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ウカミタマ ~地球奪還軍第00小隊~  作者: ろくよん
リオ・アヴェンジャー
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洞窟の侵食樹破壊作戦 ③

 巨大な侵食樹が徐々に消えていく。洞窟の中は第00小隊だけが残った。

 大型グラトニー、オオヨロイムカデとの激戦に加えて大量のグラトニーとの戦闘。

 それを乗り越えて見事、侵食樹を壊すことができた。

 第00小隊に死者もいない。

 任務は無事達成できたのである。


「全員無事か」

「命が無事ってのなら間違いねえ。オレも他の奴も皆息してるぜ」

「怪我なら姫路が治してくれるから、まあ病室のベッドでおねんねになる人はいないわね」

「指揮官さま、大丈夫ですか⁉」

「大丈夫。ほら、怪我はもう治っている。姫路さんが治してくれたから」

「はい、問題ありません」


 戦いが終わった瞬間に、エリナは怪我をしているトラノスケをキセキの『無傷の祈り(メメントララバイ)』で治療したのだ。

 エリナのキセキの効果はすさまじいもので、普通なら病院で何か月か寝たきりになってもおかしくない怪我をしていたトラノスケだが、すでに回復している。

 身体を軽く動かして痛みを感じない。骨折した部分もつながっていると本能で理解できた。

 ちなみにトラノスケを治療中のエリナはずっと目を閉じていたのはここだけの話だ。


「姫路さん、ありがとうございます」

「い、いえ……また指揮官さんに迷惑をかけてしまいましたし……」

「まあそれはともかく。皆、無事でよかった。侵食樹も壊せた。任務も無事達成できたし、文句無しだな」

「それもそうね」

「ですね!」

「しかし、グラトニーってこんなにたくさん種類いるのか。一通りはグラトニー図鑑を読んで調べてみたが、こりゃ帰ったらもう一回読み直しておくか」

「指揮官」


 あの巨大グラトニーを倒して侵食樹を壊したことに喜びを分かち合っていると、真剣な眼差しでリオがトラノスケに声をかけた。


「なんでしょうか」

「あなたは小隊のリーダー。部下が傷ついたぐらいで焦らない」

「そ、それは冷たくないか?」

「指揮官なら、常に隊員に指示を出し、サポートに徹底しろ。その方が隊員も生き残れる。傷ついても死ななければ治療はできる。ウカミタマの身体能力なら」

「まあ、確かに君に負担をかけさせてしまったけどさ。すまない、実力不足だ」

「反省しているならそれでいい」


 一息、


「だから私一人でいいといった。私がグラトニーを全滅させるのが一番安全かつ手っ取り早い」


 そう断言した。


「で、でも……君一人に任せるのは! グラトニーは凶悪だろ! 俺や他の隊員と共に戦えば――」

「あなたが戦いに入ったところで邪魔。指揮官は指揮官らしく後ろにいろ。これからはサポートだけしていればいい。常に索敵してグラトニーの数と位置を知らせる。そのサポートだけを」

「俺はアンタが心配なんだよ!」

「心配なんて必要ない」


 冷たく、そう言い切って彼女はこれ以上口を開くことはなかった。トラノスケから離れて行動はしないものの、間にある距離感が凄まじく遠く感じてしまう。近くにいるのに手を伸ばしたところで到底届かないほどの距離を。


「あんな冷たく言わなくてもいいのにね。まっ、白神の言いたいこともわからなくはないけど。でも指揮官君は新人なのに」

「指揮官さま、悪いのはアタシたちが上手く動けないからですよ! もっと頑張ります!」

「おいおい、白神の言うことは正しいだろ。トーシローが無謀に突撃すんなってことだ。身の程あった仕事しろってわけだな」

「でも、戦闘もサポートも必死に頑張っていましたよ。私も彼に助けてもらって……」

「戦闘に入ってもねえ。オレ一人で何とかなるしよ」


 他の隊員たちもリオとトラノスケに対して、色々話し合っている。


「まあ、あなた達も指揮官に迷惑をかけないことね」

「テメーに言われたくねえよ、ワガママ隊長」

「私は一人でも奴らを倒せる」

「それならオレも一緒なんだよ! テメーよりオレの方がつえーしよ!」

「白神、あなた色々と好き勝手言いやがるわね」

「さ、三人とも! 喧嘩はいけません! メッ‼」

「指揮官さま! 不甲斐ない姿を見せて申し訳ありませんでした! 指揮官さまのドローンさばきがなければ、アタシは……アタシは……」


 さらに言い争いが激しくなる。

 混沌とかしてきた。

 さすがに見てられないか、エリナが止めに入る。


「あー、ストップ! こんな場所で喧嘩してたら危ないですよ。皆さん、いったんホバータンクに戻って基地に帰りましょう。任務は達成しても帰るまでが任務ですから」

「……それもそうね」

「オレはまだ暴れたりねーがな」

「任務達成したのに、帰る途中でグラトニーに襲われてやられました、なんて嫌でしょう」


 侵食樹の破壊は達成された。

 他のグラトニーと遭遇する前に基地に戻るべきである。そう考えた第00小隊はこの洞窟をあとにした。


(……俺は、未熟ってわけか。新人だなんて言い訳できないな)


 もっと冷静に指示を出せばもっと楽に任務を遂行できたのだろうか。

 リオに言われた指摘が頭にこべりついた。

 最近仕事が忙しいため、投稿時間が未定になります。


 感想、評価、質問、どうかよろしくお願いします。

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