第十話
第十話
「うしっ!任務まで数日しかねーけど紅銃使いこなさねーとな!」
腰に装着した紅銃を軽く触れ共に戦う日を夢見る
今日の訓練は室内での組手だ。相手は、任務数日前ということもあり雷の日が担当してくれるらしい
もちろん晴れの日としてはうれしい限りだが、当然晴れの日より喜びに浸っている人がいるわけで・・・
「らーいさまっ!晴れの日なんかさっさと倒しちゃってください!!」
随分と恐ろしいことを言ってくれる。確かに雷の日が本気を出したら晴れの日など瞬殺だろう
だがあくまでも晴れの日の組手。手加減はしてくれるはずだ
晴れの日と雷の日は向かい合って立ち、互いに戦闘の構えを取る。銃を取り出し、雷の日に向けた時雷の日が少しほほ笑んだ
「お、雨から貰ったんだね!」
どうやら雨の日が晴れの日に上げた、ということは知っているらしい
「はい!でも、威力の加減が難しくて・・・」
任務数日前に言うセリフでもないが、仕方ないのだ
それほどまでにこの銃の性能は良く、使いこなせるかが心配になる
だが、なんとなくこの紅銃とはやっていけそうな気がする晴れの日であった
「ははっ、確かに制約に必要な物が変わると最初は慣れないよね~・・・っと、そろそろ始めるよ・・・!」
雷の日の制約は指ぱっちん。つまり道具も何もいらないのだ
だからこそいつもと何ら変わらぬ体制のまま指だけを準備した
「いきますよ雷様!3・・・2・・・1・・・0!!」
雷火の日のカウントダウンが終わった瞬間雷の日は晴れの日の体がちょうどすっぽりはいるくらいの大きさの雷柱を生み出し訓練場の天井から降らせる
正確には雷の日の能力は静電気の発動、増幅でありそれを大きくして雷を操っているように見えるのだ
「先手取られたか・・・!」
自分の上空でスパーク音が聞こえ、目で確認するより早く自分の勘で察し、前転で難なくかわした
だが、その転がった先にも再び落雷が
「もうここまで訓練してきたら俺からは何も言えないかな~・・・俺の攻略法は自分で見つけてくれ!!」
「くそっ・・・うかつに近寄れねぇ・・・」
一応手加減をしてくれているようで、回避中に撃ってくることはないが、それでも落雷を避け続けるというのは中々に骨の折れる訓練だ
「雷様、そこ!違う右!あぁもう!動くな晴れの日!」
外野から雷火の日の声援なのか妨害なのかよくわからない声が投げ込まれる
雷の日も若干苦笑いでははは・・・と笑っているがそれでもしっかりと晴れの日の上空から雷を降らせてくる余裕さに晴れの日は唇をかみしめる
「もー!ちょこまかとぉ!!止まれ晴れの日!」
「お前はちょっと黙ってよーぜ!?」
一寸くるえば直撃してしまいかねないこの落雷に晴れの日は雷火の日に対してカッと声を上げた
それを聞いた雷火の日は見下すかのような目で冷たく告げた
「はっ!あんたが負ける姿を早く晒しなさい!そして雷様の相手を交代しなさい!」
どうやら最後の言葉こそ本心のようだ
だが、晴れの日もそうそう負ける気はない。折角の組手行けるところまで行ってみたいのだ
「雷火ちゃんっ彼は本気みたいだしも~少し我慢して・・・?」
「う・・・雷様がそういうなら・・・」
雷の日の言葉で一瞬で丸くなる雷火の日。相変わらず雷の日には弱いようだ
と、その一瞬雷の日は雷火の日の方を向いていて隙が生まれた
その隙を見逃さずに晴れの日は紅銃を放つ。まっすぐに放たれた熱線は、晴れの日が最小限に威力を抑えたつもりだが、離れていても感じる熱を帯びていて直撃すれば大けがだろう
「やべっ!?雷さん!!」
つい加減を誤り危機を感じ叫んでしまったが雷の日は大して慌てることなく指を鳴らし、晴れの日の熱線と真正面から自身の能力をぶつけ合わせる
すると、触れあったほぼその瞬間晴れの日の熱線は消え去り雷の日の稲妻だけが残り、それも晴れの日の頭上を掠めながら飛び去り後にはなにも残らなかった
「威力はかなり強いけどコントロールしきれていないみたいだね・・・よし、この後の訓練は自主練にしよう!射撃場開けておくから自由に使っていーよ!」
「わ、わかりました・・・」
少なくとも晴れの日の熱線はかなり熱を帯びていた。それを一瞬で消し去り、さらには十分以上の余力が残っている雷の日に、晴れの日は驚きを隠せないでいた
だが、驚いている暇はあまりない
数日後に迫った任務を前に自分の能力も使いこなせないようでは話にならない
晴れの日は紅銃をホルスターに差し、雷の日に一礼して射撃場へと向かうことにした
「さて・・・と」
射撃場は晴れの日以外誰もおらず、緊張することなく練習が出来そうだと晴れの日は肩を回す
そしてホルスターの紅銃を再び取り出して射撃用の的を距離30mに設定した
ガシャンと金属音が響き、晴れの日の立つ射撃場からきっちり30m離れた場所に人の形を模した的が現れる
「ふぅぅ・・・集中・・・そしてイメージ・・・最強の変革者としての俺を・・・!」
目を閉じて深呼吸を繰り返し的に熱を当てる事、自分の熱線の威力を想像していく
そしてゆっくり目を開けて遠くに見える的に紅銃の標準を合わせ引き金に指を掻ける
「無我・・・っ」
無我を発動する。その瞬間、周りから的以外の景色が消えていくような錯覚が起きる。さらに頭がクリアになりハッキリと自分の能力に対する加減がきくような気がした
そして鋭い目が刺すかのようにして睨む的目がけて熱線を放つ
と、熱線は晴れの日の予想と想像通りの熱量で一直線に放たれて、見事的のど真ん中に命中した
だが、その一撃だけで晴れの日の息は上がってしまう
「っ・・・キツイな・・・無我なしじゃまともに戦え無さそうだ」
「ふふっ大変そうね?」
急に背後から話しかけられた。だが、無我を発動している間に誰かの気配を感じていた晴れの日は大して驚くこともなくその人物の方へと振り返る
「撫子さ・・・撫子、なんでここに?」
一瞬今までの癖でつい「さん」を付けそうになり慌てて訂正した
「ん~、雨様に頼まれてね!『晴れの奴に能力の使い方教えてやってくれ』って」
「・・・?どういう意味?」
雨の日自ら教えに来てくれるならばその意味も分かるものの非戦闘員である撫子に何故頼んだのかパッと思いつく心当たりがなかった
だが撫子の笑みは崩れることなく晴れの日に向けられている。どうやら自信満々のようだ
「私の能力って、他人の細胞を活性化させて傷治したりするわけじゃない?だからその分、細かい操作とかが大事になってくるわけで・・・だからその銃を使うとコントロールが効かない晴れの日君にコントロールの指南を、って!」
なるほど。筋は通っている。と晴れの日は撫子をここによこしてくれた雨の日に、珍しく感心した
「それじゃ、さっそく教えてくれっ!どうすりゃこの銃使いこなせるのか!!」
「もっちろん!じゃぁまずは・・・・・・・」
そして撫子によるコントロール特訓が始まった
内容は普通に的目がけてひたすら回数を重ねる事や、構え方による精神集中、想像力の発達。実に多様な訓練を積んでいった
その成果は目覚ましいもので、撫子も驚くほどのスピードで紅銃をものにしていく晴れの日に、度々様子を見に来た雷の日や雷火の日は感心しながら向上心に火が付き、見事な相乗効果で雷火の日の警棒捌きも上達していった
そして、任務前夜――――
「・・・みんな、集まったね?それじゃ、明日から始まる『名古屋城龍脈防衛作戦』の会議を始める!」




