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変革者  作者: 雨の日
第二章~偽物妖精の双子~
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第六話

第六話


「ここかァ・・・っ!!」


遂に晴れの日の隠れていた草陰が見つかってしまった

草をかき分ける手が見え、そして謎の追跡者と晴れの日の視線が交差する

額に滲む汗が滝を作りそうなほどにまで噴き出す


「みつかっ・・・!?」


まさかもうアナザーと接触・・・

そう観念して戦闘を晴れの日は覚悟し腰にある銃に手を伸ばす

のだが・・・


「君!自殺志願者じゃないよな!まだ若いんだから、自殺なんてダメだよ!」


「・・・ほへ?あ、ちょ揺すらないで・・・!」


肩をつかまれ前後に大きく揺さぶられ、あっけにとられる晴れの日

しかしよく見ると男の腕には樹海特別パトロールと書いた腕章をつけていた

どうやらこの人は木の上で樹海での自殺志願者を引き留めるパトロールをやっているようだ

要するに、晴れの日達は自殺志願者だと思われているらしい


「まったく・・・こんな少年が自殺だなんて世も末だ・・・君!少し同行してくれるかな??」


「え・・・?えっ?」


困惑して何から話せばいいのかわからない晴れの日。だがこんな時にでも頼りになるのが雷火の日。隠れていた草陰から出てきて助け舟を出す


「すみません・・・自殺しようとしたわけじゃないんです・・・友人が遊び半分で樹海に探検に行って戻らないんで探しに来たって言いますか・・・」


嘘も方便

さすがは雷火の日。安定した演技でパトロールを誤魔化す

もちろん、自分たちが変革者だなんてばれてはいけないのだ。いや、正確には、規則で決まっているわけではない。だがやはり一般人を不安にさせないためには自分たちの正体を明かすことは得策ではないのだ


「それは困ったお友達だね・・・でも!一応ここは立ち入り制限あるんだから私たちの事務所に来てもらうよ!いい?」


残念だが逆らうことは難しいようだ

ここで変に拒否してもますます怪しまれ、最悪の場合、ずっと尋問を受けて、挙句の果てには家に帰らされるだろう

否応なくして二人はパトロールに連れられて樹海から追い出されてしまう

こうしてる間にも亮の足取りが途絶えてしまうだろうと考えると二人の内心焦りに焦っていたのだが、それはあくまで気持ちだけ。表面には誰も出さなかった






パトロール事務所にて


「さて、自殺じゃないとするとすぐ解放してあげられるけど迷子のお友達のことを詳しくきかなきゃだね・・・ちょっと書類をもってくるね」


そういって奥の部屋に消える

奥からは引き出しを開け、紙の束をガサゴソとあさる音が聞こえてきた


「さて・・・今のうちに逃げるか?」


「いえ・・・それじゃ怪しすぎるわ。樹海のパトロールも強化されてしまいそうだし・・・」


今後の行動について話し合う二人の下にタイミングよくパトロールが戻ってくる

なにやらマグカップを二つ持っているようだ


「はい、今日は暑いしポカリスでものみな?書類はー・・・もうちょっと待って!」


親切にスポーツ飲料水ポカリスを持ってきてくれたようだ

半透明かつ塩分補給に持ってこいのこの飲み物を用意しているとは気の利いた事務所のようだ

軽く頭を下げつつ二人はコップを受け取る

書類を待たせていることを申し訳なさそうに頭をぺこぺことしながらパトロールは再び奥の部屋に戻って行ってしまう

だが今度はすぐに書類らしきものを抱えて現れた


「さて、君たちの友達の特徴を教えてくれないかな?こっちで捜索してみるからさ」


ここで困ったことにやはり晴れの日は何も思いつかない

だが雷火の日がここは先陣を行く


「えぇ。友達と言っても先輩で、中年程で中肉気味の太り型。髪はボサッとしていてもしかしたらほかのパトロールさんなら自殺志願者と思っても無理はないような人です」


まさに弁舌爽やか

さがしかしこの特徴は、深髪 亮の特徴だ

この雷火の日という女はパトロールの力さえ利用しようというのか

背中になにか冷たいものが這ったかのような感覚がした。敵には絶対回したくない、と心のそこで強く思う

それにしても雷火の日の表情はというとまさに女優。完璧な演技だ


「ふむふむ・・・なら少しほかの隊員にも聞いてみるよ。もしかしたら見つかってるかも知れないしね」


懐から無線を取り出して樹海の中にいるらしき隊員に連絡を取り出した

その間、雷火の日は嘘をついた反動で口の中が乾き、ポカリスを一口飲む


「・・・!?ぷっ!!」


本来のポカリスの味ではない苦みを感じ変な声をだして飲もうとしたポカリスを吐き出すだがすでに遅かったようだ

突然雷火の日に強烈な睡魔が襲い掛かる。もちろん薬物だ。だがそうは理解していても対処できない


「な・・・によ・・・これ」


「おい!雷火!しっかり・・・か、はっ!?」


机に倒れこむ雷火の日を心配して背中を揺すりながら顔を覗き込むがその時、背後から何か固いもので首筋を殴られた

そのせいで三半規管が強烈に揺さぶられ、気分が悪くなる


「お、まえ・・・まさ・・・か・・・」


椅子から転げ落ちる晴れのの日

視点の定まらない目で不敵に笑うパトロール隊員を睨むが悔しくも、もう一撃同じところに打撃を貰い、今度は完全に意識を手放してしまった・・・


「変革者二名、ごあんなーい」


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