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変革者  作者: 雨の日
第二章~偽物妖精の双子~
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第十六話

第十六話


時を同じくして天候荘内、雷の日の部屋にて


「・・・っつ・・・」


ソファに寝かされていた晴れの日が目を覚ました

それと同時に雷火の日のことも思い出した


「あ、起きましたカ~?」


「雷火は!? どうなった!!」


ソファから跳ね起き目元に乗せてあったタオルを投げ飛ばす


「落ち着け。今雨達が対処している」


それを嵐の日が片手でキャッチして冷静に告げる

だが晴れの日が落ち着いて居られるわけもなく急いで立ち上がりドアに向けて駆け出す


「ちょ!? 落ち着きなさいナ!」


雪の日が食べていたチョコをこぼしながら晴れの日を止める。だが当然止まらない


「無理だ! 俺は・・・ッ!?」


丁度ドアに手を伸ばし始めた時扉の前に一瞬で嵐の日が現れた

その眼は鋭く、思わず晴れの日の足も止まる


「・・・俺は、なんだ? 今のお前がいったところで何の事態改善にもならねーぞ?」


図星なだけに反論が何もできない

自分の実力不足に俯いてしまう晴れの日


「まず頭を冷やせ。すぐ死ぬわけじゃねーらしいからな」


すぐ。それはつまり死期が近づいているということだ

だが晴れの日は今度は取り乱さず素直に席に座った

ちょうどその時扉が開き雨の日と雷の日が現れた


「雨さん!!雷火は・・・」


一瞬落ち着いたものの二人の入室でまた気持ちが乱れる


「・・・順に話す。雷がな」


「うん、それじゃぁまず今の雷火ちゃんの状況だけ説明するね」


雨の日の対応に少しだけ呆れた顔をした雷の日だが重い口を開き始めた

それを見た晴れの日は再び落ち着きその場に座り、固唾をのむ


「とりあえず、生きてはいる」


少しだけ安堵の息を漏らす。だが言葉一つ一つに引っかかる


「でも、呪いをかけられているみたいだ。残念だけど、天候荘だけじゃなくほかの県の支部にも解呪できる人はいない・・・」


「そん・・・!?」


「まぁ待て。そこで雪、嵐。お前らに緊急任務だ」


雨の日がここで口を開いた


「・・・本来なら俺ら3人も担当する任務だったがなにせ急だからな。俺らは全員国外での任務がある、だからお前らに・・・」


一呼吸おいて任務の名を口にした


「変革者収容所本部を襲撃、変革者達を解放の任務だ」


「・・・本部、ですカ」


「あぁ。その中に解呪を専門とした変革者がいる」


変革者収容所

アナザーたちが天候荘の変革者やほかの育成場から拉致してきた変革者を収容し実験や洗脳しているといわれる場所

もちろん晴れの日には初耳の案件だが、雪の日と嵐の日の表情と雷の日、雨の日の表情から察するにどうやらかなり重要なのだろう

それに、解呪の専門なら雷火の日を助けられるのだろう


「メンバーはどーなってる?」


「急ぎだったからね・・・でも霙ちゃん、風ちゃんを補佐に着けるよ。作戦は風ちゃん筆頭に考えてもらう」


「あ、あの・・・!」


ここで晴れの日は堪えきれずに口を出した

―――俺も、連れて行ってください、と


「・・・この晴れも連れて行っていいか?」


「えっ・・!?」


一番驚いたのは晴れの日だ

正直、今までの態度から嵐の日は晴れの日に対してあまりいい感情は無いかと思っていた矢先だからだ


「・・・あまり快くOKできない、かな」


苦い顔をする雷の日。当然だろう

だが援護は思いもよらないところから現れた


「大丈夫だ。俺らがこいつら救出に行ったとき少なくともすでにあのボスは死んでいた。傷から思うに・・・」


「晴れですネ、やったのは」


少し目を大きくさせた雷の日と、やるじゃないかと言いたげな雨の日

どうやら晴れの日が倒したあのボスはそれなりに各上だったのだろう


「いーんじゃねーか?」


雨の日がすんなりとOKを出す

雷の日も今の話を聞いたからか渋々うなずいている


「ただし、絶対に無茶はさせるな?」


「あぁ。分かっている」


「え、あ・・・」


戸惑う晴れの日を横目にしながら嵐の日が口を開く


「どうした?嫌なのか?」


「そ、そんなわけないだろ!行くさ!!」


「その意気ですヨ!」


背中を雪の日に叩かれ、闘魂がみなぎる晴れの日


「では、明日の朝!全員集合した段階で任務の説明をするね。現地までは曇りが送っていくが、帰りは誰か別の迎えをよこすよ!」










翌朝

雪の日の後押しと嵐の日の助太刀に支えられて晴れの日は雷火の日の呪いを解くため

これまで捕まった変革者を解放するという、雷の日達のレベルの任務に、参加することになった


「全員揃ったね?じゃぁ・・・戦場は本部のある、群馬県前橋!」


何が何でも成功させなければならない

深髪を取り逃がし、雷火の日を危機に追いやってしまった責任は少なくとも自分にある、と晴れの日は気負う


「当日の班は風の日を筆頭に、雪の日、嵐の日、霙の日、そして晴れの日だ!迎えはよこすからそこは心配いらない!」


雷の日もいつにもまして緊張感のある声だ

雨の日も目つきが変わり、まっすぐに晴れの日達3人を見つめていた

曇りの日は既に全員が乗れるだけの煙を作っている


「当日は激しい戦闘が予想されるだろう!だが君たちなら大丈夫だと信じている!」


制約に使うと思われる大きな袋を抱えた風の日と、動き安めの服装ではあるが明らかに厚手の霙の日

嵐の日は昨日と同じく包帯を左腕に巻き付けている

この場ではただ一つ、なんら見た目に変化のない雪の日だが、口元は不敵にも吊り上がっている

そして、晴れの日も腰のホルスターの二丁の銃を手で触れてその存在を確かめる


「・・・任務、開始!!」


タイムリミットは、後一日――――


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