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変革者  作者: 雨の日
第二章~偽物妖精の双子~
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第十話

第十話


現れたのは晴れの日たちをここに連れてきたパトロールの男だった

どうやら、立ち位置からして彼がボスで間違いないだろう。つまり、この状況下においてもっとも会いたくない人物だ


「さて、君たちがノラかそうでないかはまだわからないが、逃げ出そうというなら仕方がない。死んでもらうほかないな」


明らかに不利

出口はふさがれ前には進めない

だが後ろに逃げてもこの組織の内部構造がわからない二人にとっては追いつめてくださいと言っているようなものだ

万事休す―――


「だが!ここでラストチャンス。君たち、仲間になる気は?」


逃げ場はない。応戦しても負ける。だが二人の目はまだ光っている

答えははじめから決まっていた


「あるわけないでしょ?」


「ねーよバカ」


たとえ死んでもアナザーの仲間になどならない。確固たる意志が即答という答えを導いた

そしてそれが開戦の合図だった

先手必勝と、晴れの日がボスに向けて熱線を放つ

しかし口笛にかき消される


「好戦的なのはいいけど、この人数差で勝てるのかな?こっちは18人。もちろん全員変革者だ。まったく、若いのに勿体ない・・・」


やれやれと頭を横に振る

先からわかってはいるが圧倒的不利。そんなこと晴れの日にも分かっている、だが雷火の日も同様だが、ここで引くのはプライドが許さない


「狭い洞窟だから一斉攻撃は難しいはず!壁を壊すから少し時間稼いで!」


「了解!」


まだ二つ同時の熱操作はできない晴れの日は片手で熱線を生みだし連続で奴らに叩き込むがすべてボスの口笛でかき消される

なんの能力なのかは、まったく見えない能力なのでわからない

だが、制約は口笛だろう

そこを何とか封じれば・・・

苦し紛れだと頭を悩ませながら熱線で牽制を続ける


「ふん・・・!!」


だがしかし晴れの日の熱線が防がれている間に一人の斧使いが切り込んでくる

しかもただの切込みではない。明らかに斬撃が6つほど見える


「うぉおっ!?」


どれが本物なのか、いや、どれも本物なのかもわからないため、すべてを避けるしかない

縦に一閃入る太刀筋を横に避けることでよけたがそこにも水平な斬撃がある。紙一重のタイミングでしゃがみなんとか避けるが、背後からの斬撃もある。前に転がりこれを回避、だがここで二つの斬撃が十字に晴れの日に襲い掛かる。熱を打ち、なんとか相殺に成功したが、最後の一撃が目と鼻の先にまで迫っていた

不幸中の幸いか、ここは洞窟内。足場が悪く小石に躓いた晴れの日は奇跡的に斬撃を避けられた

転んだ分大きな隙ができたがここの横幅では斧使いの体系的には一人暴れれば満員なほどのスペース

なんとか追撃は防げた


「雷火!まだか!」


斬撃に気を払いながら振り向く


「うっさい!今やってる!」


晴れの日の背後では警棒で何度も壁をたたきつける雷火の日の懸命な姿が

だが流石にそう簡単には崩れない


「よそ見とは余裕だねぇ!えぇっ?」


メガネをかけた男がいつの間にか晴れの日の頭上を陣取っていた

そして両手の指を合わせあう。制約・・・つまり攻撃が来る

晴れの日は一瞬の判断で横に跳んだ

それとほとんど同時に、さっきまでたっていた場所に槍が刺さっていた


「あぶねっ・・・っ!?後ろ!?」


背後にはボクサーグローブを付けた変革者が口を開けなにやらレーザーらしきものをチャージしていた


「死にさらせ――」


無情な一言とともに打ち出されたレーザーは晴れの日めがけて一直線に飛び出す

大きさは大したことはないが放たれた瞬間の衝撃から威力は相当だろう


「速度はおそい・・・でも避けたら雷火にあたる・・・くそっ!!」


銃を構え引き金を引き今の晴れの日の最大出力で熱を打ち出す

レーザーと熱がぶつかり合う

その衝撃は膨大な威力だった

双方粘りあうことなく一瞬で蒸発しあい、余波だけが主を襲う

レーザーの変革者は後ろに大きく吹き飛ばされ、晴れの日はその場に膝をつく


「ちょ!?あんた・・・!」


「うるせ・・・まだいける・・・」


これが戦闘経験の差だろうか。体の傷は大したものではないが殺意を持つの攻撃を受けたことのない晴れの日には精神的恐怖で膝がすくみ上る

初任務の晴れの日たちが戦闘のプロに勝てるわけがないのだ

まだたった数分の戦闘ですでに晴れの日はピンチに陥っていた


「遠慮はいい。今すぐ殺しちゃって」


ボスの声に斧使いが満身創痍の晴れの日に歩み寄る

そして大きく斧を振り上げ・・・


「・・・っ!」


「バカ・・・」


だが振り上げた斧はそのまま後ろに落ちていった

いや、正確には持ち主と共に後ろに倒れたのだ


「ら、雷火・・・」


吹き飛ばした犯人はもちろん雷火の日

長く黒い艶のある髪にはところどころ血が付いている。先までの戦闘のせいだろう


「あんたね・・・少しくらい男見せなさいよ」


肩をつかまれ強引に立たされる

そして背中を叩かれた


「ほら、あんたはまだ後方支援しかできないんだから支援しなさい」


確かに晴れの日はまだ雨の日に近接戦闘を教わっていない

能力が遠距離型だからだろう

だがそれがこんな時に足かせになるとは思わなかった


「前衛は・・・任せる」


「言われなくとも」


壁はまだヒビしか入っていない

それに二人にはこれだけの数の変革者を倒す作戦など微塵もない

でも・・・


「生きて帰るわよ・・・帰ったら近接戦闘教わることね」


雷火の日は決してあきらめてなどいなかった

だが、晴れの日だって気持ちは同じだ

銃を構え、口角を上げる


「ぜってー帰る!」


「さて、そろそろいいかな?ちょっと感動的だから見てたけど、一瞬で散ってもらうよ」


腕を前に突き出すボスの合図で、変革者が襲いくる


「いくわよ!」


「・・・あぁ!!」


二人の新米変革者と18人の殺しのプロの変革者の戦いの火蓋が切って落とされた―――




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