第七話
第七話
「んぺっ!血が口に・・・」
「あんた良く飛び込んだわね・・・てか汚い生臭い近寄るなバカ」
『・・・散々言われているのだな』
体内から熱を放ちまくりヤマタノオロチの内側をボロボロにした晴れの日はその代償に全身に鮮血を浴び、また蛇独特の生臭さを纏うことになった
さらには功労をねぎらわれることなく雷火の日に罵倒され、挙句の果てにはデュラハンにまで同情されてしまう
「まぁいいわ。とにかく今は先を行きましょう?こんな化け物との連戦なんかまっぴらごめんよ」
腰に手を当てたった今倒したヤマタノオロチを見下ろしながら口をとがらせる
もちろんそれは晴れの日も同意見だ。たとえ闇雲に進むことになろうが今はとりあえずこの場を離れたほうが賢明な気もする
「そうだな・・・あ、なんか今脳内会話的な感じでデュラハンと会話できてるんだけどさ、そっちはシルヴァと会話できるの?」
「えぇ。できてるわ」
『ほんと不思議だね~ウチ来たる時ってやつまで眠ってるはずなのに~』
シルヴァの声は晴れの日には聞こえていないようだ
もちろん、デュラハンの声も雷火の日には聞こえていない
「来たる時?」
『あ、んーん何でもないよ!ほら、ウチとデュラハンは色々秘密にしなきゃいけない事多くて・・・ごめんに?』
「あ、そ」
「雷火?」
晴れの日からしてみれば雷火の日が独り言をぶつぶつと言っているようにしか思えないが、恐らくシルヴァと会話していたのだろう
内容が気になるところではあるが、大方そこまで聞き出せたわけではないのだろう。雷火の日の表情がなんら変わらない
「いえ、こっちの話。それより、右と左。どうする?」
「そー・・・だなぁ」
T字路を前にどちらに曲がるべきか決められない二人。だがそんな時デュラハンが脳内で話しかけてくる
『・・・詳しくは分からんが、どうやらどちらも同じ結果になる様だぞ?』
「同じ結果?」
『あぁ。なんとなくどちらに曲がっても全く同個体の強敵が構ている。少し変な状況だな』
デュラハンが端的に説明してくれるも、晴れの日はどんなに集中しようともその気配を感じ取れない
果たして本当に強敵がいるのか不安になりつつも、そのことを雷火の日にも告げる
「雷火、なんかデュラハンがどっちに曲がっても一緒だって。敵も居るってさ」
「そう。まぁどっちでもいいなら右に行きましょうか」
もちろん特に意見もなく、一応敵の存在を気にしつつ紅銃を構えT字路を右に曲がる
と、その瞬間晴れの日めがけて一筋の線が迸った
『危ないっ!』
シルヴァが思わず叫ぶも聞こえるのは雷火の日の脳内だけだ。当然晴れの日に聞こえるわけもなく、その一閃は晴れの日に突き刺さった―――