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27 テスト最終日、長い一日のはじまり


(*+ - +*) < 五万字来た!ちょっと長いです。




中間テスト最終日。


一日目は英語・数学・社会。二日目は理科・美術・保健体育。

そして今日――三日目は国語・技術家庭科・音楽。


テストが終わったらすぐにサミット会場に向かい、深夜まで各国の帰還者と話し合う。



――こんなにも忙しい一日が今までにあっただろうか。



「ハルト様、忘れ物はないですか?筆記用具と提出物、スマホと...グラムさんも、ちゃんとありますよね。」


「ああ、大丈夫だ。ルナはちゃんと留守番してるんだぞ。」


「ハルト様も、サミット頑張ってください!...生きて帰ってくるんですよ。」


「任せろ。じゃあ、いってくる。」


「いってらっしゃいです!」



ルナの見送りを受けてから、通学路を歩き出す。

すぐそこの信号では、黒崎と凛が待っていた。きっとここから、長い一日が始まる。



「おはよう、二人とも。」


「今日で最終日ね...テストの手応えはどうなの?」


「...まあ、それなりには。」


「陽斗、俺の教えが無駄にならないことを祈ってるよ...。」



朝からこうして楽しく話すことが、俺には許されない――でも。



(この幸せが世界を壊すなら...壊れる前に叩き直すだけだ。)



ポケットの中のグラムを、無意識に握りしめる。行き交う人の中には、既に怪しい視線を俺に向ける観光客集団がいた。おそらく、サミット前の下見といったところだろう。ジョージへの伝言が伝わっているのかは分からないが、こちらを攻撃してくる様子はない。


交差点を右に曲がった時、微かだが薄い魔力の層が身体を掠めた。

違和感を感じて道の先に目を向け、異様に人がいないことに気づく。



「...いつもなら、この時間は同じ学校の生徒で溢れているはずなんだけどな。」


「なんか、みんなここを避けて通ってない?ほら。」



凛の指す方向――後ろを振り返ると、()()()()()()()()()()()()数々の生徒がいた。



「認識障害の結界......一般人は無意識に、この道を避けてしまうんだろうな。」


「黒崎も感じるか、この()。」


「...この先に誰かがいるのも、なんとなく分かる。どうする、遠回りしていくか?」



黒崎の言う通り、閑散とした路地の先には並大抵ではない魔力の気配があった。



「...凛と黒崎はそっちから行ってくれ。」


「分かった。けど、やりすぎないこと。それと、テストまでには間に合ってよね。」


「当たり前だ。...少し話すだけだよ。」



凛に別れを告げ、人のいない道を進む。

緩やかなカーブの先、茶髪の男。腰にはジョージと同じ、あのデバイスがあった。



「天宮陽斗だな。」


「...先に名乗れよ。」


「あいにく、僕は"下っ端"なんでね。名乗るような地位もないのさ。」



外国人とは思えない流暢な日本語。立ちふるまいといい、日本に慣れているように見える。



「なんでもいいさ。――で、何の用だよ。伝言は伝わっていないのか?」


「伝言?残念ながら聞いていないね。まあまあ、そう怒るなよ。」


「なら、さっさとどいてくれよ。あんな結界を張る必要のないだろ。」


「じゃあ、本題に入ろう。君にはテストを欠席してもらう。」


「――は?」



なにを言っているんだ、この男は。



「...争いたいのか?」


「おとなしく来てくれたらいいのさ。うちのボスがあんたと面会したいそうだ。」


「嫌だね。俺はテストで忙しいんだ。」



無理やり男の横を通り抜けようと試みたそのとき。



「――邪魔。」



刹那、眩しい光が男を包み、俺は思わず目を瞑る。目を開いたときには、先程の男はもういなかった。声の方を見ると、マンションの空きベランダに座るリリスがいつのまにか上から見下ろしていた。



「ほら、行きなよ。」


「...リリス、感謝する。」


「感謝ならパフェでいいよ。」



腕につけた時計を見る。一時間目開始まではあと十分。

人気のない通学路をダッシュで駆け抜ける。このペースでいけば間に合うだろう――そう安心したそのとき、校門の前に黒い車が止まっているのに気づいた。警察か連中か――とっさの判断で『潜伏スキル』を使い、生徒の流れに紛れ込む。そのまま教室にたどり着き、席につく。スキルを解除した時に近くの生徒が驚いていたが、寝不足だと思ってくれるよう願っておいた。




――一時間目。



静寂とともにシャーペンの音が響く。

テストは陽斗にとって凛からの課題であり、クラスメイトとの競争でもあった。



――二時間目。



陽斗の手は止まらなかった。

長時間の勉強と暗記の成果が実りそうだ。



――三時間目。



テスト開始から五分ほど経った頃、住宅街の方向で魔力の波形が変化する。



(...エルシィが俺のために動いてくれてるんだ。なおさらテストに集中しないとだな。)



テストは順調に進んでいた。

このままいけば、なんとか安全にテストを終えることができるだろう。


しかし、次の問題に意識を移した時――大きな爆発音が学校一体を揺らした。



――ドォォォン!



隣のクラスのざわめきがこちらまで聞こえてくる。混乱に陥る教室で、色々な声が飛び交う。



(距離的に...警察と海外の連中がこのあたりでやり合ってるのか?)



「え、これ避難したほうがいいんじゃ...。」


「テストとかやってる場合じゃなくね?」


「いまの音って爆発!?」



『――現在事実を確認中です。みなさんはテストに取り組んでください。繰り返します。現在...』



放送の音はざわめきにかき消され、一部には帰ろうとする生徒も現れる。そんなとき、放送から聞き覚えのある声が響いた。



『生徒のみなさん、警察の者です。混乱しているとは思いますが、先程の爆発は遠方で起きたものであり、無闇に動くほうが危険です。そのままテストに取り組んでください。警察による事実確認からこの学校の安全は確認されています。―――』



警察――氷室の放送がかかったことで生徒の複数が困惑しながらもなんとかテストに向き合い直す。その様子を見た他の生徒が、だんだんと席につき直す。しばらくはシャーペンの音が聞こえなかったが、教室には静けさが戻ってきた。



テスト最終日。


陽斗とグラムを巡る問題は、学校周辺まで手を伸ばしつつあった。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

次回、テスト最終日のパート2です。


(*+ - +*) < 次の更新は、未定です。

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