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変革者  作者: 雨の日
第一章~生まれし太陽~
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第十九話

第十九話


『マイテスマイテス・・・あーあー。みんな!鬼ごっこお疲れ!現在試験に合格しているのは36ペア!元々108ペアだったから大分絞られたね・・・』


かなりの数が落ちている

本当に自分達の合格は奇跡の様なものなのだろう


『んじゃ、今日はゆっくりしていいからさ!また明日連絡するね!』


そこで雷の日が席を立つ音が聴こえた

しかしマイクは切れず、次に曇りの日が話し始めた


『あー、昨日と同じく鬼ごっこ参加者全員検診を受けてもらう。今回は特に見えにくい怪我が多いかもしれない。しっかり診てもらえ』


そこで放送は完全に終わった

つまり、これからフリーと言う事だ


「ん、ん~・・・せっかくだしまた露天行こうかな」


「お、いいね~俺も一緒に行ってもいいかなっ?」


背後から声をかけられ一瞬また雨の日かと思ったが今回は違った

雷の日だ。さっき鬼ごっこで落とし穴にはめたせいか、服の袖のあたりが細々とした土で汚れている


「雷さん!?い、いいですけど・・・てか俺のお風呂ってことでもないですし」


「ははっそだね!」


随分と陽気な雷の日だが雨の日ほどのめんどくさいオーラが出ているわけでもなく、むしろしっかりした人特有のオーラを持っていた

そして二人露店へと歩みを進める


「ふぃ~~誰かさん達に落とし穴はめられて全身土まみれだよー・・・

服を脱ぎながら裾の土を軽く手で叩き落としながら嫌味を含んだ目を雄太に向ける


「す、すいませんでした・・・」


服を脱ぎながら謝罪の言葉を述べる。やはり目上の人に対して冗談だと分かっていても謝ってしまう


「ははっ素直だねぇ。ところで美咲ちゃんとはうまくいってんのかな?」


恋仲をちゃかす大人のような顔だが、そんなふうに捉えられるほど雄太と美咲の中は芳しくない

雷の日は肩まで深く浸かり、体を水の浮力に委ねる


「いやー向こうが俺を嫌ってますからねぇ・・・」


雄太もそれに習い水の浮力に任せる


「うむ。まぁこういう話をするべきではないが、美咲ちゃんのパートナーだしはなしておくべきかな」


「なにをですか・・・?」


頭にタオルを押せる雷の日だが、その眼ははるか上空の星を見つめている


「・・・いや、やっぱりやめとくわ!試験に合格しなかったらパートナーも解消だしさ!」


ここで話を切るとはかなり気になる伏線を残してくれるな、と雄太は毒づいた


「まぁ、いつか本人が話すかもね~」


そんな日が来るのは世界の終わりの日かもしれない、いやそうとしか考えられない


「まぁそんな日が来るとは思えないけど」


雷の日も同じ気持ちだったらしい

それでも教えてくれないあたり何か雷の日は企んでいるのだろうか


「あ、そういえば川を凍らせたのって雷さん、じゃないですよね?」


「ん?もちろん。あれは雨の門下生の一人、雪の日だよ」


雪の日・・・氷の能力者だろうか

だがあれほどの能力を持っているなんてかなり心強い味方がいるものだ


「まぁ、そのうち会うかもよ?」


「雨さんの門下生か・・・」


だが心強い味方と言え、雨の日の門下生ってことが引っかかる雄太だった

ただでさえ面倒くさがりな雨の日の門下生がまともな人格者になることは確率的に少ないと思っていいだろう


「それにしても雷さんの能力はどんな風なんですか?」


「アバウトだな・・・まぁ教えといてあげるよ!」


湯からあがり、体を洗いに移動する

雄太も後に続いて湯から出る

体からは白い湯気が立つ


「ん、と名前の通り雷を操るのが能力だよ。制約はこれっ」


そういいながら指を一鳴らし

パチン、と雄太が聞いたことのない澄み渡る音が響く


「指ぱっちんですか? あ、背中洗いますよ」


雄太は雷の日の背中に回り、タオルを泡立てる


「そそ!綺麗に鳴らすの大変なんだよ~・・・あ、お願いしよっかな!」


雷の日の背中は思っていた以上に広くがっしりとしていた。好奇心が疼き思わず背中をタオルで擦りながらも左手で触れてみる

硬い

それが第一に思う雷の日の背中の感触だ

相当鍛えているのが素人目にもハッキリとわかる


「洗いっこかー?いーね~俺も混ぜてよ?」


と、そこに雨の日が現れた

湯気でぼんやりとしか見えていないが、腰にタオルを巻き入り口に立っている


「お!雨、洗ってやろーか?」


慌てて雄太は手を引っ込める。別に悪い子とをしていたわけではないが、他人の背中を触っている姿を単に見られたくないのだ

雷の日はそんな雄太の心もいざ知らず、何のためらいもなく自分の前の席を指さす


「よろしくよろしく~!」


すたすたと歩みより、雷の日の前に座る

構図的には、雨の日、雷の日、雄太の順番で座り前の背中を洗い流す

湯気で雨の日の背中はハッキリと見えないが、恐らく筋肉がしっかりと詰まった体だろう


「そーいや雷、新人に能力教えたのか?」


話題が人つ前に戻る

雨の日は誰の背中も洗っていないのでずいぶんと気楽そうに鼻歌も歌っている


「見せては無いんだけどね~」


どうやら交代のようだ

クルリと体を反転して雨の日が雷の日を雷の日が雄太の背中を洗う形に変わる

自分の先輩であり上司に体を洗ってもらうのはどこかこそばゆい気がするがここは直に好意に甘えよう


「あ、見てみたいんですけどいいですか?」


顔だけ後ろを向き自分の背中をせっせと真面目に洗ってくれている雷の日を見る

雷の日はその手を休めることなく眉をしかめて言った


「あー・・・危なすぎるからここじゃ無理かな?」


攻撃に特化しているから、と付け加え雷の日は雄太の願いを断る

なら雨の日の能力はどうなのかと気になった雄太はさらに首を回し、雨の日を見る


「無理だぞ?」


「まだ何も言ってない!!」


先手を打たれてしまった雄太が叫んだ言葉は夜の空に吸い込まれた

結局二人の能力は見れず、肩を落としてうなだれる

雨の日の能力に関しては概要すら未知数のままだ――・・・

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