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『今日は7月並みの暑さになるでしょう。』

男性の理想が詰め込まれた朝のニュースキャスターは春らしい服を着て爽やかな笑顔に額に汗を流している。この顔を見ると浮腫んだ顔を直したくなって洗面台に向かった。七月並みの暑さなら夏服を着ればいいのに誰もが思ったことは女性が許しても男は許さない。桜が咲く時期には柔らかいかぜに揺れる服をきて欲しいと思うし、海に行きたくなる時期には露出の多い服を求めるのが男なのだ。


もちろん僕もそう思うし。くすんだ鏡に腑抜けた自分の顔に映される。こんな顔をあの女性に見せられない、戒めのために掛けた水は毎日ある一日の始まりの合図で今日だけは火照った体を冷やした。ふと、女性アナウンサーは陰ながら全国の男性陣の気持ちを奮い立たせてくるのではと思う。


定時がないほど多忙なのに身だしなみに気を使わなければならない。報道機関に勤めたならば必ず付くもの。それもやり甲斐。でも僕には、いいや僕だけはもう一つの理由がある。必ず彼女を見つける。見たつけた時に彼女に見れられない姿をしない。僕はそのためにこの世界に入ったんだ。


いつ食べ食べたのかわからないパック込みを踏み分けて、玄関のドアを開けると川沿いに咲く桜が春の訪れを伝えてあの日を想起させる。




早咲きした桜の下に佇む彼女は、制服と僕の春を連れてどこかに消えた。



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