表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雪の雫石  作者: 六華優羽
純白の光
5/46

5話 車内のひと時

「……………はぁ…。」


翌日、午前7時現在。


吐き出した吐息…というか溜息は周囲の冷気によってはっきりと白く可視化され…空気に溶けていく。


サウスハートであればこの時期ならここまではっきりと白くはならないんだろうな…と、ノースダイヤ国、スノープレシャス領…シークタウンの駅のホームで少しだけぼんやりと考え…、思考を元の路線、ヴァイス学院の入学のお誘いについてへと戻す。


既にアーカム博士には昨晩ナイブス博士の話した大筋は報告済み。自分は断るつもりであることも、それでも今日の儀式が終わるまでは考えることになったことも。


「本当にすみません、博士…。」


「昨日も言ったが儂は全く気にしとらんよ。寧ろ謝らんといかんのは儂の方じゃ。…君が断るであろうことも、思い悩むことも分かって連れてきたんじゃから。」


「……………。」


「そんな儂が言うのもなんじゃが、君が本当にしたいことを選択してほしい。難しく考えることなど全然ないんじゃ。」


「その様子じゃと昨日寝ておらんじゃろう?」…確信を持った言葉が挟まれ言葉は続く。


「今日は依り代の儀式もあってスノープレシャスは祭りを開いておるはずじゃし、気分転換に回ってみるのはどうじゃ?」


「それとも君のことじゃ。依り代の儀式を見ること自体が気分転換になるかのう」と軽笑するアーカム博士。


確かに依り代の儀式を見ることはサウスを出る前から非常に楽しみにしていたが…。


「…そう言っていただけると助かります。」


とにかく、迷惑をかけている以上この貴重な体験を少しでも今後の糧にしつつ考える様にしよう。


『折角だし依り代になったニュービーにコンバット仕掛けて─』


「絶対しないから。」


君は君でどんだけコンバットに飢えているんだ…。


『ええー、結局昨日もバトれなかったしもう限か…シン、あれ。』


「ん?」


…ホームへの階段を上がってくる、手提げ鞄を抱えた…青みを帯びた黒髪の少女。


「…フィールセンティさん?」


「!あ…!」


ホームには疎らにしか人がいないこともあってか、彼女はこちらにすぐに気づくと…ぱぁっと笑顔を浮かべ一直線に駆け寄ってきた。


「おはよっシン!アーカム博士もおはようございます!ウィズもおはよ!」


「あ、うん…おはよう。」


「おはよう。」


『おはよっ!』


彼女がここに来たのは依り代の儀式に参加するべくルミナスタウンに向かう為だろう。…ただ、


『随分早いね?儀式って夕方からでしょ?』


僕と博士は色々と準備をする必要があるナイブス博士と共に行くことになった、という理由があるからなのだが…彼女も何かしらあるのだろうか?


「いつものことなんだけど…アサヒが早く行こうぜって聞かなかったの。」


『把握。で、その肝心の本人は?一緒じゃないの?』


「途中で忘れ物に気づいて一旦戻るって…。」


「なるほど…。」


苦笑する彼女につられて苦笑い。やはり彼はせっかちなんだな。


「あ、でも…今回はアサヒのせっかちに感謝かも。」


「え?」


「だって、また会えたもん。」


苦笑から一変…満面の笑顔が咲く。他意はないのだろうが、こうも率直に言われるとむず痒いというかなんというか…。


「っ…足の怪我は、大丈夫?」


「うんっ、もうすっかり大丈夫!ホントにありがとう!」


「礼を言われることは何もしてないけど…よかった。」


ぴょんぴょんと昨日よりも軽快に跳ねてみせる彼女に…頰が緩んだのが自分でも分かった…って


「……………何ニマニマしているの、ウィズ。」


あと博士も。


『いやー別にぃ?年がら年中ボッチなマスターにようやく春がキター!なんて思ってないよ?』


「…君が何を行っているのかさっぱり分からないけれど…年がら年中君がいるからボッチじゃないよ。」


『一生ついていくよマイマスター!オールハイルブリタ─じゃなくてシン!!』


「頬擦りはやめて地味に痛い。」


あと、君の奇行が面白いのかフィールセンティさんがクスクス笑っているから。彼女の中のスピリットの基準が君のような変わり者になりかねないから。


「ウォッホン!朝から元気なのはいい事だが、程々にしたまえよ。」


「!おお、ゼスト博士。おはようございます。今日はよろしくお願いします。」


アーカム博士に習い、僕とフィールセンティさんもナイブス博士並びにケントレッジ君に頭を下げる。


「む?フィールセンティ君まで。随分早いな。」


「えと、アサヒに早く行こうって誘われて─「うおぉぉっ!間に合ったかーー!!?」あ、来た。」


息絶え絶えでホームに駆け込んできたのは件のヴィレイズ君。同時に汽車が遠目に見えてきた。


「まあ、旅は道連れとも言う。…皆で行くとしよう。」


これから再び数時間汽車での長旅、か。アーカム博士の腰は大丈夫だろうか…?






「わ、思ったより混んでそう…。」


列車はコンパートメント式のようでどう行った人物が乗っているかは分からないが、話し声の声色からして、大半は僕達と同年代に見られる少年少女と見受けられる。


「…おそらく、儀式の参加者達だろうね。」


ヴィレイズ君やフィールセンティさん以外にも、それなりに早めに出立する者がいるということか。


「なんかすっげぇ多そうなんだけど…。」


「十中八九まだまだ増えると思うよ?なんてったって参加者はスノープレシャスだけで千人超えるんだから。」


「マジか…!」


とりあえず座れる場所を確保しないと。満席というわけではなさそうだし…。


「ウィズ。」


『ん………この車両なら、奥の左側二部屋が無人っぽい。』


「ありがとう。…構いませんか?」


「儂は構わんよ。ゼスト博士も宜しいですか?」


「…………………。」


「ゼスト博士?」


「!あ、ああ…もちろんだ。」


ウィズの感知通り、コンパートメントは二つとも空いており、アーカム博士とナイブス博士で一室、他四名で一室使用させてもらうことに。正直助かった。答えをはっきり出すまでナイブス博士とは顔を合わせ難い。


コンパートメントは…向かい合わせの四人席、か。とりあえず、


「どうぞ。」


「えっ…あ、ありがとう。」


レディファーストに倣って、フィールセンティさんを窓側席の方へ。その隣席となる右隣へに彼女の友人であるヴィレイズ君が


「俺もまっど側ー!」


…予想外に座りはしなかった。まさかの彼女の向かい側。


「他のお客さんもいるんだからあんまり騒がないでよ?」


と、ケントレッジ君はヴィレイズ君を窘めつつ…彼の左隣へ腰をかける。


結果、空席は一つ…青みを帯びた黒髪ロングの少女の右隣のみ。


…流石に会って1日足らずの赤の他人同然の異性に長時間隣席されるのは、年頃の女の子としては嫌だろう。只でさえ、横抱き及び背負いまでされているのだから。なんとか二人に席を代わって─


『いつまでも突っ立ってないで早く座りなよ。』


「うん……うん?…………君は何処に座っているのかな?ウィズ。」


『ヒカリの膝。何?羨ましいの?』


「ぶっ飛ばすよ?」


フィールセンティさんも「ええ!?」なんて赤面しないで。


…フィールセンティさんに迷惑でしょ、早く離れなさい。……え?…僕が隣に座ったらって?いや、何その交換条件。今なんとかヴィレイズ君もしくはケントレッジ君と席を変われないか思考をフル回転させているから少し待っ……つべこべ言うな?早く座らないと強硬手段を辞さない、だと……………分かったよ。


ウィズとの視線での問答の末、依り代に対して恐喝すら行ったこの変わり者を、いつまでも無垢な少女に預けたままにすることは出来ないので僕が折れることに。


「…隣、失礼するね。」


「うんっ。」


…一応笑顔を向けてはくれているけど、やはり僕などに隣席されるのは嫌なのではないだろうか。出来るだけ、少しでも開けてあげたほうがいいかな。それと…


「ウィズ。」


『はいはいっと。』


彼女の膝からピョンと跳躍し、定位置である僕の肩に着地するウィズ。


「ウィズがごめん。驚かせたでしょ?」


「ううん、そんなことないよ。ふわふわで可愛いもん。」


『だから僕は可愛いじゃなくてカッコいいの!』


「あ、ゴメン……でもやっぱり可愛いと思うよ…?」


『また言った!?』


「その見た目で可愛いより先に格好いいが出てくることは皆無だよ。」


『シンまでっ!?』


僕と彼女の間で可愛いを連呼され、納得いかないのか「うぅ〜〜」と唸る白いスピリット。その様子に彼女と顔を見合わせ笑ってしまう。


「なんだなんだ?お前ら随分仲良くなったのな?」


「えっ、ホント?えへへ…そうなれたならなんか嬉しいな…。」


ヴィレイズ君の言葉に照れ気味にはにかむ少女。ウィズと仲良くなれたことを嬉しく思ってくれているようで安心した。…なんでまた可哀想なものを見る目を僕に向けてくるのウィズ?


「…ぼくもそうだけど、君も二人とは昨日会ったばかりなんだよね?」


「え?あ、うん。」


「マジ昨日は助かったぜ。ありがとな。改めて、俺はアサヒ・ヴィレイズ!歳は12!近い将来最強のスピリット使いになる男だ!」


「は、はあ…。」


彼の指す最強のスピリット使いの定義は不明だが…アナー・ランクになる…ということだろうか?


「まだ依り代にすらなれてないのに何言ってるのよ。」


「いいや、俺はぜってぇなれる!そんな気がする!」


「その根拠の無い自信がどっから湧いてくるのか、長年幼馴染やってるけど私には分かんない…。」


ふむ、なんとなくそうじゃないかと思ってはいたが…ヴィレイズ君とフィールセンティさんは幼馴染のようだ。


「まあ、目標とか夢を持つことは大事なわけだし。…折角だからボクも正式に自己紹介しようかな。ソウマ・ケントレッジです。ゼスト博士の助手をやってて…歳は君達二人と同じ12だけど、助手云々の関係で去年から依り代になったんだ。」


彼はそこで言葉を切って、体内のマナの循環を開始。数秒して、二翼の翼を広げ宙を浮く、翠の羽毛で身を包む鳥型のスピリットが現界。やはり依り代だったか。


「これがぼくのスピリット、ヒスイだよ。」


飛行型の上、この感じはおそらく属性持ち。非常に強い力を持ったスピリットと見受けられ…ウィズ、ステイ。新たなスピリットにヴィレイズ君とフィールセンティさんが大興奮している中、好戦的な相棒を目で制止させる。


「ぼくの自己紹介は以上かな。」


スピリット…ヒスイが彼の体内へ戻っていく。…この流れは僕や彼女もするべきなのだろうか。


「えと、じゃあ私も…。ヒカリ・フィールセンティです。シークタウン出身でジュンとは幼馴染なの。…えっと、昨日シンに助けられて、ウィズと仲良くしてるの見て、改めてスピリットと友達になりたいって…依り代になりたいって思いました。はい、シンの番だよ。」


…彼女のぱっちりとしたアメジスト色の瞳がこちらに向けられる。ウィズとの仲は良好であるのだ自覚しているけど、そう言われると恥ずかしいというかなんというか…。あと、やはり僕も自己紹介するのか。


「…シン・クオーレ並びにウィズといいます。出身はサウスハート、ミレイタウン。アーカム博士にお世話になっていて、今回はヴァイス学院の新理事長に就任されるナイブス博士へのご挨拶の為、同行しました。」


博士達曰く挨拶など建前でメインは僕をヴァイス学院に誘うことらしいが、彼らに言う必要はないだろう。ケントレッジ君も黙ってくれているし。


『こんな白髪だけど歳は君達と同じ12だから。依り代歴は5年とちょっと。あと、コミュ障だけど悪い人じゃないから仲良くしてあげて。』


「こんな可愛い身成をしているけど依り代の中に戻ろうとしない変わり者だから。その上少々過激な節があるから気をつけて。」


『何余計なことを言ってるのさ。』


「先に言ったのは君でしょ。」


…まあ、ヴィレイズ君とフィールセンティさんの反応を見る限り、歳上と思われていたようだが。


「5年も一緒なんだ。いいなぁ…。」


「やっぱりアーカム博士の助手だからかい?」


「…僕は只の手伝いでしかないよ。それでも依り代になれたのは、まあ…色々あったから。」


あまり他言すべきことではないので、苦笑しながら言葉を濁す。ケントレッジ君も察してくれたのか「ふーん?」とそれ以上追求してはこなかった。


「あっ、ならさならさ!2人のスピリットの属性とかレア度とか…あとランク教えてくれよ!」


世界最強を目指すというだけあって、その辺りには興味深々なんだろうか。


なお、昨日のこともあってケントレッジ君が気まずそうな目線を放ってきたので、ウィズをひと撫でしてから「大丈夫」と頷き返す。


「属性?レア度?」


反面、強さには拘りが無さそうな彼女は知らない様子。戸惑った眼差しを僕に向けてきた。スピリット関係の学問は中等部から始まるのだから無理もない。


ヴィレイズ君の質問にはケントレッジ君が答えているようだし、僕の方は彼女に答えた方がいいか。でないと、彼女だけ会話についていけないことになるし。


「僕の知っていること範囲でいいなら教えるけど…。」


「ホント?ありがとう!メモメモ…」


いそいそと彼女は荷物置きの鞄からボールペンとメモ帳を取り出す。特にメモを取るほどのことでもないのだが…間違ったことを教えないように気をつけよう。


「…えっと、じゃあまず属性から。スピリットは自然から生まれた存在で、彼らの大半は自然の力を引き出せる能力を備えている。」


「自然の力?」


「例えば大地を揺らす、水を操る、火を起こふ、風を巻く…等々の自然現象のこと。多くのスピリットはそういった自然現象を発生させる力を備えていて、操れる力によって八つの属性に分類される。ここまではいい?」


「えと…スピリットは水とか風とか自然の力を操れて、操れる力で8つに分けられる…合ってる?」


首を傾げた彼女に「うん、合っているよ」と微笑みかける。


「属性は…地、水、火、風、雷、氷、闇、光。多くのスピリットはこれら8つの内のいずれかに分類される。」


『中には数は少ないけど複数の属性を持つスピリットも確認されているよ。』


「へぇ〜…!」


なお、ヴィレイズ君とケントレッジ君の会話を聞く限り、ヒスイは風属性のようだ。


「次はレア度について。レア度はそのスピリットの珍しさと力の強さを表していて、上からS、A+、A、B+、B、C+、C、D+、D、E級の10段階で区分されている。」


「えっと…」


噛み砕いて言った方がいいかな。


「つまり、レア度が高いスピリットほど珍しくて強いってこと。」


「あ、それならなんとか…。じゃあ…昨日湖で見た守り神様は光属性で、その力も凄そうだったからレア度も凄く高いってこと?」


「あのクラスになると完全にS級になる。…まあ、S級なんて伝説とか言い伝えレベルのスピリットでないと区分されないんだけど。」


なお、ヒスイはB級のよう。人が宿すことが出来るスピリットとしては、高レアの分類に入る。


「ふむふむ。あとジュンももう一つ言ってた…」


「ランクだね。属性とレア度はスピリットだけの区分だったけれど、ランクはスピリットだけじゃなくて依り代を含めた総合的な区分になるんだ。」


「?依り代によっても変わるの?」


『そりゃ変わるよ。人を依り代にしたスピリットは依り代のマナの質とか量とか、性格が合う合わないとかでも出せる力が大きく左右されるんだから。』


この話をするとなると…


「マナは分かる?」


「えと、マナは人とか動物とか、植物が生み出すエネルギーで、スピリットは力を使ったりするのにマナを必要としていて、中でも人はたくさんマナを生み出せるからスピリットは人を依り代にすることでマナを貰って、代わりにその力を依り代に貸してくれる…だよね?」


「うん。」


人が生きていくのに水を人ようとするように、スピリットはマナを必要とする。


「どんなにレア度が高いスピリットても、依り代からのマナの供給が少なかったり、マナの扱いが未熟だったりすればその力を十分に発揮することは出来ない。」


故に依り代自身も自分を選んでくれたスピリットに見合うよう、成長していかなければならない。


「だから、総合的なランクは依り代も含まれるってわけさ。」


ヴィレイズ君への応対を終えたのか、ケントレッジ君もこちらの会話に加わり、説明を引き継いでくれた。


「依り代として一番下のランクを一階級-ウノ-、順に二階級-デュース-、三階級-トレイ-、四階級-ケイト-、五階級-シンク-、六階級-サイス-、七階級-セブン-、八階級-エイト-、九階級-ナイン-。そして、各国で一名ずつ選ばれる十階級-ティン-以上のランカー。通称アナー・ランク…ティン、ジャック、クイーン、キング、エース。」


「勿論俺がなるのはアナー・ランクでも最上のエースだ!」


「アサヒはどうでもいいけど、なるほど…ん、だいたい分かった。」


とりあえず説明は終わりかな。ヴィレイズ君が「なんだってんだよぉっ!」と抗議しているが…。


「ったく!…んでよシン。お前らの属性とレア度とランクは?ソウマとヒスイは風属性でレア度はB級、ランクは三階級だってよ。」


今度はヴィレイズ君からの質問と来たか…。既にケントレッジ君には一部知られているとはいえ個人情報なので答えたくないのだが…助けを求めようにも左隣の少女も興味深々で凝視してくるという始末。


「…属性は無属性、レア度はD+で─「ふぇ?無属性って?」っと…。」


『そういえば説明してなかったね。』


自分達のことなのにすっかり忘れていた。


「ごめん、属性の説明で言い忘れていた。スピリットの中には属性を持たない…つまり自然現象を操る力を持たない無属性と呼ばれる属性に類するものもいるんだ。」


よって、正確には属性は九種類となるのだが、世間一般では無属性はその名の通り無い属性でされ、属性としてカウントされず八種類となっている。


「あ、そうなんだ。」


メモ帳に追記のペンが走る。


「…じゃあ、ウィズはその無属性ってやつなの?」


『そういうこと。属性を持たない…自然の力を行使できない零番目の属性、無属性に分類されるのがぼくだよ。』


他に特徴を挙げるとすれば、光や闇程ではないものの数が少ないといった点か。


「よく分かんねーんだけど、それって…なんつーか、あんまり…」


「…察しの通り、自然の力を使うことができない無属性は、依り代、スピリット共に世間一般的には弱いと認知されているよ。」


「あっ、わ、悪りぃ…。」


バツ悪そうにするヴィレイズ君に「気にしないで」と首を横に降る。皆が思う紛れも無い事実であり、僕やウィズもあらゆる面で無属性が不利であることは痛いほどよく知っている。無属性というだけで周囲から蔑まされたことも、理不尽な扱いを受けたことも沢山あった。


だけど、それでも…


「でも、シンにとってのウィズも、ウィズにとってのシンもそうじゃないんでしょ?」


「『…!』」


本当、この娘には驚かされてばかりだ。


「うん。最高の相棒で…家族だと思っているよ。」


ウィズがいてくれるからこそ、僕はここに在れるのだから。


『もちろんぼくもね。ってか、ぼくがいなきゃシンはダメダメだしね。』


「はいはい、いつも助かっているよ。」


「ふふっ、家族…すっごく素敵。私もそんな風になりたいな。」


「クスッ…なれるよ。君なら。」


肩に乗る白い相棒兼家族も同意するように頷いた。




to be continued

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ