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金策ウサギと黒歴史

2日に1度投稿すると言ったな、あれは嘘だ!思っくそ不定期です。すんません…

 ステータスポイントを振り終えた訳だが、レベルを10まで上げるのに予想よりも時間がかかった。ホーンラビット以外にもゴブリンやラッシュボアを倒したが、それらのレベルは低く効率はあまり良くなかった。


 ふと、現実の時間が気になったので、現実の時間が表示されるボードを開く。


「だいぶ遊んだと思ったのに、まだ18時にもなってないのか」


 始めてから2時間ぐらいしか経ってないのに、こんなに楽しめるなんて。さすが進む時間が現実の3倍って言うだけあるな。


 ………あれ?てことは、もう6時間以上も時間が経ってるのか!?全くそんなに時間が経った感覚なんてなかった。これは、どっぷりハマったら時間の感覚が狂いそうだ。だが、これなら学校が再開しても長い時間できるな。


 軽く心の中でガッツポーズをしていると、突然画面の左上にトイレのマークが表示された。


「……ん?この表示ってたしか」


 見覚えがある。それも、現実に関係のある……


「『尿意が近くなっています』ってやつじゃねぇか!」


 漏らしたらさすがに恥ずかしいので、急いでログアウトした。


◇◇◇◇◇


「ふぅ…危なかったー」


 危うくホクホクした気分でログアウトしたかと思ったら、シーツをびっしょりと濡らしていてヒエヒエになるところだった。この歳になって、おねしょとか勘弁だ。


 トイレを済ませるついでに夕食を取り、まだ時間があるのでログインしなおすことにした。


◇◇◇◇◇


 入りなおすと、スポーンした場所は最初にスポーンした噴水のある広場だった。予想していたとおり、スポーン地点を更新しないと前回スポーンをした場所にスポーンするみたいだ。スポーン地点を設定できるアイテムとかもあるらしいが、絶対高い。貧乏な今は関係ないことだから忘れよう。


 そんなものよりも、ユニークとかのレア度がついた強い武器欲しいよなー。防具でもいいけど。探せば手に入るものなのか?調べた情報によるとユニークボスなんてものがいるらしいんだよな。そいつを倒したときにレア度ユニークの装備を貰えるらしいが、ほぼ遭遇できないらしいんだよな。そもそも、遭遇できても倒せないとか。あー、HP10でVIT10の初期ステクソ雑魚ユニークボスに遭遇できたりしないかなー。


 こんなことを考えながら先ほど狩りをしていたフィールドを散策していると、全身が金色に輝くホーンラビットを見つけた。


「なんだあれ?」


 6時間も狩りをしていたが、こいつを見るのは初めてだ。


 モンスターの頭上にあるネームタグを見ると、ゴルディラビットと表示されていた。あからさまにレアモンスターである雰囲気を醸し出している。


 名前からして恐らく、財布が豊かになるタイプのモンスターだろうな。気合い入れるか。


 こういうのは敵に気づくと逃げるタイプが多いためタイミングを伺っていると、後方からこちら側へ向かってくるような足音が聴こえだした。


「げっ!?」


 振り向くと、数人が血走った目でこちら走ってきていた。いくら広いフィールドでも、金ピカのモンスターがこんな緑だらけの平原にいて目立たないわけがなかった。


 レアモンスターを横取りされたらさすがに悲しいので、急いでゴルディラビットとの距離を詰める。平原の無料サラダバイキングを味わっていたゴルディラビットは驚いて動きが鈍り、攻撃を簡単に当てられた。


 だが、感触がホーンラビットのときと全く違った。


「い、1ダメージしか入ってない!?」


 防御力に特化しているから、今の攻撃力では攻撃が通らない

のか?どうしたものか………そういえば、別のゲームでこういう系のモンスターはクリティカルでしかダメージが通らないとかあったな。だが、そもそも弱点なさそうだし…


「……なら、ここはあのスキルの出番だな」


 攻撃され逃げるゴルディラビットに高いAGIを生かして攻撃できる距離まで近づく。


 レベルを上げていたときに覚えたスキルを使用する。


 ゴルディラビットを貫けるように狩りをしていたときにもした刺突をする構えをとり、もう一度攻撃を当てる。


「はぁっ!」


 すると、今度は剣が刺さり、クリティカルが発生して一撃で倒すことが出来た。


「この『穿ち抜き』の説明欄にあった、通常より倍率の高いクリティカルが確定で発生するって本当だったんだな」


 穿ち抜きは、高倍率のクリティカルを確定で出せる突き技だ。初期に手に入るスキルにしては強いが、リキャストが遅いのが難点だな。


 ゴルディラビットを倒すと、周りからはため息が聴こえた。ついでに、頬の近くを一本の矢が通っていった。誰だよ矢を撃ってきた野蛮なヤツは。


 ここでイラついてもしょうがないので、落ち着いてドロップ品を確認する。


《ドロップ品》

・金色兎の角

金色(こんじき)の皮

・なりきりウサギセット(白)


 一つ目と二つ目は明らかに換金アイテムっぽいが、『なりきりウサギセット(白)』ってなんだ?装備のようだが、倒したウサギの色的に金だろ。


 疑問がいくつも浮かんだが、装備の詳細を見てみると等級:レアと装備名の上に表示されていた。ついでに、『ウサギ系のモンスターに攻撃するまで敵対されない』とも表示されていたため、ウッキウキで装備してキャラクターの見た目表示ウィンドウを開いた。


 そして、俺は後悔する。レアモンスターのレアドロップということに浮かれていて、複数の人に見られているという状況を完全に忘れていたことを。


「おお、うさ耳としっぽが生えてる。カチューシャみたいに取り付けてるわけじゃなくて、ちゃんと生えてるな。装備とはいえ、生えるのはレアだからなのか?」


 考えを巡らせていると、不意に後ろからカシャッという音がした。モンスターか?と思い後ろを向くとモンスターはおらず、プレイヤーしかいなかった。頭に疑問符を浮かべているとプレイヤーからまた同じ音がした。嫌な予感のした俺は、頭をフル回転させ、あることを思い出す。


「ちょっ、それカメラ機能使ってるだろ!撮るなぁ!!」


 カメラ機能。自分が使うと思っていなくすぐに思い出せなかったが、まさか自分が使われる側になるとは。


 すぐにプレイヤーの接近して写真を消去させようとしたら、そいつはログアウトしやがった。


「お、お前らは写真撮ってないよな!?」


 赤面しつつ、剣の切っ先を向け問いただす。


 プレイヤーたちは、全力で首を横に振った。中には「聞こえたシャッター音は二回ともログアウトしたやつからだった」と教えてくれたやつもいた。


「う、うわあぁぁぁぁ!!」


 俺は、悲鳴を上げながら『なりきりウサギセット』を装備から外し、すぐさまログアウトした。


◇◇◇◇◇


 ヘッドギアをそっと外し、天井を見つめる。


「ははっ…ゲーム開始初日にとんでもない黒歴史作っちまった……。あれ、なんか目から汗が……」


 まだ時間はあったが、メンタルのHPが全損してしまったため、今日は風呂に入りすぐ寝た。


 その夜。悠真(ゆうま)の予想していた通り、謎のうさ耳の男の娘はネットで騒がれることとなった。


◇◇◇◇◇


テオス・イストワールのとあるネット掲示板

────────────────────


1.名無しの開拓者01:めっかわなうさ耳をつけた男の娘を激写


(ベイルの写真を添付)


2.名無しの開拓者02:えっ、かわ…


3.名無しの開拓者03:これ本当に生えてるのか?


4.名無しの開拓者04:キャラクリめっちゃ自由だからこのぐらい可愛い男の娘には俺でもなれる


5.名無しの開拓者05:<<4 嫉妬乙


6.名無しの開拓者06:<<4 おじさんさぁ…


7.名無しの開拓者07:こんなNPCいたっけ?


8.名無しの開拓者08:結構やってるけど見覚えないな


9.名無しの開拓者09:これ撮影場所最初の街のエルタじゃね?


10.名無しの開拓者10:なんかプレイヤーっぽいな


11.名無しの開拓者11:これ盗撮なんじゃ…


12.名無しの開拓者02:<<10 このゲーム盗撮なんてよくあることだからセウトだよセウト

《ちょこっと説明タイム》

・穿ち抜き:効果としては、ダメージ倍率が5倍のクリティカルを確定で出せるスキル(技?)


《作者コメント》

・シャッターのした音は二回なのに、掲示板に貼られていた写真は一枚、さてもう一枚はどこにいったのでしょうか。

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