わりと普通なクリスマス 1
(今回はロレンツィオの視点)
今日はミシェルが寮から帰ってきている。
久しぶりにミシェルと二人水入らずで、といきたいところだが、今晩はボスの所でクリスマスパーティーの予定だ。ミシェルを連れてこいとうるさい。はっきりいってミシェルのためだけにクリスマスパーティーを開くのだろう。
寮から帰ってきたミシェルは何やらアンナの部屋でごそごそしている。
アンナの持ち物は好きに使っていいといってあるので、今夜のパーティーのためのアクセサリーでも探しているのかと微笑ましい気持ちでいた。
「かわいい! これ!」
と喜んでいるので、どれどれ? と覗きに行くと。
アンナのお宝の中でもそれは、銃だった。
かわいい! と手にとっているのは、小型銃デリンジャー。手のひらサイズのそれは隠し持つのに丁度よく、護身用にも暗殺用にも使える。アンナお得意の超接近戦用? いや、密着戦用の銃だ。
いそいそと銃の手入れを始めようとする。全く、頭が痛い。
「ミシェル。そんなことよりも、パーティーの仕度をしなさい。銃より服を探しなさい」
そういうと、はーい、と意外にまともな返事が返ってきた。
しかし、まてよ。アンナの服は露出度の高いセクシーなものが多かった。ミシェルもだいぶ背がのびたが、それでもまだまだアンナよりは低い。それ以前にボディラインが全然違うような・・・。服でも買ってやるか・・・。
しばらくごそごそしていたと思うとアンナの部屋から出てきた。
「ロレンツィオ、どお?」
ミシェル。
かわいいよ。お前はいつでもかわいい。
お前がアンナに憧れているのは、十二分に承知している。
だが。
そのアンナの服はちょっと・・・。
「うーむ。胸の谷間というよりは、隙間?」
おっと、つい余計な事を・・・。
「そ、そうか。ここに銃を隠しもつこともできたか。スカートの下が定番だと思っていたけど。」
と、胸の隙間を見下ろしている。
いや。どう考えても無理だから。
読んでくださってありがとうございます。
ちょっとはやいけどクリスマスの話。