放課後
彼女は笑っているようにもきこえた。
少しうつむいていて少し長い前髪で目元が見えない。
カーポートの光と街灯の光しか明かりはないが、
彼女の目元は少しぬれていた。
はじめて 涙なのだとわかる。
いや
もしかして
別に涙ではないのかもしれない。
「ははっ。」と笑った彼女のマスクは
涙の流れでぬれた。
私は彼女が泣いていることをうけいれたくなかった。
うけいれられなかった。
お互いに、「自分しかわかることのできない」と
考えることで満たされていたのかもしれない。
彼女を泣かせたことに私はひどくおちこんだし、
困った。
そんなことからも
結局、みんな、自分のことなのだ。と思う。
また、泣かせてしまった。傷つけてしまった。
一度、言った言葉はとりかえせない。
「ごめんね。ごめんね。」といいながら
彼女の腕をガシガシとさすった。
彼女は声も出さずに泣いていた。
あたしはどうすればいいのか分からなかった。