表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変革者  作者: 雨の日
第一章~生まれし太陽~
5/174

第四話

第四話


『あー・・マイテス、マイテス・・みなさーん、朝の体操ですよぉ~。以上、雨の日でした~』


「・・・なんだ今の」


朝の6時。なんだかよく分からない目覚ましで目覚めた雄太は、昨日雨の日から渡された紙に書かれた朝の予定、中庭とやらに向かう

そこにはすでにここの施設の大半の人々が集まっていた


「ふーい。じゃ、始めッぞ~」


のろのろと現れる人影。その人影は雨の日だ

しかし前に立った雨の日はいまだ寝むそうで、なんの生気も感じられない


「はい、いっちにーさんしー」


「ごー!ろっく!しーち!はーち!」


雨の日のだるそうな掛け声とは正反対の声が雄太のま後ろから聞こえた

驚いて振り返ると・・・


「ら、雷さん!?」


「なんだー!新人!にー!にっ!さん!しっ!」


「い、いえ・・・」


ここに来てから、雄太は驚きとたじろぎしかしていない。しかしまぁ、ここの住人は変革者でなくても根っからの変わり者が多いから仕方ないのだが・・・


そして30分近くもの間体操を続け、そのまま食堂にて朝食を摂る


「さて、腹も膨れたし雨さんの修行とやらを受けに行きますか!」


食事を済ませた雄太は意気揚々と紙に書かれた「射撃場」に向かうことにした




「お、きたか新人~」


大きくあくびをして半ばめんどくさそうに手を振る雨。その手にはPSPが観える・・・。


「さて、お前の能力の使い方とやらを教えますか」


「はい!ジャンジャンお願いします!」


「あ、そんな敬語いらん。んじゃ、遠慮なくやっかな~」


「あ、わかり・・わかったよ!で、何からする!」


敬語を使わなくて良いのは雄太にとっても都合がいいのかすんなりと受け入れた


「何するって・・・そもそもお前能力の使い方しらんだろ?」


「あ・・・」


やれやれと言った顔で雨の日は何か黒く輝くものを雄太に投げつけた


「わっっとと・・・って銃!?」


受け取ってから再び落としかけた、がなんとかしっかりグリップを握る


「安心しろ。弾はない。お前の制約は多分銃の引き金を引く事だからな。銃弾はなくて平気さ」


「なるほど・・・?」


「てことで、俺に向かって引き金引け」


「はい!?」


引き金を引けば能力が発動される。たった今言った言葉を忘れたのかと言いたい雄太はぐっと抑え、半信半疑で銃口を向けた


「ほれ、撃てや」


「い、いくぞ・・・」


ゆっくりと力を入れていき・・・そして


「うわっ!?」


鈍い音が鳴り響き、咄嗟に雄太は目を閉じてしまった

その目をゆっくりと開くと・・・


「終わりか?」


なにも無かったかのように雨の日はそこに立っていた


「あれ・・?」


「ま、引けばいいってもんじゃないしな。お前、まだ自分の力のこと知らなさすぎるしな」


軽くせき込み雨の日が話始める


「お前のちからは、銃を引く事で対象、もしくは直線状にある遮蔽物に高周波のマイクロウェーブを当てる事で分子レベルでの振動を生み、溶かす。一種の熱操作だ。だから引き金を引いたから銃口から熱が出るわけでない。これ大事」


「お、おう・・?」


「よーするに、銃を使ってるけど、銃ではないってことよ」


「ん、ん・・・?」


雄太は納得はしていないが理解はした様子でじゃんじゃん引き金を引きまくる

しかし残念ながらなんの効果も表れない


「とりあえず、ここは射撃場だ。的を溶かせられたら、つか能力発動出来たら次のステップだ」


「おうよ!みてろぉ!直ぐ溶かしてやる!」


自信満々に銃口を的に向け、今までより気合を込めて引き金を引き絞る

が・・・


「威勢の割に不発だぞーい」


「く、くそう!!もっかいだ!」


「はいはい、気長にがんばれ・・・っと、よっしゃ激レア素材げっちゅ~」


この日、日中のほとんどを能力の開花に勤める最中、雨の日はのんきにゲームに没頭しているのだった




そして時は流れ夜・・・


「はぁ・・・はぁ・・・」


ここまで休憩をはさみつつで10時間

発動出来た回数は、いまだに4回のみだった。それもたまたま本の少し、のレベルだ

悔しいと根を詰める雄太だが無情にも時は過ぎ去ってしまった


「さて、今日はここで終わりだな。流石にこれ以上は意味がなさそうだ」


「ち、ちきしょ・・・」


心は諦めることを許してはいないが額に浮かぶ汗と、四肢に力が入らない時点で雄太の限界はもはや一目瞭然だ


「まぁ、初日は誰しもこんなもんよ。発動した4回の感覚、忘れんなよ?んじゃ、帰るわ~」


焦る雄太とは裏腹に結局のんきにゲームばかりして特に助言も無く雨の日は帰って行った

雄太も、しかたなく自室に戻る事にする




ちなみに雨の日がプレイしていたゲームは今日発売の新作モンファンと呼ばれるやりこみ系ゲームなのだが、この10時間で殆どのストーリーが終わっていたのは別のお話





「くっそ・・・発動してぇ!雨さんなんっにも教えてくんねぇし・・・」


自室のシャワーを浴びながら雄太は悔しみを噛みしめていた

流れるお湯が滴る


「くそっ・・・」


そして夜は更けていく・・・



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ