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変革者  作者: 雨の日
第三章~轟く雷、火災を起こさん~
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第五話

第五話


場所は変わり、買い出し班

天候荘の立地場所は近所でも一番標高の高いところに建っているので周囲の町々から見え、案外簡単に来ることも出ることも町に行くこともできる

そのおかげでスーパーまで歩いても十分に体力も時間も余裕があるのだ


「っくしゅん・・・なんか噂されてる・・・?」


上着を着ているだけで寒さは充分防げている中で風の日がくしゃみをする

くしゃみイコール噂、というのも現実味にかける話ではが、実際同時刻に嵐の日たちに噂はされていただけあって風の日は相当勘が良いようだ


「あり?噂ならいいけど・・・寒くなーい?大丈夫?」


医師でもある撫子は心配そうにのぞき込む

だが撫子の心配をよそに風の日の顔色は十分に赤く、血色が良い

とくに風邪をひくような理由もないこの気温で風邪というのは心配のし過ぎだっただろう


「あっ・・・もしかしてもしかして部屋でコスプレ試してて風邪ひいちゃったー?」


実は風の日は自分の部屋でよく通販で購入したものや自作のコスプレ衣装を着て、能力の威力の変化や自身の好奇心を満たすために日々隠れて試着を繰り返している

密偵を得意とする霙の日は何度かその光景を目の当たりにしており一つの弱みとして握っているのだ

その弱みを小出しに、口に手を当てくすくすと笑う霙の日。その言葉に風の日の拳が一瞬力む


「霙の・・・日?」


目には殺意が宿る


「嘘!嘘―!!姫はそんなことしてないもんねー・・・?」


「え~?でも姫ちゃんの事だからあり得るかもよ?」


風邪の症状がないと分かった途端撫子も霙の日の味方になる。ニヤリと不敵な笑みを浮かべて少しばかり照れの見える風の日を下から覗き込む

もちろん、風の日は、ここまで言われ黙って聞き続けるような人ではない


「してないわよ!今のコスプレは猫って決めてるの!」


先も述べたが、風の日はコスプレに対して実は好奇心大盛で、一時期はスクール水着にまで手を出そうとしていたこともあったのだ

流石にそれは全員が全力で止めたのだが・・・。なにせ戦闘中パートナが困るし、教官としてそれは頂けないからだ


「姫ちゃんの猫見てみたいなー・・・私任務いけないから見たことないよぉー・・・?」


能力が細胞の活性化によるけがの治療担当の撫子はやはり当然と言えば当然戦地には赴かない。そのため風の日のコスプレをいまだ数種類、それも簡易的な物しか見たことがないのだ

どうにか来てもらえないかと、再びチラッと上目で前かがみになりながら顔を覗き込む。色仕掛け、というやつだ

だが同性である風の日に色仕掛けが通用するはずもない。一瞬で目線を外される


「ははっ!撫子ちゃん、姫に色仕掛けは通用しないんじゃないっ?」


「そ、そうね・・・私ソッチの気はないよ・・・?」


霙の日はそれは効かないよ~と明るく笑うが風の日は自分にそんな気があると思われているのかと一瞬不安になる

だが撫子にもそんな気は毛頭ない。ただなんとなくやってみただけだ


「むぅー・・・雨様にも通用してないみたいだし、私色気そんなにないもんかな・・・」


思わずふてくされてしまった。自分の胸元に視線を落とし、それから他二人に目をやる

視線を感じた二人は・・・


「・・・い、嫌味にしか聞こえないわ」


「私も同意見かも・・・」


霙の日、風の日は腕で胸元を隠す

若干頬を赤らめつつも上体を引いて撫子の視野から外れようとしている二人


「えっあっ・・・違うよ!!そんな意味じゃないのぉ!」


慌てて失言に気が付き訂正する撫子

あたふたと慌てふためくその様子を見て今度は二人が反撃を企てる


「そーんなこと言っちゃって~・・・着やせしてるくせに、さっ!」


女子特有の絡み、とでも言おうか。いきなり背後に回り込んだ霙の日は服で上から押さえつけられている胸部に実る二つの球体を持ち上げる


「きゃっ!?ちょっと霙ちゃん!!」


「ほらほら~女の子同士なんだし、さっ!」


今度は風の日がノリノリで腕を抑え込む

後ろから霙の日につかまれ、前からは風の日に腕を抑えられ、傍目に見れば触れてはいけない領域にも思えるが、先から言っている通り本人たちにもちろんそんな性癖など微塵もない

そんな最中、羞恥で顔がみるみる赤く染まっていく撫子。その様子を二人は待っていましたとばかりにニタニタと笑っていた


「や・・・やめてよぉ・・・っ」


もう恥ずかしさが限界値に達し顔から湯気がではじめていた撫子の前に二つの人影が近寄ってきた

そして突然一人が手を振り上げ三人の頭を順にスパンッとたたいていく

実に清々しい音が青い空の元周囲になり響く


「いてっ!!ちょ、なにすんのさー!」


霙の日が涙目で殴ってきた張本人を睨む

逆光で顔まではハッキリと見えないが、腕を組み、髪をハーフアップに纏めたシルエットが目に飛び込む


「・・・何をしているのかしら。真昼間から。それも道のど真ん中で」


「え・・・あ・・・」


逆光にも目が慣れ、なんとなくではあるがその人が誰なのかははっきりと見当がついた三人

まず後ずさりしたのは風の日と霙の日。次に二人が下がったことで自分ひとり前に出る形になった撫子の順番で退路を確保する


「ど、ども・・・三人とも・・・」


そのシルエットの後ろからもう一つの人影がひょこっと姿を現す

だがその姿を誰も見ようとはしない。というよりも手前の存在感が強すぎるのだ


「さて、言い訳無用よ。覚悟しなさい」


ここまでくれば一体誰なのか見当がつくだろう

そう、あのお方だ


「すみませんでした。雷火さん!!」


「だから問答無用よ!この変態共!!」


女子だからこそ、同性を本気でしばくことができる

だが、この時の雷火の日はまるで敵に放つ攻撃のような威力を持った平手打ちだった

この時晴れの日は恐怖で三人の援護が出来なかったと、のちに語った

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