休息
ミシェル、ミシェル。
病院では邪魔者リストに挙げられ、極力ミシェルから引き離されてしまった。だから、退院後はこうしてずっとそばにいる。ロレンツィオやセルジオはあきれて出て行った。
「ボス?」
ちょっと居心地悪そうにミシェルは私の膝の上にいる。
「もう、どこも痛くないか?」
ミシェルの細い体を抱きしめる。
入院中、ミシェルは随分痩せてしまった。
病院食は不味い。これは全国共通だ。病院に料理を持ち込んだら、またあの怖い看護師に怒られた。
「ちょっと! 勝手に料理持ち込まないでくる? 全くおいしそうだったらありゃしない。今度もってきたら、あたしが全部食べちゃうからね!!」
ぷりぷりとよく怒る看護師だ。
「大丈夫よ、ボス」
ミシェルは白い腕を私にまわす。
つい、力をいれて抱きしめ、ミシェルがけが人だったことを思い出してあわてて力を緩める。
痛くなかったかとミシェルをみると、少しはにかんだ様な表情になった。
ミシェルの可愛らしい鼻にキスすると、くすぐったそうに笑った。
ぴんく色の唇にキスすると目を閉じて甘えるように小さな口を開けた。
小さな口にゆっくりとキスする。
ミシェルの愛らしい口からはかすかに甘い声が漏れた。
しかし、ケガ人のミシェルにご無体な真似をするわけにもいかず、私はミシェルを大切に大切にベッドにしまった。
ミシェルのちょっと不満そうな顔がたまらなく可愛い。
食べてしまいたいくらい可愛いが、今は休養が必要だろう。
アキラが死んでからずっとずっと走り続けてきたミシェル。
安心して休むといい。
ミシェルはあどけない顔をしてすぐにすやすやと寝息をたてた。