16.5 十年の残響
(*+ - +*) < 読者の皆さんが気になっているであろう、異世界での十年間。
正直ボリュームが足りないかも...十年分って難しい。(あけおめです!)
――俺はゆっくりと異世界での十年間を語り始めた。
十五歳の陽斗が召喚されたのは、空の色が赤い、殺伐とした異世界だった。
最初の数カ月、俺は途方に暮れていた。
下校途中にいきなり知らない世界に連れて来られたうえに、最強の魔王を倒せといわれて絶望だった。しかも、異世界の住民が「魔王討伐なんていくもんですか、あそこにいくのは生贄になるのと同じです」と世間話をしているのを聞いてしまった。
...もう帰れないのか、もう日本の米は食えないのかと、なにもかも気力を失くしたとき......なんだ、たしか誰かに励まされた気がするんだけど...まあいいか。
やる気を取り戻した俺は、三年間、魔法学校に通いながら基礎の下級魔法を学んだ。
次第に力がついた頃から、スライム討伐で稼いだお金で装備を買った。
そんなある日。森の中でスライムを狩っていたら、ボス級の魔物に遭遇してしまったんだ。
はじめこそ抵抗したけど、全然効かなくて、一気に追い詰められた。
――「死にたくない」、その一心で、投げやりに剣を振った。
そのとき、俺は死に際に中級魔法『反発』に目覚めた。
ギルドでゲットした素材を売って、結構な金額をもらったし、受付職員も驚いてたな。
そこからが最強勇者の始まりだった。二年間にわたる長い修業をした。
そのとき、仲間も二人いたよ。
噂が広がるのは早くて、すぐに国に戦力として育成された。何千、何万の戦いをこなすうちに、ランクは一気に跳ね上がって、コロシアムでも毎回優勝するようになった。
だけど、そんな俺の実力すらも超える、最強の魔王の影が国民に迫っていた。
触れるとスライムになってしまう呪いが世界にかけられて、魔王の討伐が早急に必要になった。
そこからはかなり長かったよ。
街から魔王城まで、仲間と協力しながら進んだけど、四年かかってもたどり着かなかった。
魔王なんていないんじゃないか、って、疑った日もたくさんあったよ。
けど、旅の五年目。やっと見つけたんだ。
薄暗い雰囲気の魔王城に。
魔王がいる玉座にたどり着くまでも、二、三日、かかった。
途中、魔王幹部との戦いで仲間の一人が死んだ。
涙を流しながらも魔王と戦った。
結論からいうと、もう一人仲間も死んだし、正直ギリギリの戦いだった。
それで、最後に残った仲間を残して、俺は日本に帰ってきたんだ。
記憶がところどころ抜けてる気がするけど......まあ、大まかにはこんな感じ.........なにか重要なことを忘れてる気がするけど――気のせいか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
次回、凛のとある提案が物語を加速させる。
(*+ - +*) < 次の更新は、明日の朝の予定です。




