表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/25

ボスの思い 3

「ミシェルは絶対にお前には、嫁にやらん!! カタギの男に嫁がせる!!!」

 気が付くと、私は興奮して立ち上がり、叫んでいた。

 やはり横でセルジオが笑い悶えている。


 こともあろうに、ミシェルがロレンツィオのパートナーになると言い出したらしいのだ。アンナに憧れているのはわかるが、だからといってなにもロレンツィオの嫁なんかになる必要があるだろうか?  いや、ない。


 ロレンツィオは苦笑いをしながら葉巻をくわえた。

「嫁というより、俺とタッグをくんで、ボス、あなたを護りたいそうですよ。いやはや。」


 なんという健気な・・・?

 こう、胸にじんとくる・・・? じゃなくて。

「まだ、あの子はそんなことをいっているのか。ロレンツィオ、お前がついていながら、なんだ。まっとうな子に育てるんじゃなかったのか?」


 ロレンツィオは首をすくめていった。

「あの子の父親役は無理です。はじめから私をボスを守る仲間とか先輩ぐらいにしかみていない。あるいはコロシを教えてくれる先生、とか? それだけ父親面するなら、あなたが育てればいい。もう、結構育っちゃってますけど?」


 ミシェルはいつのまにか14歳になっていた。お誕生日を祝ってやればよかった。

 忙しくて、忘れていた・・・じゃなくて。

 あの子には、そう、コロシの先生とかそんな物騒なものではなく、やっぱり愛情あふれる父親が必要なのだ。


「あ、でも。アキラが父親らしいことするとこも、みたことないですけどね? 射撃の手ほどきとかはやってましたよ。スプーンより先に水鉄砲もたせていたし。あと、トレーニングとかいって、マラソンさせたり、走っている車からパチンコでリンゴ落とさせたり。そうそう、車の運転もやらせてました」

 ロレンツィオはそういうと葉巻の煙を盛大に吐き出した。


 のおおおお!

 ミシェル。

 アキラにロレンツィオにアンナ。あの面子に育てられてまともに育つはずがなかった。せめて母親が生きていればよかったが、まだミシェルが幼いときに亡くなってしまっている。ミシェルの母親は美人だった。ミシェルも母親似の美人になるに違いない、って、そうじゃなくて。

「わかった。私が引き取る。私がミシェルを立派に成人させてみせる。そして、カタギの男のところに嫁にやるのだ。」


 セルジオが爆笑していた。

「ボス、無理です。ミシェルは誰にも嫁にやらないってごねるにきまっている」

 そういって、ぐひゃひゃひゃ! と、変な笑い声をあげていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ