ボスの思い 5
ミシェルが恥ずかしそうに顔をあげたので、あわてて体を離した。
ミシェルの大人びた表情にドキリとする。
いつまでも子供だと思っていたが、少女の成長は早い。
母親に似てきた・・・。アキラには内緒だが、私の初恋はミシェルの母親のソフィだったりする。ミシェルにはその面差しがある。大人になったら美人になるに違いない。今でも十分に可愛いが・・・。
ハッとする。これではまるで親ばか丸出しだ。
だれにも嫁にはやらないといってごねるにきまってる、といっていたセルジオの言葉が蘇る。いや、私はそんなに心の狭い男ではない。
でも、そろそろボーイフレンドの一人いてもおかしくない年頃だ・・・。じゃ、なくて。
「私、もう子供じゃありません」
ミシェルが突然キッパリといった。
「ま、まだ子供だろう?」
少なくとも大人ではない。まだ庇護が必要な年頃だ。
「私じゃ、だめですか・・・?」
切なげな潤んだ瞳が私を見あげる。
ヤバい。可愛すぎる。娘を嫁にやりたくない親父の気持ちが・・・わかってしまう。
「ボスのそばで・・・ボスのために・・・」
泣きながら言ってる言葉の半分もききとれない。
「お前はまだ子供だ。庇護が必要な年なんだ」
私は断言した。親ばかでいい。この子を守る。
読んでくださって、ありがとうございます。