頑張りたまえ!」
「ちょ!?そりゃないよ!」
冷や汗を額ににじませながら雨の日は雄太の言葉を無視して船内に連れ込んだ
思った通り船内も豪華の一言で、よくこの船をチャーター出来たとむしろ感心してしまうほどだ
『あーマイクテス、マイクテース。どもども、雷の日でーす!みんな、今日は大事な大事な試験だね!へたすりゃ大けがだけど、まぁきっと大丈夫だ!俺は信じているよ!さて、試験の内容なんだけど、まず、試験は全部で三つ!知力、体力、武力!この順番でみんなには試験に臨んでもらう!』
つまり、その試験をすべてクリアすれば、人数に関係なく全員合格と言うわけだ
雄太は、内心自信があった
そう言う謎解きの様なものは得意だし、体力も自信あり。それに武力なんかは訓練の成果を実らせるチャンスだ!
『さて、今回の試験だが一入りでクリアは相当大変だろうからペアでの参加としてもらう!もちろん、ペアはランダムだ』
雷の日がそう言うと急に、声が聴こえて来た
「――あなたは―6A――」
6A・・・?
それだけの単語で声は聴こえなくなってしまった
『聴こえたかな?その番号が君らの番号だ!同じ番号を持つ人を何とかして探し当てて、その瞬間・・・いや?もうすでに試験は始まっているぞ!!』
と、その瞬間
「おわぁ!?」
「じ、地震か!?」
「ばかっ、ここは海上だぞ!」
急に船が停止したのだ
『言っただろう?試験ははじまってるんだよー!』
乗ってる人全員が外が良く見える位置に移動した
雄太もすこし遅れてではあるが外を眺める
なんと、そこは海のど真ん中。かろうじてなんだかよく分からない島が小さく見えるほどで、他には何もない
「ま、まさか・・・!」
「あの島まで自力ー!?」
「まじかよ・・・」
いろんなところから悲鳴にも似た叫びが聞こえる
だが、ここで冷静さを欠く人もいれば欠かない人もいる
「おーい!8Dの奴いるか―!」
番号――
そう、同じ番号の人をまずは見つけなければならないのだ
その事を思い出し、雄太は我に帰る
そして同じ番号を探そうとするが探し方が分からない
通りすがる人全員に声をかけるなんて気の遠くなる話だし、何よりそんな悠長に聴いても居られない
「くっそ・・・何かいい方法ないか・・・俺の能力はこういう時使いにくいしな・・・ええい!一人ずついくか!!」
一歩を踏み出したその時だった
「6Aの番号!!聞こえたら今すぐここまで来なさい!!」
思わず耳を塞ぎたくなるような大声が後ろ、船の上部から聴こえた
それより、今呼んでいた番号は6A・・・つまり雄太だ
「はい!はいはーい!俺だ!6Aだ!」
人の波をかき分けて声の主がいる場所へと進む
そして最後の一人の男をかき分けた先には・・・
「遅い。女性を待たせる?普通」
明らかに気の強そうで、背の高めな女性、いや年齢的には女の子が腕を組み目つきを少し鋭くさせて仁王立ちしていた
さらに、長い髪を後ろでハーフアップにしているせいか威圧感が凄い
思わず雄太は後ずさる
このこが、雄太のパートナーだ――
今回でようやくヒロイン(?)が登場!