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変革者  作者: 雨の日
第一章~生まれし太陽~
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第九話

今回は長めです!

更新ペースより一話の長さを重視しました

第九話



「遅いわね。わたしを待たせていいのは雷様だけよ」


「す、すみません・・・?」


「はぁ・・・しかもこんな頼りなさそうな男とパーティか・・」


深いため息


「え、えと・・・」


「まぁ、いいわ。期待もしてなかったしね」


なんだか、凄く帰りたい気持ちになった雄太。さらに今のところ雄太と目は一切あていない


「私は道重 美咲。能力は自分の体組織にかかる重力の大きさと向きの変更。パッシブだから対価もなにもないわ。あなたは?」


「あ、俺は境 雄太。えっと、能力は熱生成。制約は銃の引き金を引く事」


完全にペースを呑まれている。悪い意味でだ

しかし、雄太には対女性免疫が少ない。ましてや気の強い女性など以ての外だ

だからこそ何の反論もできない


「さて、こんなに悠長にもしてられないわね。さっさとあの島に行くわよ」


ずいぶんと短気なようだ

だがここは船の上だ。どうやっていくのだろうか


「って言ってもどうやって・・・?大分遠いぞ?」


何か画期的なアイデアがあるのかと期待する雄太だが・・・


「はぁ?飛ぶよ。わたし、飛べるし」


「俺、飛べない・・・」


残念ながら画期的アイデアはなかった。さらに言えば雄太の能力は熱。まぁそれで空に舞えるはずもない


「知らないわよ。」


「ええ!?」


無情の一言だ


「どーにかしなさい。わたしは先に行くから」


と言い放ち、美咲はほんとうに先に言ってしまった

一人取り残され途方に暮れる雄太


「ど、どうしよ・・・飛べないし・・泳ぐにしては距離が・・」


「そうだ!」








15分後


「はぁっ・・・はぁっ・・!」


「あら、意外と速かったじゃない」


沖についた雄太を美咲はまた仁王立ちで待ち構えていた


「っていうかどうやって来たのよ」


「はぁ・・っはあ・・船に・・あった、布で・・・気球作った・・・!」


そう、雄太は布をドーム状にして、雄太一人乗れるよう、船のお風呂コーナーにあった籠を足場にし、熱で空気を温め続けて飛んできたのだ


「・・・あほなのか、凄いのか」


美咲は若干あきれ顔だった







「最初は知力、だったわね」


「おう・・っでこの迷路ってことは・・・」


「突破しろってことね。上等じゃない、行くわよ」


あきらかに広すぎる迷路。ざっと見ただけで、東京ドーム二個分はある

・・・え?東京ドームじゃ分かりにくい?

しょうがないなぁ・・・ガン○ムの頭部位って感じだ


「さて、ただ難しい迷路、ってわけじゃないわよね」


「そうだな・・え、と・・・」


「?なによ」


「なんて呼べばいいかな、って?美咲・・?」


「・・・アァン!?」


※ただいま、字体にすら表せない閲覧禁止状態の為、しばしお待ちください※



「すみませんでした。」


「分かればいいのよ。じゃぁ、行くわよ」


なにがあったのか、聴けるものはそういないだろう。しかし確かにここで雄太は確信した

お近づきには・・・なれない。


「っと、また行き止まりね」


「ん・・?てかここさっきも通った気が・・・」


「えぇー・・・勘弁してよもう・・」


かれこれ何十分と経ったが一向にクリアできる気配は無し

それどころか本当に出口があるのかと疑わしくなってきた

だが確認しようにも壁はコンクリート製で、高さも昇れる高さではない

つまりクリアが絶対の条件なのだ


「なぁ・・・道重さん、ちょっと休憩しない・・?」


「嫌。休憩はいいけど、あんたと一緒は嫌」


随分と嫌われている雄太

しかしめげない雄太


「そんなこと言わずにさ!この後も試験あるんだし、すこしはお互いに・・・」


「嫌」


雄太君、惨敗です

しぶしぶ一人で足を休め、次に美咲が休む

そしてまた迷路の攻略が再開した


「さて、なんか明らかに怪しいところ来たぞ・・・」


「えぇ。嫌だけどあんたと同意見」


この時雄太はどこまで嫌われてんだとつっこみたいきもちを何とか抑えていた


「いきなり道が開けて・・しかも壁には丸い穴・・・」


「絶対なんか飛び出すでしょ・・・」


しかし、ここ以外に道を探すのは時間がもったいないかもしれない

この試験に与えられた時間は全部で4日間もある

つまり、この迷宮はそう簡単にはクリアできないというわけだ


「まぁ、しかたない・・・いざとなれば俺が盾にでもなるよ!」


「当り前よ。わたしに怪我させる気・・?」


随分とお嬢様な様で、雄太の精一杯の誠意でさえ軽くあしらわれてしまう


「さて、あんたからいきなさい?」


「拒否権は・・・ないですね、はい・・・」


しぶしぶと雄太は銃を構えて穴に注意しながらゆっくりと進む

と、その瞬間


「横じゃない!上よ!」


「な!?」


咄嗟に上を向くと、すでに大量の槍が雄太目掛けて降り注いでいた

もちろん刃も付いている列記とした凶器だ


「やべえ!?」


気づいたときには目と鼻の先に槍の刃があり熱で溶かすにも近すぎ、かわすにも時間が残されていない

雄太はリタイア以前に死を覚悟した――













リタイア以前に死を覚悟して目を閉じたのだが

がその必要はどうやら無かったようだ


「いって・・・っ!?」


雄太が感じたのは後頭部を壁に打ち付ける痛みだけだった


「ったく・・・注意力ってもんがないの!?あと少しで死んでたわよ!」


「す、すまん・・・というかこの体制・・・!」


そう

今この体制は雄太が壁に倒れかかり、そこに美咲が飛び込んでいるかのような構図なのだ


「し、仕方ないでしょうが!あんた、あそこで死にたかったの!?いや、むしろ死んで脳内のお花畑やいてあげればよかった!!」


「いやいや・・・この体制は色々と考だめだろ!?その・・・あ、あたるし・・」


「っっっ!!?」


※ただいま、倫理上問題あるシーンです。しばしお待ちを※


余談ですが、美咲のは推定でもCいじょ・・


「あなたもおいで・・・?」


え!?あ!ちょ、ナレーションが!!あ、あぁぁぁぁぁいいいやあああああ!!?




「ふぅ・・あんた達、次はないわよ」


「ごめんなさい。。。」


ごめんなさい。。。






「さて、槍のトラップはなんとかクリアってところね」


「ってか、さっきどうやって俺を助けられたの・・・?」


たしかに、あの一瞬で雄太を助けるのはよほどの速度が無ければ不可能に近かった


「忘れた?わたしは重力の向きもかえられるのよ。横向きにすればそれだけ加速するわ」


物は使いようとはまさにこの事

つまり美咲は

自分にかかる重力の向きを雄太の方向にして、さらに重力の大きさも変えて、いわゆる「落下」したのだ


「なるほど・・・便利だね」


「ふん、あんたとは違うのよ」


「一言多いよ・・・」


雄太の反論を美咲は気にも留めず再び歩みの速度を上げたのだ


「さて、つぎのトラップはなにかしらね」


「さぁ・・・?まぁでも、槍みたいなそんな古典的なもんはそう多くないと思うけど・・・」


そして角を左に曲がった直後――


「いらっしゃいなっ」


そう言われながら雄太と美咲は頭を掴まれた

そして、一瞬の間視界がブラックアウトしたのだ


「う、ううぅ・・・」


つい意識を手放したせいで雄太は地面に膝をついていた

となりではやはり同じように美咲が両手を地面に付けていた

いや・・・?


「大丈夫か・・・道重さ・・・」


「ええ。あんたに心配されるほ・・・」


2人は顔を見合わせた

そして


「俺が・・・いる?」


「わたしが・・・いる」


「えええええええええ」


美咲・・・いや、雄太が絶叫した

雄・・・美咲は唖然としている

そう、2人の中身は入れ替わってしまっていたのだ

あの一瞬で

おそらくあの人もトラップの一つなのだろう

しかし、ここで2人が入れ換わるのは何かと面倒だ


「ちょ、これって元に戻るんでしょうね!」


「俺が聴きたいわー!」


と、雄太が、いや美咲が嘆き、雄太が叫ぶ


「ってか、この状態でも能力は使えるんだろうか?」


「物は試しね。わたしの能力は慣れが必要だし、あんたのでやるわ。銃の引き金、よね」


おもむろに腰のホルスターから銃を取り出し、足元の草目掛けて銃の引き金を引いた

すると


「あ!焦げた・・・」


雄太が能力発動に費やした時間は何だったのかと嘆きたい気持ちを抑え、現状を把握する


「なるほど。能力自体は元の体の力ってことね。でも不安定・・・ほんとなら燃やしきるはずの威力こめたのに焦げただけだしね」


つまり、さっき雄太達に能力をかけた変革者を見つけなければならないようだ

が、すでに周りには見当たらなかった


「ちっ・・・どこ行った!」


「ちょっと、私の体で壁を叩かないで。体に傷つけたらこの体。斬るとこ斬るわよ」


「ど、どこっすか・・・」


一体どこの事を言って居るのか直感的に知ってはならないと雄太は悟り追及はしない

しかしこのままでは埒が開かない


「おそらくここで錯乱させようとしているんだ、アイツ・・・てか、女の子の体って・・・」


「黙っておくのが身の為よ。わたしはあなたの体を支配しているのよ?」


ラッキースケベを期待した読者の方々、残念だがそれは無い

そんなことをすれば確実に雄太の体は塵と化すだろう

もちろん私も死にたくないという理由もある


「さて、あんたにわたしが汚される前に早く元に戻る方法を探しましょうかね」


「汚すってそんな・・・」


よほど嫌われているようだ

雄太は肩を落としてとぼとぼと美咲の後を追う


「それにしても、手がかりも無しに探すなんて無謀よね」


「まー、そりゃそうだけど・・・」


「こうなったら仕方ないわね、多少強引だけれど・・・」


そう言いながら美咲は息を大きく吸い込み、あらん限りの声で叫んだ


「おい!!わたしとこの¶Θ〒野郎の体取り替えた奴!出てこねぇと◆○±ξÅを÷#☆にスンぞオラァ!?」


恐ろしい。全身の毛が逆立つのを雄太は感じていた

よくもまぁ、人間の口からあんなセリフが飛び出るものだと関心もしていたが・・


「い、いやでも、正直これで出てくるかな・・・」


相手はこの試験に配置されるという事はそれなりの実力者。この程度で心折れては・・・


「ぐす・・ごめんなさい・・・やりすぎましたぁ・・・」


曲がり角からまだ幼い、それも眼帯で右目を塞いでる男の子が涙をこぼして現れた


「あら、素直じゃない。せっかく入れ替えたとこ悪いんだけど、今すぐにこの☆◆±野郎の体から出してもらえる?」


「は、はひっ!」


美咲は子供にも容赦がないようだ

明らかにおびえている子にわざととも思える恐怖の笑顔で脅しかけた


「も、戻しますので顔に触れさせていただきます・・・」


「怖がらなくていいよ?おに・・今はおねぇちゃんだけど中身お兄ちゃんの俺が付いてるからさ!」


「黙れ変態が」


「・・・」


雄太の善戦虚しく散った

そして、子供の手が2人の頬に触れると、再び視界がブラックアウトして、元の体へと戻っていた


「こ、これでいいですか・・?」


「ありがとう。もう行って良いわよ」


「お、治ったなおった~・・・ってせっかくのトラップ要因だったのになんかごめんな・・」


ものの数分で解除されてしまっては試験の内容として疑わしいが、今回は美咲が異端過ぎると言う事で免除してもらえるだろう


「い、いえ・・それじゃ僕はこれで・・頑張ってください・・」


「えぇ。言われなくとも」


相も変わらず毒舌な美咲


「お、おいおい・・・とりあえず行こうぜ・・?」


「ん、先導は任せるわ」


「はいはい・・・」


そして雄太達は再び迷宮に迷い込むのだった









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