表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変革者  作者: 雨の日
第二章~偽物妖精の双子~
28/174

第四話

第四話


『業務連絡、晴れの日と雷火の日。至急雨様の元へ来てください。任務があるそうです』


名前を貰い、霙の日や風の日と出会って二日

いままで通り訓練を重ね、自分の能力の理解と応用について鍛えていた中、突然任務の呼び出しだ

急いで汗を拭き、駆け足で雨の日の部屋へと向かう







「失礼しま・・・ってまたマッサージ!?」


木でできた簡素なドアを開けると雨の日はまた撫子のマッサージを受けていた

正確には針治療になっていたが・・・

これは雨の日がマッサージ好きなのか撫子が好きなのか悩ましいものだ


「さすがね。優雅にマッサージとは・・・それにあんたも暇なのね、撫子」


振り返るとそこには相変わらずの怖い目つきで二人をにらむ雷火の日の姿があった

晴れの日と同じように訓練中だったのだろう。動きやすいジャージ姿だ


「あら、美咲・・・なぁに?自分は雷の日に触れられないからって嫉妬かしら?」


「はんっ、言ってなさい。それに今のわたしは雷火よ。そしてわたしは雷様に触らなくたっていいのよ。あんたと違って欲情していないのだから」


「むぅうっ」


「ふんっ・・・」


火花が散った

確かに火花が見えた

にらみ合う二人の眉間にはグランドキャニオンよりも深い溝ができていたことだろう


「え、えと・・・?二人とも・・・」


「あぁ、ほっときな~?この2人仲悪いから」


「そ、そうなのか・・・」


雨の日が針に全身刺されたまま声だけうならせる

それにしても全身傷だらけで、その傷の原因が気になる。だが聞こうにも雰囲気がそれを許さない

口調と恰好こそ不真面目だが、声色は多少なりとも真面目なトーンだ


「それにしてもなんで呼び出したのよこのてん、パ!」


眉間のしわを戻すことなくそばに置いてあった針を一本手に取り、躊躇なく雨の日の背中に突き立てる


「いってぇぇ!?」


痛いですむのだろうか・・・確かにマッサージ用の針ではあるが適当に扱えば激痛は免れないだろう

雨の日がもがき、あわただしくなる室内。取り残される晴れの日

それにしても、針は痛そうだ


「い、いってぇ・・・」


自分が刺されたわけではないが思わず背中をさする晴れの日


「ちょ!雨様大丈夫!?」


「はんっ、こんくらいじゃ死にはしないわ。天パの皇子よ?この阿呆は」


明らかに心配そうにする撫子とは対照的な雷火の日

どれだけ嫌いなんだ雨の日が。それにしても天パ皇子とはなんなのだろう

何時か聞いてみたいと首を傾げながらも、この異様な光景をもう見慣れてしまった晴れの日は自身の適応の速さに驚きと落胆が混じる


「い、いてぇ・・・と、とにかく二人に・・・任務・・・」


「雨様ちょっとストップ!治すから!」


能力を使おうとする撫子を雨の日が片手で制する


「無暗に使うなって・・・制約たいへんだぞ?」


「むぅぅ・・・わかったわ・・・」


頬を大きく膨らませて唇を尖らせる

可愛い姿ではあるが、能力が気になる

傷を治すのだろうか


「それで、任務ってのはな・・・」


撫子に刺されていた針を一度抜き、ベッドに座りなおして机に置いてある一枚の写真を取り出す

そこに映っていたのは一人太った男性


「こいつは深髪 亮。埼玉支部の元情報管理員だったが、つい最近連絡が途絶えてな。どうやら・・・」


写真を二人に手渡して一呼吸開ける

撫子は次の針の準備か、抜いた針を消毒している


「アナザーと裏で繋がっているようだ」


初回の任務で、まさかアナザーの名を聞くとは思いもよらなかった晴れの日

そして同じように雷火の日も事前情報があったのか驚きの表情だ

2人して目が見開き、口が若干開く。だが雷火の日が晴れの日と同じ動作をしていた知れば激怒するだろうと、急いで顔を普通に戻す

それにしても、その深髪という男をどうするのだろうか・・・

不安募る初任務、波乱の予感!?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ