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変革者  作者: 雨の日
第六章~天の御心~
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第一話

第六章~天の御心~


第一話


「・・・来たな最強候補」


正面入り口で、たった一人で百に及ぶ変革者を相手にしてもなお、まったく引けを取る気配のない曇りの日が上空から降ってきた三人に気が付きその行動にやれやれと言いつつも口角を上げる

そして一服ふかして煙を生み出した


「足場は作る。後は好きに動け!」


聞こえるかどうか定かではないが煙で晴れの日達を受け止める足場を作った後、大声で叫び晴れの日達に激励を投げかけた

そのさっきにも似た気迫に圧倒されたのか、アナザーの変革者達は数歩後ずさるのが足音で聞こえた


「・・・中は任せた。ここは俺が死んでも守るさ」


そして低く呟いた言葉に呼応するように黒い煙はまるで亀のように固くどっしりと構え、何人たりとも刃が通らぬ気迫を持っていた――――







「曇りさん・・・助かります!!行くぞ二人とも!!まずは、雷さんと合流だ!」


「分かったわ!」


まるでクッションのような弾力のある煙が晴れの日達を個別に包み込み、落下の衝撃を完全に吸収して地面に着地できた

そして煙から外に足を踏み出すと、すでに何かが焼けるようなにおいが鼻を突いた


「くそっ・・・天候荘燃やす気かよ!」


「ハレ!後ろ!」


天候荘の中で何かが燃えているのを匂いで感じた晴れの日はつい背後に意識が回らなかった

だが、フレディの一言のお陰で攻撃が来る前に振り向ける


「邪魔だっ!!」


振り向きながらも気配で攻撃がどんなものかなんとなく察しがついた晴れの日は、腰のホルスターから紅銃を抜きだしながらも背中から地面に倒れ込み、敵の棍棒による薙ぎ払いを避け、振り切った後に生まれる隙を突いて熱線を打ち込む

敵は熱線に一瞬にして気を失いその場に崩れ落ちる


「oh・・・ハレ、強くなったね!」


その一連の流れるような動きを見ておもわず感嘆が漏れるフレディ


「まぁね!日頃の訓練の成果ってやつだ!」


「晴れの日、フレディ。今は先を急ぐわよ!裏口が突破されているみたいだから、まずはそこを奪還しましょう」


「そうだな。俺が後ろからついていくから、真ん中にフレディ立っていてくれ!」


流石にフレディの身を守りつつの戦闘は避けたいものの、やはり致し方ないことだと判断した晴れの日は前から順に、雷火の日、フレディ、そして晴れの日の防衛型の布陣で攻めることにした

そして裏口目がけて走り出す

裏口までの距離は数十メートルで、扉の前にはアナザーの変革者が我が物顔で陣取っている

そしてさらに数十人もの変革者が扉を守っており、うかつに天候荘の変革者が近づけない体制に形勢が逆転していたのだ


「状況はどんな感じ・・・?」


悔しくもその場で足踏み状態の一人に晴れの日が尋ねた


「最悪だよ・・・完全にここの出入り口は奴らに占拠された・・・あの女が恐ろしく強いんだ・・・!」


若干震えつつも裏口に立つ変革者の中の一人を震える手で指さす

その女性は、戦場であるにも関わらず楽器を奏で、その音色は人を殺す殺音と成っている

もちろん、誰かは見当がつく

そう、梶原だ


「あいつ・・・!!」


「知っているの?」


雷火の日はあの時いなかったので知らないのも無理は無い

だがあの日の出来事をハッキリと覚えている晴れの日は簡潔に、強い奴だという情報を伝えて突撃の準備を整える。もちろん小細工などしている暇がないので正面突破になろう


「ほれほれほれぇぇ!!もっと強い奴出てこいやオラァ!!」


楽器を持つと気象の荒くなる梶原は、エレキギターを暴れ狂うように弾きながらも、確実に着実に、天候荘の変革者達を足止めしている。中にはすでに死傷者もいるだろう


「雷火・・・いけるか?」


「・・・強敵ね。まぁいいわ、一撃決まればわたしの勝ちよっ・・・」


警棒を握りしめた雷火の日。だが、晴れの日と雷火の日の肩に何者かの手が添えられた

そして耳打ちするように小さく

時間、稼ぐから行きなさい

と囁いた

しかし、振り返ってもそこにはすでに誰も居なかった


「あはははははは!!みんな死んじゃえぇぇ!!!」


「死ぬのわ貴方。そうでしょう?」


周囲に放たれた音の衝撃を何かが切り裂き、一切の損失をも許さない


「・・・っとようやく来たかコスプレ野郎っ!」


声の方に視線を投げた晴れの日達が見た先には、こちらに顔を向けることなく巫女服に身を包み立ち振る舞いこそ大和撫子のその女性。軽く人さし指で裏口を指すその動作を見逃さなかった晴れの日と雷火の日は、フレディの腕を半ば強引に引き、裏口目がけて駆け出した

だが、当然梶原が黙っているはずがない


「いかせないわよぉっ!」


ピックをエレキギターにこすりつけその音色で晴れの日達を切り裂こうとした梶原だったが、その音は不発に終わる

なぜなら、吹き荒れた一陣の風が、音の刃を粉々に砕いたからだ


「・・・貴方の相手は私よ?」


「・・・みたいね。行っちゃったけどまぁいっか。先にあんたを殺してあ、げ、る」


この二人。風の日、梶原との因縁の再戦が今幕を開けた―――――


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