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変革者  作者: 雨の日
第二章~偽物妖精の双子~
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第十二話

第十二話


「さすがに・・・不味いわね」


晴れの日が苦戦している一方で、雷火の日もかなりの窮地に立たされていた


「おいおい・・・この娘けっこーかわいくね?」


「ばかかお前。どう見てもガキだろーが」


突撃したもののその後を考えていなかったのだ

まさかあんなにも早く晴れの日の攻撃が防がれるとは思わなかった事もあり、完全に退路はない


「・・・気持ちの悪いっ」


周りから浴びせられる獣たちの視線を振り落すかのような冷たい一言で男たちの導火線に火が付く


「あぁん?じょーちゃん自分の状況理解してるぶるぅぁ!?」


最後まで言葉が紡げなかったのは雷火の日の重力反転アッパーが見事に決まったからだ

顎は人間の急所。的確に当てれば一撃で意識を刈り取ることだって可能だ


「気持ちが悪いって言ってるのよ!!この下衆が!わたしに触れていいのは雷様だけよこのバカ共!!」


取り囲まれているというのに強気だ

恐怖は、ないと言えば嘘になる。だが未練や失うものは何もない

ただ、このまま負けるのはただ単に彼女の気高きプライドが許さないのだ


「このアマァ・・・!」


当然のことながら全員のコメカミがひくつく

導火線の紐が短い男がまず爆発した


「し、ねやぁぁ!!」


怒りに任せたハンマーが振り下ろされる。それも徐々に巨大化しているではなか

雷火の日は両足を前後に開き踏ん張り、警棒で二メートルはあるハンマーを受け止める


「んぁ!?」


「人は・・・見かけじゃないのよ・・・っ!!」


渾身の力と重力ではじき返す

その衝撃で一瞬雷火の日の髪が舞い上がった


「小娘ェェ!!」


舞い上がった髪が下りるよりも早く、背後から鋭い何かが十本伸びてくる

背後とはいえ一直線だ、かわすのは造作もない

だが、同時に横からも拳が突き出されている

そうなった時の逃げ場は・・・上だ


「はぁっ!」


大きく上に跳躍する

重力も合わせ、宙に浮く形になった雷火の日の足元を拳と鋭い何かが交差していく

その拳に何かがが深々と突き刺さり、血を吹きだす


「・・・ってあれ爪だったのね」


上空とは言っても洞窟内。正直上に攻撃されれば簡単に当てられる距離だ

これだけの至近距離。攻撃の正体がでハッキリと見えた。それは男の爪が鋭く伸びている光景だ


「降りて来いこのぉ!!」


落ち着く暇もなく、ナイフが雷火の日目がけて飛ぶ

念動力かなにかの能力なのだろう。雷火の日が横にずれようとも正確に追ってくる


「なら・・・全部叩き落とすまで!」


急停止して振り向きざまに警棒を水平に薙ぎ払う。その風圧で二本のナイフが落下していく。さらに雷火の日はナイフの安全な峰の方を手で叩き、難なく回避する

だが安堵する暇はない。すぐ後ろに跳躍した変革者がいたのだ


「いつのま・・・きゃぁっ!?」


気が付いたものの対応までには至らない

肩を殴られ重力関係なく力の差で地面にたたきつけられる


「今だぁ!ヤレェェ!!」


全身が鉛に変化した変革者が雷火の日目がけて飛び掛かる

流石に直撃すれば体は確実に潰れるだろう

途切れそうな意識を何とか繋ぎ、体を返す。ちょうどそこに変革者が落下してきたが間一髪直撃はしなかった

だが、余波が雷火の日を襲う


「くっ・・・地震並の振動ね・・・っ!」


地面が盛大に揺れ足場が不安定になり次の行動に移れない

飛び上がろうにも意識がかき乱れては能力の発動も厳しいのだ


「隙だらけじゃないかお嬢さん!!」


振動の範囲外から槍が突き出される

まっすぐに突き出された槍は的確に雷火の頭を狙っていた。避けなければ串刺しになるのだがかわそうにもまだ満足に体は動かない

かろうじて片手は動くのだが・・・


「・・・っ!!!」


止むおえないと判断した雷火の日は警棒を持たない左手の平で槍の直撃を受ける

槍はその刃を赤く染めながら、雷火の日の手を貫いた


「ひゅうぅ・・・勇敢だねぇじょうちゃんっ」


槍が突き刺さりろくに動けない雷火の日にさらに火の追撃が襲い掛かる

それも鳥の形をした火で、意志を持ったかのような複雑な動き

右手の警棒で撃ち落とそうにも目標が定まらない


「燃えちゃいな!」


「っあぁぁああぁあ・・・!!」


鳥は無情にも雷火の日の予想範囲にも考えなかった、左手を狙った

当然槍に貫かれている左手は回避の仕様がない。身を引き裂かれるかのような痛みが雷火の日の全身を貫く

このままでは確実に命を落とすだろう

雷火の日は死の覚悟を決めることを一瞬思ってしまった

だが、その思考がさらに自分を追いつめる


「膝ぁ笑ってるぞぉっ・・・?」


「う、五月蠅い黙れぇぇぇえ!」


緊張の糸が切れたのだ。膝が笑い、呼吸が乱れる

もう戦う意思が削がれた

防戦一方でまともに反撃すらできなかった

数の圧倒だけではない。実力面でも確実に劣っている。雷火の日の目には生きる意志が宿っていなかった


「あばよじょーちゃん。苦しんであの世に逝かせてやるよ、精々もがけ?」


一人の変革者が注射器を取り出し戦意喪失して膝から崩れ落ちた雷火の日の腕になにも入っていないようにも見える注射器を刺す

当然雷火の日も気休め程度の抵抗はするが周りに取り押さえられ

注射の針は、雷火の日に突き刺さる――――

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