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番外編 写真の行方

主人公視点から切り替わります

「ふふっ、悠真くん。やっとテオイスできるってすんごいテンション上がってる。あ、そうだ。テオイスの先輩としていろいろ一緒にやろうって言ったら接点持てるんじゃ…。ゆ、ゆ、悠真く「なあ悠真、せっかく…」


「あ…」


 悠真くんの友達が先に話しかけに行っちゃった。じ、じゃあ話終わるのを待とうかな。


「またな」


「おーう」


 行っちゃった…。ど、どうしよう。せっかく高校三年間同じクラスなれてるのに全然喋れてないよ…


 机に座って頭を抱えていると、前から話かけられた。


「梨々花さん。今日の当番の仕事が多くて、少し手伝ってもらえないかしら?」


 目を隠す程に伸びている前髪で目に重みを感じつつ顔を上げ、メガネをつけて話しかけてきた人が誰か確認する。まあ、声でなんとなく分かってはいるけれど。


「は、はい。いいですよ委員長さん」


「もう、なんで「委員長さん」なんて呼び方するんですか。その通りですけど。クラスメイトなんですから呼び捨てでもいいんですよ?」


亜希(あき)、ちゃん…」


 言葉の最後が空気に紛れてしまいそうな程に小さくなってしまった。


「まあ、及第点としましょうか」


「し、仕事を、終わらせましょう」


「はい、そうですね」


 やっぱり亜希さんは眩しいな。陰気な私にはこの光は少し強い。でも、暖かい。しかも可愛いし…。私が亜希さんみたいに可愛かったら悠真くんに話しかける勇気が出たりするのかな。


◇◇◇◇◇


 当番の仕事の手伝いが終わった帰り道。もうすぐで春になるが、日が沈んでくるとまだ、少し肌寒い。


 私は、手伝ったお礼に亜希さんが奢ってくれた肉まんを頬張りながら亜希さんと一緒に歩いている。


「やっぱり、梨々花さんもこっちの道だったのね。前に帰り道で梨々花さんらしき人を見かけたことがあって、もしかしたらと思ってたのよね」


 ひゃっ、認知されてた。


「あ、ありがとうございます…?」


「何に対しての感謝よ。ふふっ、梨々花さん、なかなか面白いわね」


「そ、そうかな」


 なぜだか、今日の帰り道はいつもより時間が遅いのに、明るく感じた。


◇◇◇◇◇


「ちょっと帰るのが遅れちゃったけど、たぶん今テオイスにログインしたらまだいるよね」


 家に着いた私は、さっそくログインをした。


◇◇◇◇◇


《迷宮街イオの宿屋にスポーンしました》


「よし、教会のテレポート装置を使って最初の街へ急ごう」


 教会に入り、司祭にテレポートの使用を申請する。


「最初の街エルタへのテレポートですね。では、御布施をお願いします」


「はい」


 手持ちのグランから、10万を取り出し渡す。


「確かに受け取りました。神の御加護があらんことを」


 御布施というなの金の徴収を終え、テレポート装置に触れてエルタの教会に瞬間転移した。


「いくらなんでも、10万グランはさすがに高いよ…」


 ここ数日の稼ぎが全て消えてしまったけれど、これも悠真くんとの接点を持つため、と自分に言い聞かせた。


 たぶんレベル上げでもしているのだろうと思い歩いていると、後ろから肩を叩かれた。


「ねえ白髪(はくはつ)のお姉さん。俺たちと一緒に遊ばない?」


 うわ、苦手なタイプに話しかけられたちゃった。


 取り巻きみたいな残りの二人の会話から「リアルでも遊ぼうよ」とか聞こえたけれど、聞こえなかったことにした。


「いいえ、結構です!」


 そう大きめの声で言い、私はまた歩きだした。


 ナンパみたいなことをしてきた人たちが、周りの人からクスクス笑われてる声が聴こえた。


 この場の空気に耐えきれなくなった三人組は、走ってどこかに去っていった。


 私は、先程の場所から少し離れたタイミングで、大きく息を吐く。そして、曇りが晴れたような顔で前を向く。


「うん。この世界だとやっぱり人と話す勇気が湧く。テオイス内で頑張って人と話すことに慣れて、悠真くんにいつか…」


◇◇◇◇◇


「真ん中辺りまで歩いてきたけど、悠真くんらしきプレイヤーはいないなぁ」


 盗み聞…聞いた話によると、悠真くんはリアルとあまりキャラクターの見た目を変えないらしいから、すぐ見つかると思ったんだけど。


 周囲をキョロキョロと見回していると、謎の人だかりを発見した。近づいて自分もその人だかりの中に入ると、視線の先にはうさぎの耳をつけた中性的な見た目の人がいた。喉仏が見えるから、きっと男の人だろう。


 既視感を覚えたため、じっくり見るとそれは悠真くんだった。


 悠真くんと分かったあとの私の手の動く速度は光を超えていたかもしれない。


 カメラ機能を起動し、シャッターボタンを押した。周りの人に気づかれないようにすぐに閉じた。すると、シャッターの音に気づいたのか、悠真くんはこっちを向いた。


 一瞬バレたかと思ったが、隣の人が堂々と撮影をした。


「ちょっ、それカメラ機能使ってるだろ!撮るなぁ!!」


 カメラだと分かった悠真くんがこっちに走ってくる。私の隣にいた人は、逃げるようにログアウトした。


 剣を向けられて質問をされたけれど、撮ってないと首を横に振った。


 この後、悠真くんは発狂してログアウトした。


 ごめんなさい悠真くん。この写真は額縁に入れて飾らせていただきます。

 いやー、世界って狭いですね。盗撮の犯人がクラスメイトだなんて。ちなみにぶっちゃけると、テオイスのヒロインを紹介するための話ですねハイ。

 一日に二話投稿した理由に関しては、明日投稿しようかなとか思ってたら間違えて今日投稿しちゃいました。って感じです。(・ω<) テヘペロ

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