第四話
第四話
フレディの部屋からでた雨の日は雷の日の部屋に直行し中でなにやら任務の振り分けに頭を悩ませている二人の元に駆け寄る
「う~い雷、曇り~」
「雨さん、どうしたんだ?いつもはこの時間はトレーニングじゃ?」
「あ、それは後でやる。それよか、コードF使っていいか?晴れと雷火に」
コードFと雨の日が口走った瞬間二人の手からペンが落ちる
そして突然立ち上がり雷の日が雨の日の肩を掴み前後に大きく揺さぶり始め、曇りの日は電話を取り出し救急車を呼ぼうとしている
一体コードFとは何なのだろうか。気になるところではあるが、今はそんな状況ではないだろう
「あ、あぁぁ雨が・・・まともな発言を!?」
「フレディの奥さんに会うと言い始めたあたりからおかしいと思っていたんだ!貴様一体誰だ!!」
2人とも、かなりひどいことを言っている気がするのは雨の日だけでなく本人たちも分かっているのだろうか
だが、確かに雨の日にしてみればまともに仕事をしているのだ。ここ最近だけでも名古屋城への援軍、雷火の日と晴れの日の謎の現象の究明
まるで人が変わったようだ
だが、やはり根っこは変わらないだろう
その証拠に、すでにかなり眠たそうな顔をして雷の日に揺さぶられている
「お前ら落ち着けや・・・俺は雨の日だっての!コードF使っていいのか!悪いのか!しょーじきちんたら訓練するよりぜってぇ早いから俺は使ってしまいたい」
「まぁその天パが本人である何よりも証拠、か・・・雷、俺は賛成だ。というより現状が分からないからな。雨さんに任せるつもりだ」
「そうだね。俺もいいと思うよ!ただ、そうなるとどーやってバレずに進めるか・・・」
三人が少し黙って言葉を探す
何故なら、雷の日が今言おうとしていた言葉は・・・
どうやって、ドッキリを仕掛けるのか。なのだから・・・・
翌日―――
晴れの日は雨の日に半ば見捨てられた後、フレディと撫子に色々と慰められたが、やはり納得は行くはずがない
それどころか、こんな横暴があっていいものかと怒りさえ湧いてくる
もちろんそれは雷火の日にもいえることで、彼女もまた怒りに燃えていた
「・・・雷火に連絡入れてみっかな」
部屋に置いてあるPCを立ち上げて、雷火の日に雨の日への抗議をしないかと勧誘のメールを入れようと計らう
だが、どうやらその必要はなかったようだ
既にPCのメールフォルダには一件。差出人雷火でメールの着信が約10分前に入っていたのだ
「やっぱ、あいつがそうやすやすと諦めるわけないわな!」
一応、フレディと撫子から二人の心を読んだ結果とシルヴァについて、それから晴れの日が眠ってしまった間に見た夢の話は全て全員共通認識にしてある
だが、それでも雷火の日は当然のように諦めることはなかった
『晴れの日。あんたがどうするかまでは知らないけれど、わたしは抗議するわ。天パなんかじゃ話にならないでしょうし、雷様か曇りのところへ今日の午前中にでも行くつもりよ。あんたは、どうする?』
メールの文面はこれですべてだった
だが、こんなもの送られずとも晴れの日の気持ちはただ一つ。雷火と同じだ
「俺は変革者最強候補だからなぁ・・・こんなところで足踏みしてる暇はねーのよ!!」
雷火の日に一言、俺も行く
とだけ連絡した晴れの日はすぐに扉の向こう側に異変を感じた
どうやら数人がかりで晴れの日のドアを取り囲むように配置されている。心当たりのない晴れの日は少しばかり敵意をあらわにし、枕元に常備するようにしてある紅銃をフレディに貰った腕時計を装備し、侵入に備える
「まさか・・・アナザーなのか?」
自分でいって置いて不安になる晴れの日だが、その予想は大きく外れることになる
なぜなら、ドアの向こうの人間は、あろうことか晴れの日のへやの扉をノックし、入室の許可を求めてきたのだ
「晴れの日、このドアを開けてくれないか。悪いが君の身柄を拘束させてもらうよ」
「え・・・!?」
流石に理解が追い付かない
それに拘束、とも言われた。これはもしかすると雨の日の策略かもしれない。晴れの日と雷火の日が逃げ出したり、アナザーに狙われないようにするための、策略
「三秒以内にドアを開けよ!三・・・二・・・一・・・!」
「はいはいはい!開けます開けます!!」
本気でドアを壊すのがハッキリと感じていた
だからこそ、晴れの日は若干怯えつつも扉の鍵を外しゆっくりと開ける
「朝に済まない。雨の日に頼まれて君と雷火の日の身柄を確保するように言われた、SWETというグループだ。それでサッソクなのだが、能力の制約に必要な物、若しくは持っておきたいものを持ち出しなさい。君は特別なお部屋に引っ越しだ」
突然そんなことを言われても、片付けや荷物整理など普段してこなかった晴れの日にはキツイことだ
だが、今はそんなことは重要ではない。つまり今重要視すべきは・・・
「ここでみなさんを倒して逃げるとどーなっちゃいますかね?」
冷や汗を額に浮かべながらも窓際により、さり気なく窓のカギを開ける
その行為に気が付いているのかいないのかは分からないがその眼の光が一時も揺らぐことはない。だが一歩、また一歩と、手を後ろに組んだまま歩み寄るその姿からは威圧の姿勢が伺える
「正直なところ、倒される可能性の方が高いのが現状だが流石に取り押さえるくらいはできるさ」
どうやら、ここにいる連中では晴れの日の実力の方が上のようだ
だが、まだまだ新米である晴れの日にその実感がないためおいそれと交戦開始とはいかないようだ
だが、晴れの日の元に彼らが来たということは雷火の日にも来ているのだろうか
少し気になるが今は自分のこの状況の打破が第一だ
とりあえず、窓のカギは開けた
しかしここは二階。着地次第では大けがだ
だが、飛ぶしか、ない!
「そうか・・・でも俺はっ逃げるッ!!」
「なっ・・・おい!?」
晴れの日はそう吐き捨てると窓を大きく左右に開け放ち体を丸めて飛び出した
だが・・・
「・・・外にも待機班いると言おうとしたのになぁ」
窓から飛び出した晴れの日のその度胸に感心しつつも、やれやれとため息をつく
どうやら晴れの日にとっては残念なことに、外には空を飛べる変革者が上空でスタンバイしていたらしく、案の定飛び出した瞬間にネットで全身を包まれ、まるで漁船の網にかかった魚のような状態のまま、宙釣りにされる
「おぉっ!?このっ!降ろせこらっ!!」
なんとか網を破ろうと懸命にわめくが、どうやら特殊な網の様で切れる気配はゼロだ
仕方なく、紅銃を握りしめ、網を焼き切ろうと狙いを澄ましたが、それに気が付いた浮遊変革者は、晴れの日が入ったその網を天候荘はるか上空にまで運ぶ
そのせいで、晴れの日は確実に逃げ場を失った
と、そこに先のリーダー格が現れる。彼もまた飛べるようだ
「・・・引っ越ししてもらいますよ?」
「ちき・・・しょっ!」
どうやらこの言葉に、拒否権はないようだ
まるで意味の分からないまま、体の自由も聞かない網の中晴れの日は悔しさに唇を噛みしめるだけだった―――