小説を書くのが、どんなに大変で楽しい作業か語ってやる!
『小説を書くのは楽しい。そして、とても辛い』
もし、ある小説家が云ったとしたら…。
『じゃあ何で書くんだよ?』
そうなる。
難しい質問だ。
でも、答えはシンプルだ。
『書かずにはいられないからさ』
『……!?……』
(何を言ってる?)
と、思う人はいるだろう。
でも、中には。
(作品が出来上がった時に、感動を味わうためのスパイスだ)
と、捉えている人もいると思う。
楽しさが上回ってないと、続けられないだろう。
序
小説を書く事は、エッセイやブログを書くより遥かに大変だ。
どのくらい大変か?
分かる人はいるだろうか?
以前、他のツイートで述べたが…。
ブログ・エッセイ(随筆)・短編小説は【短距離走】
長編小説は【長距離走】それもフルマラソンに近い。
1冊書き上げるのは、42.195キロを走破するに等しい。
しかし、作家の中には、3日で1冊書き上げる超人もいる。
名前を出すなら※栗本薫(故人)がそれに当たる(※代表作【グイン・サーガ】【魔界水滸伝】など…)
出版業界からは【物語製造機】と呼ばれていたらしい。
プロットは全く建てず、見せ場のみを設定して、流れに任せて書き上げる。
IQ154の天才だから成せる技。
葬式の時、作家・田中芳樹が出版業界を代表して立ち合った。
もしかしたら、栗本薫は田中芳樹の代表作〘銀河英雄伝説〙の主人公・ラインハルトのモチーフになっているのかもしれない。
『私の真似は誰にもできない、返って有害になる』
常に勝ち続ける軍事の天才【ラインハルト】
宿敵で、もう1人の主人公【ヤン・ウェンリー】との闘いを前に、言い放った言葉だ。
つまり再現性が無い。
真似できない。
学べない。
ラインハルトはその後、ヤンに学べと云う。
愚将に成らずに済むと。
作中、ヤン・ウェンリーの軍事講義が描かれるが、ラインハルトの軍事講義は無い。
では、ヤン・ウェンリーの軍事講義の中身は…。
『勝つためには、負けない方法を考えよ』
〘孫子の兵法〙であった。
不敗の名将ヤン・ウェンリーは、勝ち拘らなかった。
持ち得る戦力で、出来得る限りの事をやった。
〘ベストを目指してベターを選ぶ〙
小説なら充分に準備をして、描ける作品を描く。
やや言い換えるなら…。
〘ベストよりベターを選び、そこでベストを尽くす〙
とでも言える。
では、その充分な準備について述べよう。
2
小説を書くうえで必要なモノは、大まかに分けると3つになる。
〘世界観〙〘ストーリー〙〘キャラクター〙
この中で最も作家の労力を割くのが、キャラクターである。
何故なら基本〘世界観〙は1種類〘ストーリー〙も1種類。
では、キャラクターは?
登場する数だけ創らないとイケない。
さらに親や兄弟姉妹がいたら、その分も創る必要が出て来る。
その為、作業を省くためか?
※孤児や片親、一人っ子の設定の作品がとても多い(※ちなみに、私がその事実を知ったのは作家・田中芳樹の反論だった。読者から自分の作品に、欠損家族が多いと云う指摘を受けて、否定していた)
また、現代物を描く時などで、登場人物を地方から来た設定にした場合。
その地方の方言を調べる必要が出て来る。
軽い気持ちで…。
(色んな所から来た方が面白い♪)
と、思って創り始めたら、作業量は恐ろしい事になる。
私は、まだ短編小説を一本書いただけだが、キャラクター作りが1番苦労した。
リアルにイメージするには、細かい設定が不可欠だ。
でないとキャラクターがブレてしまう。
何とか書き上げたが、息切れ寸前だった。
まさに、ちょっと長めの短距離走を、走り切った気分だった。
3
長編小説なら、主要な登場人物は※10人以上、創る必要がある(※短編なら3人以上)
また、ストーリー上の波乱な展開は※4回以上は必要だ(※短編なら1回以上)
エッセイは想った事が纏まれば、ほぼ完成する。
小説は書くまでの準備が本当に大変だ。
書いた者にしか分からない。
だから一部訂正する。
短編小説はギリギリ短距離走。
持続する苦労を楽しめる者だけが、小説家に成れるのかもしれない。
解りにくいかもしれないが…。
孫子の兵法〘第三章〜謀攻篇〜〙
彼を知り、己を知れば、百戦危うからず。
彼を知らず、己を知る者は、1勝1敗す。
彼を知らず、己も知らざる者は、戦う事に必ず敗れる。
これを創作に当てはめると…。
読者を知り、己の描ける範囲を知る者は、良い作品を描き続ける事が可能だ。
読者を知らず、己の描ける範囲を知る者は、そこそこ良い作品が描けるだろう。
読者を知らず、己の描ける範囲も分からない者は、駄作を生み出し続けるだろう。
これぞ温故知新(古きを訪ね、新しきを知る)




