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7 今後について

セリーヌと諸般の事情により、同棲する事になりました。

 「オララ・・・ 君に酷いことをしたんだね。酒の上でのこととはいえ、男としてあるまじき、恥ずべきことをしてしまったんだ。ごめん。謝って済むことじゃないけど、ごめんなさい。心から謝罪します」

 「もういいは。それよりハジメ、私のことはどうしたいの?」


 「と言いますと?」

 「これからの2人の関係よ」


 「えええええ~~~ さっき『情にほだされた』って言ったじゃない」


 「貴方を責めている訳じゃないの。でも、私の気持ちも考えてみてね。突然、あんなことされたら、誰だってビックリするじゃない? 今は気持ちの整理がついたから良いけど」

 「分かった、俺も男だ。責任をとる!」


 「どういうこと?」

 「セリーヌ。俺と結婚してくれ。君のことはホテルで初めて会った時から、好きになってしまったんだ。この気持ちは本当だ。だから、無理強いしたと思わないでくれ。俺の思いの現われなんだ」


 「そんな大切なこと突然言われても・・・」

 「このシチュエーションで、こんなことを君に言うなんて馬鹿だよね。でも、俺の気持ちは本当なんだ。君を一目見た時から、俺は恋に落ちてしまったんだ。セリーヌ、愛してる。結婚してくれ」

 おれは頭を下げた。パンツ一丁しか穿いていないが、ベッドの中にいるセリーヌに土下座して、懇願した。


 彼女は困惑しているように見えた。それはそうだろう。いきなり結婚の申し込みだ。それも愛し合ったとはいえ、彼女の意向を無視して事に及び、それを告白された後での発言。信用しない否、できないのも無理はない。


 しばらくして頭を上げると、彼女怒っていなかった。満面の笑みではないが、何となく俺を許してくれているようだ。


 「怒ってないわ、ハジメ。私も貴方を受け入れたのだから、大丈夫。でもね、いきなり結婚と言われて・・・ でもうれしい。良いのよ。それより、私はカトリックでしょ、教義で結婚はできても、離婚はできないの。ハジメはカトリック?」

 「いや、俺は仏教徒だよ」


 「良かった。異教徒との結婚なら、離婚も認められるわ。でも、今のフランスでは同棲が公認されているから、同棲から始めましょう」


 正直ホッとした。彼女が俺を受け入れてくれたこと、俺の愛も受け入れてくれたこと、俺にとって精神のぐちゃぐちゃがスッキリした。


 流れのまま、俺はセリーヌと同棲を始めた。勿論、会社には買い付けの経過報告と滞在延長要請の連絡を入れた、彼女との同棲は伏せてね。もっぱら、JC社の商品決定の遅れを理由にしたものだったけど。

 会社からは滞在延長が一週間認められた。帰りの航空券がフィックスでなくオープンで良かった。その代わりと言っては何だが、契約成立を厳命された。おれのサラリーマン人生の最初の関門は、JC社のビール販売権の国内独占契約となった。


 彼女はというと、JC社に俺との同棲生活を伝えた。会社の厚生福利関係で提出する書類があり、上司に決裁をもらう必要があるんだと。

 それから、彼女は家族に連絡を入れ、俺との同棲を伝えた。実家はフランス南部のラングドッグという地方に住んでいるので、中々両親に会えないことを俺に話してくれた。


 契約については、彼女が副社長のアレクに俺との関係を話しながら、商圏リサーチや弊社の財務基盤などを多少は盛ったと思うが、好意的に説明してくれたので好印象を持たれた。信用調査がOKならば、国内独占販売契約が決まるので、彼女の協力は大きな力添えになった。


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